ギョロリとした怨念
朝食を終え、しばらくすると、ルル―シカが昨日語った作戦の確認をした。
目新しい内容は何もなかった。
タクがルルーシカに罵られただけだった。
テーブルの上にあった食器は片付き、しばらく沈黙が訪れた。
耳をすますと、オルゴールが流れていた。
鎮魂歌のような、悲しげなメロディーラインなのだが、
不思議とそのオルゴールに聞き入ってしまう。
そういった類の力がそのオルゴールには宿っていた。
「ねえ、あんたたち、誰が怪しいと思っているのよ?」
不意にルルーシカが言葉を発した。
レーラは「わからない」と言い、タクは何も答えられなかった。
タクは犯人が誰なのかさっぱりわからなかったからだ。
ただ、
ギョロリ、ギョロリ、ギョロリ、
と、
タクの脳裏にグミグミしたあの巨大な物体の、生々しくも巨大な目が、
ちらつく。
ちらつく。
何度もちらつく。
「はあ~、本当に情けないわね。あんたたち、誰が犯人なのかも考えていなかったの?」
「なら、お前は誰だと思うんだよ」
「もちろん、ミアよ。怪しすぎるじゃない。禁止魔法を使うわ、あんたを違う次元に閉じ込めるわで、犯人確定よ」
確かに・・・でも。
ギョロリ、ギョロリ、ギョロリ。
タクの脳裏に、血走ったあの淀んだ巨大な目がちらつく。
「で、でもさ、もしかして、あくまで、もしかしてだぜ。ミアじゃなく・・・変な物体かもしれないじゃないか」
「は、はあ?何を急に言いだすのよ。悪夢でも見たの?そんなもの当然却下よ」
却下って・・・。
「これはね。明らかに魔法使いの仕業なの。それも高度な魔法を複数使えるね。そう考えると、ミアが一番妥当じゃないか思うの。だって、私、あいつ嫌いだし」
嫌いかどうかは関係ないだろ。
「なあ、聞いてくれよ。俺、見たんだよ、黒い変な物体を・・・」
「何よそれ」
タクはルル―シカに自分が見たものを説明した。
ルル―シカは少しばかり驚いた様子だった。
「それはたぶん、呪いの一種ね。つまり怨念よ。犯人の代わりに動いているのね。おそらくは魔法よ。私はどんな魔法かはわからないけど、そうとしか考えられないもの。
これで、よりミアの線が濃くなったわね。あいつ、私に嫉妬していたもの。美人で優秀なこの、わ、た、しをね。
それにしても、そんな大事なことは、もっと早く言いなさいよね」
お前のせいで言えなかったんだがな。
にしても、魔法かぁ。
うむむ、納得はできないが、魔法ならありなのか?
まじでなんでもありなんだな、魔法って。




