〈24-1〉
マントの姿達が飛び上がる。
その先陣を切るイードは、真っ直ぐにシェヘラを睨みつけていた。
「よくもクロア様に……! 大人しくしていればいいものを。生きていけると思っているのか。機械に生かされいるような俺らみたいな者が、その庇護下から出るような事をして!」
ワイヤーに吊られて危なっかしく揺れる機械の上に降り立つと、イードは即座に蹴ってシェヘラに掴みかかった。
「そんなの、関係ないよ!」
シェヘラはイードの手を掴み返し、受けて立つ。
「シェヘラ! 大丈……くそっ!」
慌てて手を貸そうとしたリズも、周りが放っておく筈がない。間を割るように落ちて来た二つの知った姿に押されて、飛び退くように距離を取る。
シェヘラはちらりとリズに目だけを向け、あちらはあちらに任せておいて大丈夫だと判断してから、また目の前の姿に向き直った。
「守るとか、守られているとかそんなんじゃなくて、私はただ、たった一つ心に決めた緑に溢れる場所を見てみたいだけ!」
「緑に溢れた場所? ハッ! 本当にそんなものがあると思っているなら、とんだお笑い草だ」
「疑って動かなければ何も変わらないよ。同じもの探してるリズや父さんが居て、私の夢、応援してくれた! 信じて探し続ければ、必ずたどり着ける!」
「嗤わせてくれる! 姉にすら信じて貰えていないくせに、他人に信じられればいいとでも言うのか?」
「それは……っ」
「所詮、その程度」
思わず、言葉を閉ざしてしまう。あからさまに表情を強張らせたシェヘラに、イードは畳みかけるように足払いを仕掛けた。
「しまっ――――」
シェヘラの視界がぐらりと流れる。
足元が揺れているせいなのか、あるいはバランスを崩されたせいなのか解らずにいる間に、背中から機械に叩きつけられた。受け身すらままならず、背中から受けら衝撃に空気の塊を吐いてしまい、身動きが取れなくなる。
「これで、一人目ッ」
「シェヘラ!」
一人に腕を掴まれながら、もう一人の上段蹴りを躱したリズも、思わず声を上げていた。
間違いなく確保した、イードすらもそう思った刹那の事だった。
ふわり、彼らの背後で飾り布が舞い上がる。緑青色の蛇が優雅に宙を舞っていた。
振り上げられたイードの頭の横を、柔らかな布が飛んできた。布の先には金輪が重りとなって、振り上げられた腕を支点に巻き付ける。
「なに?!」
「え……?」
驚かされたのは、イードだけではなかった。布の先にある重みによって強く引かれたのか、一瞬の隙をついて、イードの身体が後ろに強く仰け反り落ちていく。
シェヘラが慌てて身体を起こして布の先を辿ると、そこに見間違い様もなく、イードと共に落ちる姿に目を見開いた。




