普通の朝食
タクは寝室へと戻ると、小部屋へと通じていた壁は、
音もなくスゥーと消え、元の灰色の壁となった。
タクはローブを脱ぎ、洗濯された制服へと着替えた。
花の甘い香りがほんわりとした。
「早く来なさいよ!!」
ルル―シカの怒鳴り声が大広間から聞こえてくる。
ほっといてもよかったのだが、後々めんどくさいよなと思ったタクは
しぶしぶ大広間に行くと、案の定、
「もう遅い。遅い。遅い。遅い。このグズ!!」
怒鳴られた。
「わ、悪い」
儀礼的な謝罪。
「ほんと、奴隷とは思えないくらい、のろまなんだから、ご主人様を少しくらい気づかいなさいよ。お腹が減りすぎて死んでしまったらどうするつもりだったのよ」
なら先に食べてればいいじゃん。主人なんだろ。
タクはルル―シカの隣に座った。
テーブルの上には、昨日とはうって変わり、
一人一皿分の朝食が用意されていた。
皿の上にはロールパンにベーコン、目玉焼き、
サウザンドドレッシングがかかったサラダがのっており、
さらにはカップにつがれたミネストローネに、
デザートにはイチゴ、マンゴー、モモなどのフルーツが盛られていた。
グラスには、赤い液体が満たされており、
それは、ブドウジュースだった。
ルル―シカはタクが椅子に座ると、すぐに料理をがっつきだした。
ハグハグハグ。
「おいしいわね。でも、ルル様の料理はもっとおいしいんだから・・・」
昨日の夜と同じ言葉をこぼしているルルーシカに、
タクは苦笑いをこぼす。
「何よ。不細工な笑顔をして、食べないなら、もらうわよ」
「あ~~~~!!」
タクはルルーシカに朝食の半分奪われてしまった。
数分後、
「ふう~、食べた食べた」
ルルーシカはお腹をポンポンポンと叩く。
おかわりを、四、五回していたような気がする。
毎度のことながらよく食べるわ。
3人が朝食を終えると、
手袋がどこからかトコトコと歩いてきて、
皿を器用に持ち、運んでいった。




