私の両親
フォレスター公爵家 現在は3代目
宰相と元隣国の第2皇女が結婚し主人公が生まれた。本来のシナリオでは父と母に振り向いて欲しくてワガママ放題に振る舞い続け、父と母も負い目から強く諌める事が出来ずにそのままワガママが通ると思い込んだ悪役令嬢にになる予定だった。現在は改心。前世の記憶を思い出した転生者
母 現在25歳 ルリアーヌ・フォレスター
愛称「ルリ」・銀髪藍眼
父 現在30歳 カーライル・フォレスター
愛称「ライル」・黒髪 紫紺眼
主人公 現在5歳 セシリア・フォレスター
愛称は「リア」・銀髪 紫紺眼
私はセシリア・フォレスター。悪役令嬢である。
フォレスター公爵家当主で現宰相である父と隣国のワーマン帝国元第二皇女の母の元に生まれ、蝶よ花よと育てられ、少々ワガママに育った美幼女…であった。ついさっきまでは。
今日は私の5歳の誕生日で洗礼式を受けにきた。教会にて魔法師の持つ魔水晶に手をかざし魔力を込めた瞬間に視界が白い光で包まれて、…そこからの記憶がない。どうやら気絶してしまったようだ。
目を開けると、見慣れた白と金糸の美しいベットの天蓋が見えた。
「あ…れ…?いえ…?」
困惑しながらもベットから起き上がろうとするとベットの横に腰掛けていた母に止められた。
「ダメよ。さっき魔力を放出し過ぎて気絶したばかりなんですからね!もう、どれだけ心配したと思ってるの?」
銀髪で藍眼の美しい美女…ルリア・フォレスターもとい母が瞳に溢れんばかりの涙を溜めて話しかけてきた。
記憶が戻ったと言っても5歳まで過ごした日々を忘れたわけでは無いので少々困惑しながらも返答する。
「ご、ごめんなさい。ちょっとだけ込めたつもりだったんだけど…失敗しちゃいました…の。」
すると母は少し訝しむような表情で
「ええ…それだけ分かってくれたならいいのよ。それよりもまだ熱があるのではない?なんだか言葉遣いが…へんよ?」
そう。記憶が戻るまでの私はまるで女王のような喋り方をしていた。
というのも隣国の皇女の娘で宰相の娘でもある私はこの国のかなり上位の権力者の子供ということでかなり周りから甘やかされていたからである。
宰相の仕事で忙しくあまり構ってくれない父、公爵夫人で隣国の皇女として社交や家の事で忙しい母も構ってやれない娘への負い目か、怪我などをしない限りは余り強く注意などはしない。
それによって余計に構って欲しくて、困ったワガママばかりを言う幼女だったからである。
「あの、ね。私、お父様とお母様とお話ししたくて、私を見て欲しくてワガママばかり言ってしまったの。でも、お母様とお父様がお仕事頑張ってるの知ってたのにワガママいったりしてごめんなさい。」
素直に今の気持ちを伝えると、とうとう母が泣き出してしまった。
「ごめんなさいは私の方よセシリア。私の可愛いリア。もう寂しい想いはさせないわ。ずっと我慢させていたのよね。本当にごめんなさい。」
「ううん。私こそごめんなさい。その、あの喋り方も女王様の真似してただけなの、だから、もう辞める。もう、女王さまの真似じゃなくて…」
と話していると父 カーライル・フォレスターが早足で部屋に入ってきた。
「おお!セシリア!!!起きたかい?何処か痛いところはないかい?父さんにできることならなんでも言っておくれ!」
父は黒髪で紫紺瞳の細身のイケメンである。現在は30歳で、一夫多妻で愛人も認められているこの国の貴族では珍しい一夫一妻の愛妻家である。もちろん愛人もいない。…まあ昔はかなり遊び人だったらしいけど5歳年下の母に一目惚れして求婚し、隣国のお姫様を娶ったわけだからね。下手なことはできないよね。何より母さま怖いし。
「大丈夫…ですわ。お父様。あの…心配かけてごめんなさい。」
「な、セシリアがデレた!?!?可愛すぎる!」
「あなた。セシリアの前で何言ってるの?セシリアは前から可愛いわよ?」
「いや、そうなんだがこんなに素直に…やはり何処か打ったのではないか?医者を…!!」
「だから!違うの!お父様聞いて!」
父と母のやりとりに異を唱えると2人とも両手で口を押さえた。なんとも奇妙な光景である。
「…」
「…」
「あのね、さっきも母さまに言ったんだけど、私は2人の興味を引きたくてわざとワガママ言ったり、偉そうな口調で話したりしてたの、でも、もう5歳になったしワガママもへんな喋り方も辞める!てことです!」
「…」「…」
2人とも硬直している。え、どした?そんなへんなこと言ったかな?
「え?おーい、お父様、お母様??」
「「かわいい!」」
へ?なんだ?なんかすごい息は合ってるけど。
「セシリア、すまなかった。あのバカ王が国を開けてから仕事に忙殺されて、ルリアに公爵家のことを任せっきりで、ろくにセシリアと過ごす時間が作れなくて…あーもうあの国王。締める!」
なんか父が恐ろしいこと言ってるけど不敬罪になるぞ?大丈夫か?!
「でも、国王さまもお帰りになられたんでしょう?確か和平条約の締結に至ったとか。」
「ああ。1ヶ月前にな。本当にこの1年は大変だった。しかしあのガルダン王国との和平条約も取り付けできたからな、これで引き継ぎをしたら暫くは私の手も開くし公爵家のこともできる。今まで任せきりですまなかったな。」
「いいえ。大変な時に支え合うのが夫婦ですもの。当たり前ですわ。でもこの子には寂しい思いをさせてしまった…もう絶対…」
「ああ。そのとおりだ。もう寂しい想いはさせん!」
「た、たまにでいいよ?私よりお仕事頑張って?ほら、国のためだもん。、しょうがないよ。」
「「国よりセシリアの方が大事!」」
「う、うん、ありがとう。」
なんか思ったよりめんどくさい、けど、悪くないかな?という感じの両親でした。
結局溺愛される。笑