251話 受験開始です!
先程まで騒然としていた周囲に静寂が満ちる。
まぁでも、推薦者が神々のトップだったらそりゃ驚きますよね。
しかも、その対象が僕みたいな幼女だから余計にビックリした事でしょう。
とは言え……受付嬢さんまで唖然と目を見開いて固まっちゃってますね。
う〜ん、これはどうすれば良いのでしょうか?
「あの……大丈夫ですか?」
「はっ! すすすす、すみません!
受験生さんの個人情報を叫んでしまうなんて……本当に申し訳ございません!!」
「いえ、構いませんよ」
必死に頭を下げる受付嬢さんに、爽やかな笑顔で軽く応える。
さながら、今の僕は仕事ができる女! 多少の失敗程度、笑って許す女傑!
女性に憧られる、カッコいい系の女性です!!
まぁ、側から見れば、お付きのメイドに抱っこされた幼女ですけど……
「それより、これからどうすれば良いのでしょうか?」
「はっ、はい。
貴女様の受験番号はこちらになります。
この受付の右手にあります、講堂にて試験が始まるまで待機して下さい」
事前に送られて来た受験票と交換で渡されるナンバーカード。
ふむ、このカードに内蔵されている権能……なる程、流石は神々の学園ですね。
「分かりました、ありがとうございます。
けど、貴女様なんて畏ら無いで下さい、僕はただの一受験生ですので」
はい、これで受付嬢さんが落ちた!
僕の浮かべる爽やかな微笑みに、受付嬢さんを含め周囲の人達が頬を薄っすらと赤く染める……ハズなのに。
おかしいですね。
ゲームや小説ではこれで周囲から黄色い悲鳴が起こるのに、何故か微笑ましげな顔をされました。
まぁ理由は明らかですが……認めたく無い! ここは異常事態が発生した事にして……
「これは何の騒ぎかねっ!?」
突然、転移で現れた眼鏡をかけたイケメン、如何にもエリートって感じですね。
しかし、静まり返ってるのに騒ぎって……本当に異常事態が発生しちゃいましたか。
「い、いえ、これは……私がこちらの受験生さんの個人情報を思わず叫んでしまって……」
おぉ! 呼び方がちゃんと直ってる!
相手の意向にちゃんと従うとは、流石はプロフェッショナル!
「何だと?
君はこの栄誉ある統一神界学園の生徒だろう、学園の一員としての自覚を持てっ!
我が統一神界学園に泥を塗るつもりかっ!!」
いや、こんな公衆の面前で喚き散らしてる貴方の方が、泥を塗ってる気が……
「申し訳ありません! オルワルド教授!」
教授っ!?
こんな人が教授やってる学園に通わないとダメなのか……絶対にネルヴィア様、泣かせてやります!
「僕は気にしていないので、受付嬢さんを責めないであげて下さい。
こうしてこの場所で騒ぐ方が余程、他の皆さんの迷惑になりますから」
「何だね君は?」
この高圧的な態度と視線。
良いですね、初対面の人とまともに会話するのは緊張しますが。
敵意や悪意を向けてきたり、見下したりしてくる人が相手だと、何の気負いも無い。
「ただの一受験生ですよ?」
「こ、この方は、私が個人情報を叫んでしまった方でして……」
「何だと? この様な子供が、栄えある我が統一神界学園の受験生?」
本当に失礼ですね。
こんな見た目でも、お前よりは強いわっ! 多分ですけど……
「君、あの子供の受験票を見せたまえ」
そんなに納得いきませんか。
ええ、そうですか! 人を見た目で判断するなんて……後で学園長であるオシークスさんに苦情を入れてやりましょう!
せいぜい、減給にでもなって苦しむが良いっ!!
「なっ!? こんな子供が、神王様の推薦だとっ!?」
うわぁ……受付嬢さんに自覚を云々言っておいて、自分も叫ぶって。
もう周囲の皆さんもドン引きです。
「貴様、ふざけるなよ? この統一神界学園は、統一神界に於いて唯一にして神聖な学府なのだぞっ!
この様な不正が許されると思っているのかっ!?」
「……はぁ、もう良いです。
メルヴィー、行きましょう」
「かしこまりました」
恭しく答えたメルヴィーが踵を返す。
よかった、一安心です。
今、メルヴィーもかなりイラついてましたからね……
受験当日に学園の教授と流血事件とか、流石に笑えません。
尚も何やら喚くイケメンメガネを放置して、受付嬢さんに言われた講堂に入ると……
「おぉ!」
「空間を拡張している様ですね」
「流石は神クオリティー」
まっ! 我がナイトメアでも当然、取り入れてますけどね!!
「受験番号によって、区画が分けられている様ですね。
早く行って隅を確保しなければ!」
1人まで認められている同行者であるメルヴィーが隣に座るとは言え、中央の席なんかに座ってしまえば目も当てられません。
無事に最後尾の隅の席を確保! ミッションコンプリートです!
しかし、何故か皆さん前列に集中している様ですね……何かあるのでしょうか?
「う〜ん、こう言った席に座っていると、ポップコーンが欲しくなってきます」
何か映画館みたいだし。
けどまぁ、地球では確か、講堂って飲食禁止の場所が多かった気がしますね。
映画館は良いのに講堂はダメ、謎ですね……
*
「お嬢様、始まりましたよ」
「んぅ……ありがとうございます」
暇すぎて寝てしまっていた様ですね。
感覚からして、寝ていた時間は僅かに20分程ですね。
受付で手間を取られなければ、もう少し寝れたものを!!
「大変長らくお待たせしました。
これより、統一神界学園、入学試験を開始します!」
受験開始ですかっ!
さっきのイケメンメガネ教授と同じ様に、不正とか言われても面倒ですし。
ちょっと頑張るとしましょうっ!!
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