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〈18-2〉

 

 一体どれ程そうして走り続けた事だろうか。

 初めは二人の足音しかなかった筈だと言うのに、気が付くと、人のものではない気配が二人の跡を追っていた。ちらりと伺った拍子に、いくつもの大きな影が、微かな機械の音と振動を響かせているのだと解る。

 街の人間ではないと直感的に理解したものの、だからといって追いつかれていい相手ではなく、尚更袋小路に入り込むわけにはいかないと肌が感じた。

「……人気のない広場か、街を出るには?」

 不意にリズは振り返る事も無く、少し前を走るシェヘラに尋ねた。すぐにシェヘラは視準した。

「こっち……!」

 前方に見えた脇道に、飛び込むようにして走り抜ける。途端、何処までも続いていた街並みが途絶えて、均された道の向こうには、一面の鉄屑砂丘が広がった。


「さあて、と」

 道の終わりで足を止めて振り返った二人の目に、がしゃりがしゃりと足音を立てる、大きな姿たちがにじり寄る。

 街の終わりに設けられているわずかな広場は、あっという間に野良の機械たちに埋め尽くされた。〈工場の木〉の側で人々を襲った機械のように四足をバラバラに動かしているもの、地面すれすれを這うように動くもの、人の頭程度の大きさの球体が転がり、中には街中で羽ばたいていた機械蛾までもが混ざっていた。

 耳鳴りのような音が、リズの手元でぷつりと止んだ。その手にしていた小さな箱状の機械を懐にしまった。しん、と。この場所だけが隔絶されたかのように、辺りは妙なくらいに静まり返った。

「集まってもらってどうも? クズども」

 にっこりと笑った声はどこまでも楽しそうで、シェヘラが呆れてしまったのも、無理はない。それで本当にどうにかなるのかと、思わずにはいられなかった。

 だがそんなシェヘラの心配も他所に、リズは当然の事を告げる様に続けた。

「お前らに役目を与えてやる。従うならば伏せろ。嫌なら去れ」

 集まってきたそれらは全て、街の中にひっそりと紛れ込んでいた野生の機械だと、一体誰が解るだろうか。腹の真ん中を握りしめられたような緊張感に、シェヘラは身を固くした。シェヘラはリズの背中に隠れるようにしながら、即座に変化があった目の前の景色に、思わず息を呑んだ。

 その場にあったすべての機械が、まるで首を垂れるようにその身を小さく震わせたのだ。思わず横顔を見上げると、シェヘラの表情に満足そうに笑うリズがあるだけだった。

「これで何をしようって言うの?!」

「さあて。忙しくなるな?」

 責めるような声すらも愉快だと、くつくつと笑う。

 

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