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「あなたのためならなんでもできる!」
「じゃあ、屋上から飛んでみてよ」
彼女は笑顔で答えた。
俺は全速力で階段を駆け上り、屋上から飛んだ。
迷いは無かった。
これで死ぬなんてことはないと思った。
こんなところで死ぬ訳がない。
きっと、大丈夫。
眼前には大きな木が迫っていた。
背中で何かが折る音がした。激痛を全身に感じた。
腕や頬に何かがひたすら、ぶつかり、切りつける。
そして、これまでに受けたことのない衝撃を感じるとそこから意識が途切れた。
目を開けると、痛みや衝撃の前に、彼女を認識した。
「あのさ」
「なにさ」
「一度死んだほうが良かったんじゃない?」
「なんでさ?」
「こんな馬鹿とは付き合っていける気がしないからよ」
彼女は笑顔でそう言って、傷のついた頬を軽くつねった。
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