ローレンス王子
初登場のローレンス王子!です!セシリアsideが続いていますが今後はほかの登場人物視点も取り入れていきますのでお待ちください!
パーティ1時間前ということで急ピッチ。
メイド5人体制で私のドレスアップが始まった。
実は、朝から昼までにマッサージとエステのフルコースは終了し、暫く仮眠をとると言って部屋にこもって今日の作戦を立てていたのだ。
ドレスも装飾品も今日という誕生パーティーのために前々からお母様とメイドたちが選んでくれたものだから大丈夫。
うん。前世の私ではありえないけど今の私は美少女!のはず!うん。お母様とお父様の娘だもん。怖い顔しなければ悪女顔に見えないよね??!!トラブルとかありませんように。どうか。
色々と考えていたらあっという間に支度が整った。さすがプロ。仕事が早い。
鏡の中には絶世の美少女がいた。
「まあ!なんてお綺麗なんでしょう。これなら王子もセシリア様にメロメロになりますわね!」
「ええ!こんな美少女は見たことがありませんわ!私が男なら放っておきませんもの!女の私でも見惚れるほどですわ!」
「ありがとう。みんなが色々してくれたおかげよ。」
メイドたちは口々に褒めてくれる。まあ雇い主の娘なんだから当たり前だよね。…ていうか今気づいたけど、生まれ変わってから7歳の今日までで、パーティとかするの初めてじゃないか?去年は私が高熱を出してしまいパーティどころじゃなかったし。
一応、王子とは挨拶はするけど絶対お父様に婚約を頼んだりしない。前世の記憶が戻る前は王女さまとかになりたい!って年相応に夢見がちだったけれど、今思えばとんでもない。王妃教育とかめちゃくちゃ大変そうだし、人前に出るの好きじゃないし、絶対なりたくない。
今日のパーティーでさえ、緊張で意識飛んじゃうかも…あぁ、これだから大勢の人の前に出るのは嫌なのよ。
今更ではあるがパーティ行きたくないなぁ…と思っているとお母様が痺れを切らしたのか部屋までやって来た。
「セシリア!そろそろ準備はできたかしら?お客様をお出迎えするから一緒に来てちょうだい。」
「はい!お母様。」
玄関ホールに行くと父、カーライルが一足先に待っていた。
「おお!セシリア!今日は妖精さんみたいだね!なんて素敵なんだ!」
「ふふふ。私の見立てだものセシリアに似合わないわけないわ!まさに妖精ね!」
「ありがとうお父様。お母様。」
今日の私は腰まで伸びたストレートの銀髪をハーフアップにして上の部分を編み込み、瞳の色に合わせてアメジストの宝石の付いた髪飾りをつけている。
そして軽く薄化粧をして、ドレスは薄ピンクを基調とし、裾にかけて藤色のグラデーションになっている。腰の後ろ側にはくびれを演出するため大きめの藤色のリボンがしてある。
正直に言おう。7歳だから許される。いや、せめてもう少しフリルを減らしたかった… これ本当に普通なの?パーティまだ出たことないから本当にこれで大丈夫なのか、心配である。
そのあとも3人で軽く談笑していると馬車の音が聞こえ徐々に来客が訪れ始めた。
まず始めは父の同僚。内務省の方々である。名前は知らん。覚える気はあるかって?ないね。だってもうさっきから20人くらい内務省の誰々〜ってご夫婦が来られてるし、夫婦だけじゃなくてご子息とかも紹介されたけどなんかもう手とか握られるし、ほんともう一言で表すと今すぐ部屋に戻りたい!である。
なんとか笑顔の仮面を貼り付け、その場は乗り切った。次は母の社交友達である。これまた15人ほどの美しいご婦人が旦那さまを伴ってご入場。母に習って笑顔で挨拶しておく。多分あとで話しかけられても誰が誰だか見分けがつかない。うん。一度に大勢の人と言葉を交わすのは無理ってことが証明されたな!もう限界が近い……。
と、ここで最期の招待客が入場された。第一王子と王妃様である。どうやら母が王妃様とお友達であるため今回招待したらしい。ついでに私の話し相手に、と王子も連れて来たとか言ってた。いやいや、王子ついでってどういうこと?やめてください。はい。
「ふふ、はじめまして。セシリアちゃん。私はルリアのお茶飲み友達だから公式の場以外では気軽にアーリアさんって呼んで頂戴。」
「え、っと。はじめまして。よろしくお願いします。…アーリア様。」
「アーリアさんでいいのよ?ふふ。あ、そうそう。この横にいるのは私の息子。名前くらいは知ってるかしら?第一王子のローレンスよ」
「……はじめまして。セシリア嬢。本日は7歳の誕生日おめでとうございます。そちらのドレス、とてもお似合いですね。どこの妖精かと見間違えましたよ。宜しければ今後、ローレンスと気軽に呼んで下さい。」
輝かんばかりの笑顔で歯の浮くようなセリフを並べ立てる。黒髪 翡翠眼の王子。
前世では一押しキャラで大好きだったけど、今後この王子が1番私を殺す可能性がある。危険人物。なにせ暗殺だからね。王家のお抱え暗殺部隊に狙われたら他国に逃げようとも絶対に殺される。怖すぎる。
一瞬暗殺される未来を想像して震えが走り、顔がこわばる。がなんとか笑顔を貼り付けて
「はじめましてローレンス王子殿下。お褒めの言葉ありがとうございます。ぜひ、パーティを楽しんで行かれて下さいね。」
なんとか気力で最後まで挨拶をして礼をする。
王妃と王子が会場の中心向かって歩き出すのを見送り、ここからがやっとパーティ開始である。
壇上に立ち、笑顔を貼り付けて見知らぬ人達に本日集まっていただいた感謝とこれからもよろしくおねがいします。ということ、今後の展望を話し、壇上を降りる。
なんとか噛まずに全部言えた。
多分この国の平均7歳児よりはしっかりして見えるはずである。
壇上を降りて母の元に行くと、我先にとわたしの周りに人が集まって来た。
「素晴らしい!齢7歳にしてこの落ち着きぶり!将来が楽しみですなぁ。ぜひ今度我が領地にいらして下さい。おもてなしいたしますよ!」
「ええ、本当に!妖精のような出で立ちで、落ち着いて聡明なお嬢様ですのね。是非我が息子とも仲良くしてくださいませ。」
うわー凄い、目がギラギラしてる。もう、さっきから愛想笑いしすぎて表情筋が……
すると、お母様が助け舟を出してくれた。
「あら?セシリア。顔色が悪いみたい。少し休んでいらっしゃい。」
「はい。少し下がらせていただきます。申し訳ありません。引き続きパーティーをお楽しみください。」
そそくさと会場を後にして控え室に入る。下がっていいと言われたもののパーティの主役でもあるためパーティの終了時には顔を見せてお見送りをしなければならない。パーティが始まってから3時間くらいか…あと2時間でお開きになるから、それまでここで休ませてもらおう……。
メイドを下がらせてソファーに腰掛けると睡魔が襲って来た。あーまあお母様があとで呼びに来てくれるでしょ…ちょっとだけ…
そして私はパーティ中なのにもかかわらずソファーで眠ってしまったのだった。
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