242話 幼女じゃないですかっ!!
扉の左右に控えていた衛兵さん達によって押し開かれる荘厳な扉。
豪華絢爛でありながら気品を失わない洗練された重厚な空気が漂う。
ふかふかなカーペットが敷かれ、正面奥には上段から扇状に広がる階段。
その階段の上に鎮座する玉座。
確かにネルウァクス帝国やアレサラム王国、フェーニル王国の物よりも数段凄い。
流石は神々の城と言ったところでしょう……
しかし、謁見の間と言うのは、総じてどこもそう大して変わらないらしいですね……
「非常ぉーに、残念でなりませんね」
「ふふふ、そうお気を落とさずに」
僕を片手で抱っこしたメルヴィーに、もう片方の手で頭を撫でて慰められる。
そ、そんなに顔に出てたんでしょうか?
「神王が待つ謁見の間に入って、開口一番でそれとはね。
それも、こんなに膨れちゃって」
「失敬な! 僕は立派なレディーであり、ナイトメアを運営する自立した大人ですよ?」
これと言った違いは全体的に白くて、神聖な感じがする程度。
確かにちょっと期待外れでしたけど、この程度で膨れたりはし無いのですっ!!
「それにしても……」
現在の謁見の間は何故か人払いがされており。
この場にいるのは、先導してくれたエネトスさんを含め、僕達以外には面会する予定の神王のみ。
部外者である僕達と会うのにこの警備とは……まぁ当然、隣室に警護は控えている様ですが。
これは余程エネトスさんの事を信頼しているのか、僕達をナメているのか……
まぁ僕達のことを下に見て、ナメて掛かってくれるならこっちとしても楽なので構いませんが。
神々を統べる神王、一体どれ程の者……
「き、貴様ら……この妾を無視するで無いっ!!」
響き渡る知らない声。
この場において、知らない声と言う事はつまり……
「うっ、ううう、嘘でしょう……!?」
思わず、愕然とした声が漏れる。
青み掛かった美しい銀の髪を揺らし、その容貌は正しく神の美貌……
「幼女じゃないですかっ!!」
どれ程の傑物が出てくるのかと思えば、玉座に腰掛けるのはまさかの幼女。
アレですか! ロリ魔王様てきな!?
いやまぁ、魔王じゃ無くて神王だけど……テンプレ様、全世界共通だったんですかっ!?
「主にだけは言われとう無いわっ!!」
はっ!? ぼ、僕とした事が、あまりの事態に一瞬思考がオーバーヒートしてしまった様ですね。
「そもそも、妾はこう見えて主らより長く生きておるのだぞ!」
「なっ!? それはつまり……」
「な、何だ?」
「ロリじゃ無くて、ロリババアって事ですかっ!?
ロリ魔王じゃ無くてロリババア魔王で、ロリ神王じゃ無くてロリババア神王っ!!」
こ、これは由々しき事態です!
まさか、神王がこれ程までに凄まじい多重属性だなんて。
もうテンションが上がるどころか、振り切っておかしくなっちゃいますっ!!
「もうヤダ、あの子っ!
フォルクレス殿、何とかしてくれっ!!」
「いやぁ、こうなれば私にも手が付けられませんね」
だって、ロリババア神王ですよっ!?
寧ろ、この状況で何故ここまで落ち着いて居られるのでしょうか?
「興奮するルーミエル様もまた……!」
「オルグイユさん、その気持ち分かります!」
「私もです!!」
「同じく!」
「ええ、本当に!」
「俺もだ」
「ふふふ、如何やら私達は同志の様ですね」
オルグイユ達は……また遮音結界を張ってますね。
けどまぁ、オルグイユ達もこのロリババア神王様の素晴らしさについて語り合っているのでしょう!
オルグイユは違っても、神王様は他の皆んなの上司の様なものですし。
本人の前で直接語り合うのは気まずいのでしょうね。
「ふふふ、お嬢様、良かったですね!」
「はいっ!
無理やり連れて来られた仕返しに、フォルクレスの秘蔵のお酒コレクションを廃棄してやろうと思っていました……」
「えっ!?」
フォルクレスが上擦った声を上げる。
ふっ、どうやらバレていないとでも思っていた様ですね。
「でも、そんな気も吹き飛びました!
これを見られただけでも、ここに来た意味はありました!!」
「神王様、私はこれ程までに貴女に感謝の念を抱いた事はありません」
正しく紳士と言った感じで跪き、礼を述べるフォルクレス。
それ程までに大事なコレクションだったとは……
オルグイユ達のお仕置きで廃棄物とならない事を願うばかりですね!
「な、何なのだ一体……
フォルクレス殿達から、変わった者とは聞いていたが、これ程までとは……」
何か今、物凄く失礼な事を言われた気がしますが。
まぁ、今は気分が良いので、細かい事は気にしないでおきましょうっ!!
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