ルルーシカとトイレ
「ここもダメなの?」
ルルーシカは職員室へ通じる5つ目のドアですら、
職員室にむかうことができなかった。
「おかしいわ。絶対におかしい」
ヘッドリッジ魔法学園の職員室は10のドアから通じている。
その場所も、様々で、女子更衣室から通じているものもある。
それなのに、その半分のドアすべてて、
ドアを開けることはできても、
職員室に向かうことはできなかったのだ。
ルルーシカはトイレのドアを背に、座り込む。
もちろん、ここは女子トイレなのだが、
そんなこと、構っていられないほど、今は疲れていた。
「もうどうしようかしら、教室に戻りたくても、戻ることはできないし」
ヘッドリッジ魔法学園の空間は、
理由はわからないが、ありえないほどねじ曲がっていた。
そのため、ルルーシカは迷路に迷い込んだように、
自分が今、どこにいるかを把握できていなかった。
否。
自分が知っている、ヘッドリッジ魔法学園の地図があてにならず、
どこを通ったらどこに出るのかわからない状態に陥っていた。
タンタンタン。
足音がした。
ルルーシカは息を飲む。
指先を宙に走らせ、魔法陣を展開する。
女子トイレに、女子生徒が一人が入って来た。
ルルーシカを見つめると、口元を細め、ニッと笑う。
瞳は色を失い、まるで生きる屍のよう。
何者かに、操られているのだ。
「もう、イライラさせて!!痺れなさいよ!!」
宙に展開した魔法陣に腕を通すと、
黄色い閃光が、トイレに入ってきた女子生徒を飲み込んだ。
女子生徒は、膝から崩れ落ち、
タイルの上でブルブルと痙攣をした。
「いったい、どこのどいつがこんなことをしているのよ」
すでに、20人ほどヘッドリッジ魔法学園の生徒を
ルルーシカはこのように始末していた。
最初はうかつにも、攻撃をされ、
かすり傷を負いはしたものの、今では
敵かどうかを見分けれるようにまでなっていた。
というか、出会った生徒すべてが敵だったのだが。
敵の特徴1覇気がない
敵の特徴2笑顔がない
敵の特徴3全身脱力している。
大まかな分析で、敵はこういった特徴を持っていると
わかった。
「くう~。魔法の使い過ぎはお腹が減るのよね。さてどうしようかしら」
場所は女子トイレ。
個室が8つ。
どのドアも開いている。
「にしても、トイレにきたらすることは一つよね・・・」
ルルーシカは女子トイレの最奥の個室に入る。
そのドアには注意書きがされていた。
『どこに出ても、嘆かない』
「しょうがないわよね。ちょっと汚れてしまうのは嫌だけど、このままじゃ、らちがあかないわ。お願い、私が今行きたい場所に連れてって」
ルルーシカはジャンプをし、便器に飛び込んだ。
ゴオオオオ!と便器の水は渦巻き、
ルルーシカを吸い込んでいく。
目がまわり、
水流の音が耳に響き、
落下の衝撃を感じたと思い、顔を上げると、
倉庫にいた。
それも、ルルーシカが毎日、昼食を買う、あの自販機がある倉庫だ。
「ラッキー!!すっごくお腹が減っていたのよね」
自販機でさっそう5つのハンバーガを買い、
数分でルルーシカはたいらげた。
制服は、濡れてはいたものの、気にならなかった。
「さて、お腹もポンポンになったし、次に行くわよ。どこをどう通ったらどこに行くかわからないのなら、徹底的に走りつぶしてやるわよ」
倉庫を出て、ルルーシカは走り出した。
荘厳な柱が立ち並ぶ石の廊下を走り、
四つ目の角を曲がった時、
一人の女子生徒が歩いているのが目に入って来た。
敵確認。
敵の特徴、覇気がない、笑顔がない、全身脱力している。
ほぼ一致。
さらに、青色の髪、憎らしいほど色白、同学年の胸のリボンの色、
嫌いな奴、人形。
そして、
そいつの名前はレーラ。
間違いない、完全に敵だ。
「ほらほらほら、人形!!あんたも、おかしくなっているんでしょ。なら、あたしが始末してやるわ!!」
ルルーシカは宙に紋様を描いた。
その紋様は、赤色に輝く鳥のような紋様だった。




