289話 帰郷ですっ!
今回から新章突入です!
章タイトルは未定です、決定したら編集します!
「すぅ……はぁ〜」
両手を開き、目を瞑りながら空を仰ぎ見る様に胸を張って空気を目一杯肺に溜め込み……一気に吐き出す!
「うん、特に何とも思いませんね」
「もう少し感傷に浸ろうよ、そこは……」
フォルクレスさんは一体何を言っているのでしょうか?
「これでも十分に感傷に浸っているでは無いですか。
今のは何のための深呼吸だっとも思っているんです? ねぇ、メルヴィー」
「その通りでございますが。
この愚か者に崇高なお嬢様のお気持ちを察する事は不可能かと」
いつにもまして……いや、フォルクレスに対してはいつも通りですか。
とりあえず、辛辣にして毒舌! しかし、それも仕方ありませんね。
今のは地球を管理する神のくせに、僕のとった行動の意味を理解できないフォルクレスが悪い。
ここは僕が身振り付き深呼吸の何たるかをご教示してあげるとしましょう。
「フォルクレス、よく聞いてくださいよ。
今の僕の様に、身振りを付けてまで深呼吸するのは主に2つの場面に於いてなのです。
1つ目は、自然豊かな場所! 所謂、空気の綺麗な所で新鮮な空気を吸い込む時。
そして2つは……」
「ルーミエル様、ソフトクリームを買って参りました」
ソフトクリーム……! そして何て美味しそうなんでしょうかっ!!
流石はオルグイユ、気が利きますね! これは食べない訳にはいきません!!
「ありがとうございます!
んっ……それで2つは、ん……ですね、ん……」
「話すか食べるか、どっちかにしようか?」
「そうですね、分かりました!」
食べ歩き等をしているならまだしも、ここはオシャレなカフェのテラスですし。
うん、確かに食べながら話すなんてお行儀が悪いですね……
「まさか、話さずに先に食べるとはね……」
なっ、何て無慈悲な事をっ……!
つまりは何ですか? フォルクレスはソフトクリームを食べるのを中断して話を続けろと言ってたって訳ですよね?
美味しそうなソフトクリームを手に持っているのに!
し、信じられません!
目の前にソフトクリームがあって、後回しになんてできる訳がないでしょうにっ!!
「だから、深呼吸の事もわからないんですよ。
はぁ、まぁ良いでしょう」
「どうして、キミがやれやれ的な雰囲気になっているのかな?」
「それで、2つ目の場合ですが」
「無視っ!?」
煩いですね。
ここはオシャレなカフェなんだから大声を出さないで欲しいものです。
「それは……ズバリ! 故郷に帰って来た場面で感傷に浸る時なのです!!」
「……はぁ、そうなんだ」
何ですかその反応はっ!!
これは数々の漫画やアニメが証明している、純然たる事実!
帰郷した主人公が両手を開いて大きく深呼吸するシーンは誰もが想像できる常識なのにっ!!
「くっ! そもそも、フォルクレスは地球のか……」
「お嬢様、私のケーキをお食べになりますか?」
「えっ? いいんですかっ!?」
「勿論です。
味は我々の店の物と比べても遜色ありませんので、是非こちらも味わって下さい」
おぉ! 何て優しいんでしょうかっ!!
メルヴィーの背後に後光が見える気がします!!
「ありがとうございます! はむ……んんっ!」
至福のひと時とはまさにこの事です!
「お嬢様、ケーキを食べ終えたら我々が用意している拠点に移動いたしましょう」
「ん? そうですね、分かりました!」
確かにコレールの言うように移動するべきですね……僕の精神の安寧のために。
周囲の視線が凄まじいですし……
「もぐもぐ……ん、帰郷での感傷にも浸った事ですし、このケーキを食べたら移動しましょう!
あの件もあるけど、久しぶりの日本を満喫しないとですしね!!」
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