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ルルーシカの計画

「不安なの?」


 ルルーシカは枕の上にある顔を、わずかばかり動かす。


「わからない」

「んふふふふ」


 ルルーシカの笑い声が寝室に響く。


「何がおかしいんだよ」

「ごめんなさい。あまりに昔の出来事に似ていたから・・・」

「昔の出来事?」

「ええ、そうよ。昔、あんたが私と一緒に寝てた時、夜の闇が怖いからって、よく抱きついてきたなって・・・ちょっと、勘違いしないでよね。お互いずっと小さかった頃の話よ。その時に近いかなって、ふと思ったの」


 タクはルル―シカの言葉を聞くと、

 心を覆っていたもやもやが、不思議と晴れていくような気がした。


「そんなことがあったんだ」

「ええ、あんた、最初は強がっていたくせに、結局はいつも、私に抱きついてきたのよね」

「誰がだよ」

「あんたよ。んふふふふ、少しは目の色がしっかりしてきたみたいね。でも、昔みたいに抱きつかせてあげないわよ。だって、私たち、もう高校生だもんね」


 ルルーシカの笑顔に、この時のタクは救われたような気がした。


「なあ、これからどうするんだ?」

「うん、明日、私、秘密の図書室に行こうと思うの」

「え、あそこにか?」

「そう、秘密の図書室には古い本がたくさんあるでしょ。私、考えたのよ。次元の闇を越える方法を探しておいた方がいいなって。もし、見つかれば、助けが来るまで待つ必要がなくなるでしょ。でも、都合よく見つかるとは限らないから、あんたと人形はレゲイラの門を使って外部と連絡を取ってもらいたいの」

「ん?それなら、3人でレゲイラの門に行った後に、秘密の図書室に行ったほうが良くないか?その方が、安全だし」


 タクはベッドから上体を浮かす。


「安全?安全ってどこが安全なのよ。三人での行動?はっ?敵だらけなのに、一緒に行動したら、なおさら危険よ。それに、あんたなんて、戦力外でお荷物なんだから」

「あん?」

「別段、ルル様は危険をかって出ているわけではないのよ。レゲイラの門のある場所のほうが敵が少ないとも言っていない。ただ、お荷物のあんたが邪魔だから、人形とレゲイラの門に行ってほしいわけ。それに、人形のほうが私より強いから、あんたを人形に預けた方が安全だなんて、全然思っていない。図書室で、真剣に本を探すのには、一人のほうが落ち着くと言うか、なんというか・・・」


 何を言っているんだ?こいつ。

 まあ、俺がお荷物なのは否定しないが、

 現状、三人で行動したほうがいいに決まっているだろ。


「まあ、とにかく、この先、どうなるかわからないわけ。なら、手は多く打っておいた方がいいでしょ。それに、私たちが二手に別れれば、敵を分断できるかもしれないし」

「なら、どこで落ち合うんだよ」

「そうね、深淵の森にある観察小屋でどう?人形、場所はわかっているわよね」

「ええ、わかっているわ。けど・・・」


 レーラが何か言おうとすると、ルルーシカがそれを止めるように、


「ああ、それ以上は何も言わなくてもいいから。わかったなら、それでいい。ルル様の献身的な犠牲に感謝の言葉なんて絶対にいらないんだから。これでもね、ルル様は少なくとも20人は葬っているのよ。ゾンビ女のあんたなんかよりも、絶対に強いんだからね」


 レーラはルルーシカの言葉に何も返さなかった。


「さあ、あんたたち、早く寝なさい。明日にさしつかえるわよ」


 ルルーシカはそう言うとすぐに、

 電源が落ちた子供のように、すっと眠ってしまった。

 レーラは、天井をボ~と見つめていた。

 寝ないのだろうか?


 タクはというと、不安を抱えながら目をつぶった。


 はりぼてまがいの計画で、本当に大丈夫かよ。


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