帰り道――巨木
タクとルルーシカは校舎を出て、しばらく校庭を歩き、白い門をくぐた。
黒色の両開きの扉が、向こう側に開いていた。
扉の中心には魔法文字が描かれており、それが中央で二つに分かれていた。
大きいなぁ。巨人がいたら、余裕で通れるくらいにバカでかいんじゃないのか。
あれ?よく見ると、門の上部に鐘がある。
これが鳴っていたのか。
「・・・なあ、帰るって言ったけど、どうやって帰るんだよ」
「そこの木をまず通るのよ」
「木?」
「そうよ」
ルルーシカは巨木を指さす。
そこには、バカでかい木が存在していた。
幹の太さだけで、人が数十人並べるほど。
さらに、かなり長い年月そこに立っているのか、
幹の節々は、その年月を想像させるには十分なほどの傷跡がついていた。
その巨木は、周囲に生えている他の木とは明らかに違った。
一本だけ、養分を吸い過ぎたのか、巨人のいる世界から運んできたのか・・・。
それくらい、異質だった。
ルルーシカとタクは巨木の前で立ち止まる。
すると、
木の幹はスルスルと裂け、大きな穴がぽっかりと開いた。
ズボンのチャックを開けた時のように、ごく自然な開き方だった。
「わ、わ、わ、開いた・・・げっ・・・こんな所・・・通るのかよ」
「ほら、ビビッていないで、さっさと帰るわよ」
ルルーシカは穴に入ってゆく。
タクはルルーシカに付いて行こうとすると、
巨木の根に埋もれ、わずかに顔を出している井戸が視界の隅にうつった。
おいおい、こんな所に井戸って。
誰かが落ちたらどうするんだよ。誰かが。
「さあ、早くきなさいよ。おいていくわよ」
「ああ・・・悪い」
穴の左右には石碑が並んでいた。どれも木の根がからんでおり、
石碑自体もかなり古いモノらしく、色がくすんでいた。
なんだよ・・・気味わり~な。
何かをまつっているのかよ。
無意識に、タクはルルーシカの制服のすそを掴む。
「わ、わ、わ、な、何よ、急につかんできて・・・はは~ん、あんた、マジでビビってんのね。それでもモノがついてんの?はあ~ご主人様としては、本当に情けない気分だわ」
うるせ~よ。もうつかまんわ。
タクはルルーシカの裾から手を離した。




