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タクは無事なの?

「どうして、あんたが秘密の図書室を知っているのよ!!」

「ふふふ、タクが教えてくれたのよ」


 ミアは秘密の図書室のドアを背に、腕を組んでいる。


「タクがどうして・・・」

「どうしてって・・・私たち、付き合っているから当然でしょ。彼氏が彼女に、ウザったい女についてのことを教えたからといって、いったいどんな問題があるというの?」


 ルルーシカは、ミアの言葉をほとんど聞いていなかった。

 タクはレーラと共に、レゲイラの門を解放するため、旧校舎に向かったはず。

 なのに、何故、ミアはタクからこの図書室の場所を聞き出せただろうか?


「あんた、いつこの場所を聞き出したのよ」

「ふふふ、そんなのついさっきに決まっているじゃない。タクは、あなたのことを心底うざがっていたわ。

 かわいそうにね。

 たまたま同郷というだけで、たまたまあなたと同じ環境で育っただけで、才能だって容姿だって、性格だって遥かに上のタクが、わがままで、女であるというだけしかとりえのない、家畜以下のあなたに束縛されないといけないだなんて」


 ルルーシカはミアの挑発もほとんど聞いていなかった。

 それよりも、ミアが先ほど言った言葉、

 『ついさっきよ』という言葉に、ある恐怖を抱いた。

 

 ミアが『ついさっき』――――この秘密の図書室が存在している場所を聞いたのなら、

 最悪の想像では、

 タクとレーラはすでにミアの手に落ちている(・・・・・・・・・・)


「・・・タクは無事なの?」


 ルルーシカの言葉にミアは目を細める。


「へえ~。単細胞のおバカさんだと思っていたのに、意外と察しがいいのね」

「無事かって聞いているのよ!!答えなさいよ!!」

「さあ、どうかしら・・・・・・。

 ・・・まあ、無事と言っちゃあ無事ね。でも、どうなるんでしょうね」

「・・・ふざけているの?」

「ええ、ふざけているわ。どうして、ふざけないでいれる?あなたの前で・・・」


 けらけらけらとミアはお腹を抱えて笑う。


 こいつ、狂っているのかしら、とルルーシカは思う反面、

 タクが無事であると聞いたことで、少しばかりほっとした。


「ふふふふふ、あっ、そう言えば、あなたとの決闘をまだしていなかったわよね」

「決闘?ああ、あんたが私に恐れをなして逃げたあの決闘のことね」

「私が逃げた?

 くくくくく、本当におかしい人なのね。何故、私が逃げないといけないの。

 あなたよりも、はるかに強いこの私が」

「・・・なら、試してみる?」

「ええ、いいわよ。だけど、今すぐこの図書室で決闘を行うのはどうかと思うの。

 だって、この図書室には、何万冊もの古い時代の本があるでしょ。それを燃やしてしまったら、大きな損失だと思わない?」


 ミアは壁全面に並べられた何万冊もの本を見上げながら呟く。


「それに、ヘッドリッジ魔法学園では、《決闘》はしかるべき場所で行われるのが伝統でしょ」

「へえ~、自らの不細工な外見と男にしか興味がないと思っていたアバズレのあんたが、珍しく気が利くのね」

「そうよ。私は、少しばかりいろいろなことが見えるようになったのよ」


 ルルーシカはミアの変化を感じ取っていた。

 今までのミアとは明らかに違う。


 ・・・・・・、

 ・・・、

 果たして勝てるだろうか?

 禁止魔法『フェニックス』を軽々と防いだ人形をやぶるほど、

 急激に強くなったこいつに。


「―――――ーふっ」


 そうは思いつつも、

 ルルーシカはひくことなどできやしなかった。

 どんな時でも、

 前だけを、

 前だけを向いて、ルルーシカは生きてきたのだから。


「さあって、移動しようかしら。おおっと、わざわざ歩いてなんて野暮な真似はしないわよ。ほら、こうやって・・・」


 ミアは宙に紋様を描いた。

 それは、とんがり帽子先生が使ったのと同じ空間転移魔法の紋様だった


「さあ、行きましょうか、決闘の地――――ヘッドリッジ魔法学園第一グラウンドへ」




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