俺はここを出る。ざまぁしてやるぜ!
ドッシーーーン!!
タクは学習することなく、
再び足を鎖に引っ張られ、
前のめりに勢いよく倒れた。
もちろん、顔面から。
「ふふふ……何をやってるのよあんた、あ~、おっかしっ」
ルルーシカは白い歯を出しながら、笑っている。
「うるさい!! この鎖野郎!! この鎖野郎!!」
ルルーシカに対する怒りをぶつけるように、
タクは鎖をひっぱたいた。
銀色に輝く金属製の鎖はダメージを受けるわけもなく、
ジャラジャラと音を発しただけだった。
タクの拳は、赤く変色していた。
「・・・ほら、外してあげるわよ」
ルルーシカが鎖に触ると、
蛇のように足首に巻きついた鎖は、
ジャラリと音をたてて、ほどけた。
なんだ手品か?
いや、そういえば、風魔法がどうのこうのって言っていたっけ。
もしかして、魔法?
「ん? どうしたの?」
ルルーシカは首をかしげる。
「いや別に・・・ありがとう」
「別にいいわよ・・・で、自由の身になったわけだけど、これからどうするわけ?」
「俺は、帰る」
タクは即答した。
「帰るって、記憶をなくしたって言っていたのに、どこに帰るのかわかるの?」
「わからんが帰る。ここにいたくない」
タクはもう一度立ち上がり、ドアの方に歩いていった。
再び流れ出た鼻血は顎を伝い、
ポタリポタリと絨毯に赤いシミを落とした。
「ねえ、タク」ルルーシカは落ち着いた声で言う。「私、寂しい・・・な」
「あ、あん?」
タクは立ち止まり、振り返る。
「・・・くくくくく、な~んて言うと思った? さっさと出て行きなさいよ。バーカ、バーカ、バーカ」ルルーシカは笑いながら言う。「もし、心変わりして、どうしても出ていきたくなくなったら、ルル様ごめんなさいって、私の足をペロペロしながら言いなさい」
その言葉に、タクは一瞬、
出ていくことをやめようとした自分がなんて愚かだったのだと思い、
「さっさと出て行くわ、くそ女が!」と言って、
ドアノブに触れた。
と、その時、タクの視界が真っ白に染まった。




