悪意の視線
大変お待たせいたしました!!!!
〜次の日〜
昨日は、パトリック様と一緒に登校してかなり目立ってしまったみたいで、周りからジロジロ見られて気まずかったから、「学校までは徒歩で行く」というと、「昨日ので牽制は出来たと思うから良いよ。徒歩だと30分程かかると思うけど……もし僕と一緒にいて目立つのが嫌なのなら、一緒に行くのはやめておくよ。でも馬車は使ってね?」と言われて、説得されてしまった……
正直にいうと、今の私の体はあまりに家から出たことが少なかったからか色白で、筋肉もなく華奢だ。おそらく30分の徒歩も無理かもしれない……魔力はあるから魔法で体を浮かせたら移動できないかと目論んでるけど、今はまだできないし、ここはお言葉に甘えて馬車通学を続けようと思う。それに、徒歩で歩いてたらいつシオンが拐われるか分からないし……!シオンってば転校初日で同じクラスのお姉様方を虜にしちゃったみたいだし……ほんとに心配だわ……
「ねえさん!おはよう」
食事席で考え込んでいたら、いつも通りのとびきりの笑顔でシオンがやってきた
「おはよう!シオン!今日も学校に行くのが楽しみね……!……でも、何かあったら絶対に姉さんに行ってちょうだいね。何があっても守るからね!」
「ねえさん……それは男の僕がいうセリフだと思うんだけどなぁ……ふふっ……」
そんなこと言っても……女の子顔負けの美人顔でシオンが笑うからまたまた心配になっちゃう。こんなに無防備で大丈夫なのかしら……
学園に通うことが決まった昨日の夜から、身分がバレる可能性を考えて王様……もといお爺様が学校近くの治安のいい城下町に一軒家を借りて下さったそうです……元はパトリック様のお忍び用の屋敷だったらしく、二階建てで一階にリビングとダイニングキッチンと客間と物置部屋、二階には6部屋×12畳ほどの部屋があって、私とシオンとお父様とお母様の4人で住めることになった。
最近引っ越してきた庶民の中では裕福な方の町民で、父親は役人で母は身重で病弱、私はその娘、シオンは父方の親戚で養子になったという設定らしい
今日は今朝早くからお母様とお父様は今朝早くから王城に呼ばれて出掛けて行った
お父様は宰相で、定期的に国に帰らないといけない案件があるらしく、この家にはほとんど帰ってこないしお母様も何やらお爺様との話があるらしく、妊娠している間は王城でお世話になっているらしいから殆どシオンと二人暮らし状態である。身重の状態だから馬車は危ないしね……
最初は使用人をつけるとかなんとか言われたけれど、町人設定なのに使用人がいたらおかしいし、食事に関してはお母様と私が作れるし、なんならシオンも作れるから心配は皆無である
因みに今日の朝食はお母様がスープを作ってくれたコンソメスープと私が作った目玉焼きとアスパラガスのベーコン巻きとサラダとロールパンである
「あ、ねえさん、朝食作ってくれたんだ。ありがとう……ごめん、僕、従者なのに……」
「何言ってるの!この国では従者とかじゃなくて、弟だって言ったでしょう?私達は町人で姉弟!料理はお姉ちゃんにまっかせなさい!シオンはまだ6歳だし、弟なんだからお姉ちゃんにたまに構ってくれたらそれでいいのよー!」
「んん……せめて交代制にしない?僕もねえさんにご飯作りたいな……。ダメ?」
くっ小首を傾げる美少年尊い……!!
「ん……そうね、一緒に作るのとかもいいわね!でも、確か明日からは1人家政婦さんがくるらしいわ。だからシオンの心配は皆無よ?あ、今日の弁当は張り切って作ってみたから。一緒に食べましょうね!」
「ねえさんありがとう……。家政婦さんがきてくれるなら安心だけど……この朝食も美味しいよ。ねえさんの料理は毎日食べたいくらいだね。」
「ふふっ……毎日は無理だけれど、お休みの日なら私が料理を作るから何処かピクニックにでも出かけましょうか!確か明日と明後日は週末で学校もお休みだし、どこか出かけましょう!」
「うん!ねえさんと2人で出かけるの楽しみだなぁ……!あ、行き先は僕が決めてもいい?ねえさんが楽しんでくれるようなところを探しておくから」
「ほんと?じゃあお願いしようかな!あ、でも学校のない日の夜は王城で家族揃ってご飯って言ってたから朝早くから出かけましょ!」
「そうだね!」
シオンと楽しく話しに花を咲かせながら朝食を摂る。実家では家族の団欒中も従者とかメイドさんが居たし、こんなに近くで食べられなかったから前よりも距離が近くなった感じがする。もちろん貴族に生まれたことに不満はないし、悪役令嬢だからってこのまんまこの国で引きこもってちゃダメだってわかってるけれど……正直こういう風に過ごす方が楽で楽しいって思っちゃう……それに国に帰ったらシナリオの強制力で今は仲のいい人たちも私と敵対するようになって……最悪……死が……はっ、ダメダメ、暗いこと考えるのは禁止!
「ねえさん大丈夫?ぼーっとしてたけど。馬車の迎えが来るはずだから出よう?」
「あ、ごめんごめん、ちょっと考え事してたの。そうね。じゃあ行きましょ」
心配顔のシオンに返事をして、急いで準備をする。私が放心している間にシオンが片付けもしてくれたらしい。面目ない……
準備をしてから玄関に出ると、昨日とは違い、普通の馬車が既に家の前に付いていた
「おはようございます。お待たせしてすいません。」
「おはようございます!すいません、私がちょっと……」
「いいってことよ!今日から学園卒業までここでお世話になることになったガランだ。週末以外はお嬢さんと坊ちゃんの要望があれば馬車を出すぜ。休日出勤の時は早めに教えてくれな。あ、俺ともう1人の糞真面目なやつか交代で来るからまた宜しくな!」
御者のガランお兄さんは銀髪の褐色で程よく筋肉のついたイケメンさんだ。素性はわからないけど、お爺様がわざわざ付けてくれた人だから多分強い人なんだろうな……なんか、オーラがある。
馬車に乗り込んで、学園に向かってもらうとものの数分で学園に到着した。やっぱり馬車は速いなぁ……
早めに出るつもりで馬車を呼んでいたので、昨日よりもまだ人が登校していないようだった
「おー、じゃあ帰りは学校が終わる時間に校門前でいいか?」
「はい!お願いします!」
「あ、待ってください。校門前だと目立つと思うので、学校右横の噴水前でお願いします。僕たちはあくまでも町民として学園に通いたいので。」
「おーなんか分かんねえけど分かった!ま、ついでに学園周りのゴロツキとかしめとくから少しなら歩いても大丈夫だろ。」
……なんか恐ろしい会話が聞こえたような気がするけど……え、ゴロツキなんかいたの?全然気づかなかった……。あ、このネックレスを身につけてるから悪意を読み取れないんだったっけ。
なんのけ無しにふと、ネックレスを首から外して馬車に起き、効果範囲から離れてみるとさっき2人が言っていた意味がわかった。
強烈な悪意を感じる。1.2.3.4.5.6.……え、20……今感知しているだけでも20人以上がこちらに明確な悪意と関心を持っていることが分かる。
しかも、学園内からも複数の悪意の視線があって、四方から悪意にさらされた私は、その場で崩れ震えるしかなかった
「ねえさん……!!ねえさん!大丈夫??」
「お、おい!!どうした?嬢ちゃん!」
近くにいるはずのシオンとガランさんの声が遠くに聞こえて……
お母様に外しちゃダメって言われてたのに……好奇心で外してしまったことを後悔した
病弱設定どこ???ってなってたかもしれませんがここです!
更新遅くなりましたごめんなさい!令和になりましたがこれからももよろしくお願いしますー!
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