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〈20-1〉

 

 行き交う姿は忙しなく、時折足を止めて情報を交換しては、慌ただしく去っていく。

 〈工場の木〉の前の広場に止められた移動船の周りは、そんな往来に囲まれていた。


 街の要所に置かれたカメラの映像を流し見ながら、してやられたと、クロアは眉間を押さえて、溜息をこぼした。いつもはきっちりと着こなしているノーフォークジャケットも、心なしかくたびれて見えてしまう。

 どれほど目を凝らして映像を眺めていてもらちがあかないと諦めると、椅子に体重を預けて背中を伸ばした。

 その背後に、濃紺のマントをまとったイードが、一度膝をついて礼を取る。

「失礼いたします、クロア様」

 端的に告げられた言葉に振り返り、淡い期待を込めて笑いかけた。

「おかえり、イード。塩梅はどうかな」

「芳しくありません。採掘場にてスタインフェルドを確認出来たのはやはり、落下の直後くらいのようですが……その」

「そう。その後の事は解らず終いか」

 言いにくそうにする姿に、クロアは無意識に舌打ちした。

 外の騒ぎは未だに健在だが、これ以上自分が、彼の為に捕らわれているのは時間の無駄に思えた。徐に胸ポケットから取り出した懐中時計を一別して、二刻ほど過ぎている事にまた、溜息が出た。


「イード、探査機の方はどうだい?」

 気持ちを切り替えて尋ねると、真っすぐにこちらを見返してイードは頷いた。

「はい、市街地に送り出した二機につきましては、ひとつは十五番通り男たちによってあらかた破壊され、十四番通りにたどり着くよりも前に停止いたしました。もう一つは大通りの抜け、十番通りに入った後に脇道に逸れたものの、同じく工具を手にした男たちによって解体されました。その後、男たちは徒党を組んでスタインフェルドの捜索に入りましたが、ご報告の通りです」

「困ったね。数で押しても逃げ切れるなんて、彼女以外の協力者に恵まれたのかな。……そういえば、リウミュからはどうかな?」

 思い出した名前を上げると、途端、目の前の表情は嫌なものを見るように険しくなる。

「あの女が言うには、裏切り者の隠れ家まで戻って来たスタインフェルド達に、一度接触したようです。ですが、身内と口論し、スタインフェルドを逃がしたとの事で、ご報告し難く遅れました」

 全く使えない女だと唸るようにぼやいた姿に、クロアは苦笑した。

「なるほど。言いにくかったのも、そういう事なら仕方ないね。元々彼女はヴィスの口利きがあってこそ、僕らに手を貸しているに過ぎないからね。彼女の大切な妹がリーズヘックについて行ってしまったのなら、妹の安全の為にも、協力はしてくれないだろうから」

 怒らないであげてよと、冗談めいて笑ったクロアに「甘すぎです」 とイードは端的に突き放した。そっぽを向いた様子から、自身のお気に入りが不貞腐れているのだと容易に察してまた笑う。

 

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