宰相の息子
お待たせしました!
初登場人物の見た目が想像しにくかったので、後書きに書きました!分かりにくかったらすいません……!!
カリーナ先生の後に続いて教室に入ると生徒達の視線が一斉に私に向けられた
教室内では既に生徒達が待っていたようだ
「皆さんおはようございます。急ではありますが今日は転入生を紹介します。さ、セシリアさん自己紹介をどうぞ」
ええっ、もう!急すぎだって……
とりあえず友好的に挨拶しよう……うん
「セシリアと言います。この学園でいろいろなことを学びたいと思い、弟と共に転入試験を受けました。クラスに慣れないうちは迷惑をかけることもあるかと思いますが、どうぞ宜しくお願いします」
ザワ……ザワ……
うん。一応聞いてくれてた?みたいだし、思ってたよりは好感触……?かな?
ホッとして息を吐くと、教卓の真ん前にいた赤毛の少年が話しかけてきた
「おい。お前家名が無いってことは庶民だろう?何歳だ」
「7歳です」
「ふーん……」
なんだろ……庶民嫌いとか?
「ハイハイ、じゃあ紹介は終わりです。セシリアさんは奥の空いてる席に座ってくれる?」
「はい」
教室の一番奥の窓際の席が空いているようだったのでそこに座る
隣の席の少年は心底興味がなさそうに居眠りしているようだ。また今度改めて挨拶しよう
♦︎♢♢
ホームルームが無事に終わり席を立とうとすると先ほど話しかけてきた赤毛の少年が話しかけてきた
「おい。お前。」
いや、さっき自己紹介したんですけど?私の名前覚えてないわけないよね?
「……なんでしょうか?」
ちょっとイラっとしたから冷ややかに問いかける
「7歳で転入してきたってことは相当頭がいいか、コネだろう?朝、お前がパトリック様と一緒に学園内に入ってきた姿を見たやつがいたんだ。どうなんだ?」
「パトリック様は私と弟が学びたいという話を聞いて学園で転入試験を受けたらどうかと勧めてくださっただけです。今日は初登校だったので学園まで送ってくださったのです。ちなみに試験はちゃんと受けましたわ。疑うのならすぐに示しても良くてよ」
「ふん!……お前、パトリック様に少し優しくしてもらったからって調子に乗るなよ!彼の方は誰にでも平等に優しいんだ!俺はお前が勘違いしたらかわいそうだから忠告してやっただけだ!」
「……はぁ……」
何が言いたいんだろうか……この少年は
「俺は10歳で転入した!が別に7歳の頃だって転入試験を受けることができれば入学できていたに違いない!」
だからなんだっていうのよ?……あぁ、せっかく飛び級したのに自分より下の子が入ってきてムカついたとか?
「確かに私は7歳で入学しましたが貴方がそういうのならきっと貴方の方が優秀なんでしょうね。ええ。何かが不快にさせたようなら謝りますわ。何か他にあります?」
「………!!!ない!!」
「そうですか。では失礼しますわ」
あーめんどくさい熱血系の少年だなぁ
多分パトリック様の信者なんだろう。男にもモテるなんて我が叔父ながら罪な人だなぁ
休憩時間は10分しかないというのに!シオンと早く合流して癒してもらおう
教室から出て仲間の前まで来ると、シオンが出てきてくれた
「ねえさん!」
「シオン!自己紹介ちゃんとできた?」
「はい!一応……ねえさんは大丈夫でしたか?」
「うーん。まぁ思ってたよりは大丈夫かな?ちょっと突っかかってくる人もいたけど……」
「ねえさんを煩わせたやつはどいつですか?」
「え!?いや、いいのよ!それも込みでここに入学したんだから。ここで人間関係を学ぶのもまた一興よ。ちゃんとうまくやるから心配しないで?」
「はい……何かあったら必ず言ってくださいね……いや、なんともなくても報告してください!あぁ、やっぱり同じクラスの方が都合が良かったのでは……くっ」
天使のような顔を歪めて苦悶しているシオン
お父様の影響なのか、最近過保護気味なのよね。私の方が一つ年上なのに……
「大丈夫!ねえさんに任せてちょうだい!シオンこそ何かあったら言ってよ?」
「ええ……僕の方は何も無いですよ?」
その後少しだけ話して教室に戻った
♢♢♦︎
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1.2限目は科学基礎
3.4限目は魔法基礎
〜 昼食休憩〜
5.6限目は魔法実技
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その後は滞りなく授業が進んだ
科学基礎も魔法基礎も魔法実技もお母様に習った内容とほとんど大差なかったので問題なく、私的には復習をしている気分だった
昼休みの時に、次の授業でグループを組まないかって前の席の女の子が声をかけてグループに入れてくれたから助かった……
正直にいうと自分から話しかけるの結構苦手な方だから
「セシリアちゃーんどしたの?」
彼女はアーナちゃん。12歳。特待生制度を利用した庶民で、このクラスでは私とアーナちゃんとの2人だけが特待生らしい
他の生徒たちは何かを言ってくるわけでは無いけれど、遠巻きにしていて必要以上に話しかけてこないみたい。やっぱり庶民とは相容れないっていう考えなのかしら?まぁそれならこっちからお断りだけどね
「ううん。なんでも無いわ。あ、魔力大丈夫?」
「うん!なんとかねー!でももう1分も持たないかも……ていうかセシリアちゃん凄くない!?まだまだ余裕な感じなの?」
今、魔法実技の授業ではグループになって椅子を浮かせる練習をしている。私とアーナと隣の席の少年……ケインの3人グループだ。アーナはよく喋るハキハキ系だけどケインはすごいのんびりおっとり系って感じだな……彼は貴族だけど私たちのことは嫌ってないようで、話しかければ普通に返してくれる
「すごいなぁ。僕は魔力弱い方だから、もうだめみたい〜。あ、落ちた」
「一脚×3分ですね!」
「ぐっ……私もギブ〜!」
「二脚×3分10秒!」
一応今は一学期で、3ヶ月ほど前から浮遊魔法を習い、みんな少しずつ浮かせられる重さや高さが上がってきたらしい
一応今まで私が持ち上げた中で一番重かったのは”我が家”である。だからこんな……学校の椅子なんかは造作もなく浮かせ続けられる
「ふん!お前もなかなかやるな!俺は10脚だぞ!なーに、もし余っていればここの教室の全部の椅子を浮かせられるだろう!」
(小声)
「あー気にしなくていいよアラン君、負けず嫌いだからあーやって絡んでくるけどいじめてきたりはしないから安心して」
「アラン君は良い子だよ。僕より2歳年下でこのクラスで一番権力が強い家の子だけど僕たちを虐めたりしないし、ちょっと見栄っ張りなところがあるだけで」
「はぁ……そうなんだ」
ていうかいま初めて名前知ったよ
ふーん……ちょっと自己主張がめんどくさいと思ったけど、家のことに関しては言ってこないもんね
〜(小声終了)〜
「そうなんですか。凄いんですね」
「まっ、まぁな!お前もわからないことがあったら遠慮なく俺に聞けよ?」
「ええ。分からないことがあれば……」
「お前はなかなか見所があるやつだからな!卒業したら俺が雇ってやってもいいぞ……その……他の就職先の中でも最高の待遇をしてやろう」
「はぁ……まだ分からないので……」
「なんだ?何が不満だ!?」
「えっと、就職はしないと思います……嫁ぐ予定なので……」
「嫁ぐ……?お前許嫁でもいるのか……?!」
「はーい!そこ!無駄話は禁止よー!授業に集中しなさーい!」
む……私から話しかけたわけじゃないのにぃ
そのあとは特に話しかけられることもなく、授業が終了した
♦︎♢♢
帰りのホームルームも終わったし、早く帰ろ
「おい……さっきの話……」
またアラン君か……私が年下だから絡みやすいのか?さては友達いないな?
「ねえさん!帰ろうー?」
シオン!ナイスタイミング!
「!!シオン!うん!帰りましょ!」
「……お前は……?」
「?はじめまして。シオンです」
「……俺はアラン・アークレイドだ。……お前ら……本当に姉弟か……?」
!?めっちゃ地雷なんですけど
確かに私は銀髪、紫目、シオンは金髪に碧目だから似てる要素はないよね……
でもそこは空気読んでスルーしてほしかった……
「……血は繋がってないですね。でも一緒に暮らしてますし、将来家族になる予定なので姉弟みたいなものですよ。ね、セシリアねえさん」
「なっ……」
「おーい、2人とも。帰り仕度ができたら校門前で待ってるぞ」
あぁぁ……パトリック様まで来ちゃった……
……ザワ……ザワ……
「!?帰りまで……!?パトリック先輩とはどういう関係なんだ!?」
「?えっと……えーっと遠い親戚です」
「親戚……?」
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……ヒソヒソ……(小声)
「もしかしてあの噂……って本当なのかしら?」
「え?なになにー?教えなさいよ」
「王の隠し孫が入学するって噂よ」
「えっじゃああの2人のどちらかが王の庶子ってこと?……たしかに2人とも見目も良いし平民には見えないわよね……」
「えーそうなの?シオン君超絶可愛いからうちに引き取ろうかと思ってたのにぃ」
「やめときなさいよ。庶子とはいえ王の血を引いてるかもしれない子に手を出したらあとが怖いわよ……実際パトリック様とも繋がりがあるみたいだし」
「そうねぇ……」
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……聞こえてますよーう……
でもパトリック様が来てくれなかったらシオンが危なかったかもしれないから助かった……のかな?うん
「ねえさん。お待たせしたら悪いから早く行きましょう」
「あ、じゃあ私達はこれで……さようなら」
「あ、おう……またな……」
♦︎♢♢
(馬車の中)
「セシリアは早速絡まれてたみたいだけど大丈夫?確かあの子は1学年で”昨日までは”最年少だったアークレイド家のアランだろう?」
「アークレイド家……何処かで聞いたような……」
「ああ、この国の宰相の息子だね。宰相の子供同士だけど気は合いそうにない感じかい?」
「ええっと……悪い方ではないと……思います。ちょっと今まで関わったことのないタイプなので……」
「ねえさん。こういう事ははっきり言ったほうがいいですよ。正直に言って苦手なタイプでしょう?」
「うう……まぁ……そうともいう……」
「そうか……彼がダメならやっぱり僕の方がいいかな?」
??
「まぁ、アラン君よりはパトリック様の方が話しやすいですね」
「そうかい?光栄だよ。じゃあそういう事で、進めておくね」
?何を……?
「なんのことですか?」
「いや、こっちの話。セシリアは”まだ”何も気にしなくていいよ。あ、もし良ければ明日からのお昼、一緒にどうだい?」
「僕はそのほうがいいですね」
「あ、毎回は無理ですけど、週に何回かはいけると思います。何処で食べますか?」
「それなんだけどねぇ……ちょっと毎回同じだとめんどくさい人たちにバレそうだから、一緒に食べる日の朝に知らせるよ」
……めんどくさい人って……パトリック様目当てのお姉様方のことかな?うわぁ……見つかったらめんどくさそう……一緒に食べるのやっぱり断ろうかな……
「最低週に2回は一緒に食べれるようにしよう。現状も報告し合いたいからね。もちろん3人で」
「……分かりました」
「僕も異論ありません」
無理を言って通わせてもらっている手前……ここは我慢しよう……
そして転入1日目は特に何事もなくおわった
〜ワーマン王国〜
【初登場人物】
《宰相の息子》 アラン・アークレイド
赤髪(短髪)緋目 10歳 155㎝
アークレイド家の後継者として教育に関しては厳しく育てられた反面、同世代の子供達との付き合い方がわからず、高圧的な態度で接してしまうが根は真面目な少年。自分よりも年下ながらも才能のあるセシリアとシオンに興味を持つ
《???》ケイン・???
茶髪、翡翠目 (襟足が長く、前髪は真ん中分け)
12歳 165㎝
貴族だが平民に偏見なく関わっている少年。魔法実技の際にセシリアとアーナと同じグループになった。セシリアの右隣の席
《???》アーナ
茶髪 橙目 癖っ毛12歳
セシリアの前の席の特待生の女の子。ケイン、セシリアと3人でグループを組むことになった。