強力な助っ人
愛星は小雪の事が大好きなので、よく守り側になってしまいます。本当は守りよりも、攻めの方が得意なんですけどね。
それとは別に、敵の援軍なんて最初は居なかったのに...どうしてこうなった。
「村雲、愛星?」
メリーちゃんですよね? その名前も春姉が言ってました。どうして此処に?サイコキネシスって何?それにここって...行き止まりじゃなかった?
「何故貴様がここに?」
「ふん!そんなことも分からないの?馬鹿ね」
どうやらその言葉にキレたみたいで、さっきよりも多くのナイフを投げてきました。私の方にも飛んできてますが、メリーちゃんがずっとサイコキネシス?でナイフを止めてくれているので今のところは安心、なのかな?
というか、眠ってもらうとか言っておいて私の事殺す気満々じゃないですか?
「私に飛び道具は相性悪いよ?」
まだ辺りは暗くてよく見えないけど、メリーちゃんは余裕みたいです。あれ?そういえば蛇神様がいません。もう一度良く周りを見ましたけど、何処にも...って、んんん!!?まさか...私の服の中に、隠れてる?
「え!?ちょっといつの間に!」
『目印つけたって言っただろう?これなら一瞬で移動できる』
目印って私の事見つけやすくなるだけじゃなかったんですね!もう少し詳しく言っておいてくれても良いじゃないですか。ビックリするするからさ...。それと私達の後ろ、行き止まりだったはずのところに誰かいます。飛び出してこない所を見るとあの男の仲間ですね。
「蛇神様。後ろにいますよね?」
『ん?...あぁ、そうだな。愛星が戦ってるアイツよりは弱いみたいだがな』
強いとか弱いとか私からしたらどっちも同じなんですけど。それでどうするんですか?メリーちゃんに言えばいいのかな?でも今言ったら私が危なくなりそうだし...。
『ふむ...俺に任せておけ。あの程度なら俺で何とかなる』
「え?どうするんですか。メリーちゃんみたいに超能力でも使うんですか?」
『似てるかもしれないが違う。神術って言ってな......まぁ今説明しなくてもいいか』
はい。説明は後ででいいですから。早くしないとメリーちゃんが全部片付けちゃいますよ?それもいいかもしれないですけど。
『こいつを後ろにいるやつらに投げてくれ』
そう言って私に渡したのは、小さな透明な石の欠片でした。これって水晶とかですか?まぁ気にしても仕方ないですし、言われた通りに後ろに投げます。
『ナイス投擲だ。神術爆発』
一瞬辺りから音が消え、次に聞こえたのは大きな爆発音でした。想像していたより大きすぎです!驚いて後ろを見てみましたが...どこも崩れてない?でも今ので後ろにいた援軍の人は倒せたみたいです。音ではなく爆発でやられたのは確かみたいですけど、これは?
「チッ、バレていたか」
「ナイスだよ、二人とも!」
『さて、後はお前だけだ。ローブ男』
確かに今ので後ろにいたのは倒せました。けど、何か嫌な予感がします。
「確かにそうだな」
「さーて、そろそろ遊びは終わり...」
「っ!そいつから離れて!!」
「にっ!?まさかあんた...!」
『まずい、あいつ...自爆するつもりか!』
そうです。何か違和感があったので、ローブの男を見ていたら、ローブの中に大量のナイフと、爆弾が見えました。起爆したら私達全員大怪我なんかじゃすまない。
「今回は我らの負けだな。では...」
「サイコキネシス!」
『小雪!』
爆弾を起爆したのでしょう。爆風に巻き込まれてさっきのナイフも飛んできています。メリーちゃんはサイコキネシスで止めて、蛇神様は夢の中の時みたいに、私の身体に巻き付いて謎の光で守ってくれてるみたいです。
でも、ごめんないさい。流石にもう意識が持たないかな......。
「雪。起きて、雪!」
うぅ...メリーちゃん?あいたた、何だろう。身体中が何か刺されたみたいに...刺された?
「メリーちゃん、蛇神様は?」
「蛇神ならそこにいるよ」
『あぁ、流石に今回は焦ったな。気付かぬ内に鈍っていたようだ』
それは私に言われても知らないんだけど。空を見てみると多分、あの男が自爆してから時間はあまりたってないんでしょうね。
......今この状況を落ち着いて受け止められているのは凄いのかもしれないけど、何だろう...?私じゃないみたいに感じる。
まぁ気のせい何だろうけど。とにかく今は、この身体中の痛みが気になります。
「蛇神様。身体中が刺されたみたいに痛いんですけど、これは?」
『何...?言っておくが、ちゃんと守ったぞ』
「あいつ、雪の事狙ってたから何かしてったのかも。後で身体見せて。もしかしたら何とか出来るかもしれないから」
頼もしく感じますけどね、どこか夏鈴に似ているような...あぁ、そういえば私の事本気で狙ってたんでしたっけ。
「うん、ありがとう。でも私の身体で遊ばないでね?」
「遊んでなんかいないよ、うん。気のせい気のせい」
『何やってんだ。早いとこ、ここからでるぞ。流石にあれだけの爆発だからな。誰かに気づかれてもおかしくない』
確かにあれだけ派手に暴れれば誰かが通報してるかもしれないですね。あ、そういえば私が買った日記は?どっか行っちゃったかな。
「はい、これ。拾っておいたよ」
「あ...ありがとう、メリーちゃん」
時間を少し進めて現在私の部屋です。あの後、私の家に行く事に決まったからですね。それに帰り道は何もおきずに帰れましたから、特に無しってやつです。
因みに今は質問タイムです。何が起きたのか今一分かってない私に二人が幾つか教えてくれるそうなので。
「あの男が色々と言ってました。王の命令だとか、力を尽くせとか。あいつら何なんですか?」
「分かんない。敵だよ、うん。あと頭おかしい」
『一言で言えば謎の集団だ。愛星と同じ超能力使いなんだろうがな......何が目的なのか分からないからあいつらは怖いんだ』
謎の集団ですか。確かに王とか尽くせとか訳分からないですからね。でも、蛇神様やメリーちゃんでも分からないっていうのは不安です。
というかメリーちゃん、適当すぎじゃないですか?敵なのは流石に分かりますし、あと頭おかしいって...まぁ本当にその通りだけど。
「さて、そろそろ身体見せて...って言いたいけど。ねぇ、雪。昔の絵日記はある?」
「うん、今日はずっと持ってたよ」
「ん?」
『は?』
「え?」
あれ?何かまずかったですかね?取り敢えず絵日記を机に置きます。あんな状況だったけど、あまり傷もついてないみたいです。
『お前があの男に襲われた理由が分かった』
「あのね?実はその絵日記から、神術と似た何かが出てるんだ」
神術...ですか。あの時、蛇神様が発動させたのも神術でしたよね。でも何で絵日記からそんな不思議なものが出てるんですか?もしかして、また私の記憶の話になるんでしょうか。
『まだ詳しく教えたい所ではあるが、まぁ今はここまでで良いだろう。明日、行きたい所があるからな。』
「行きたい所ですか?」
『御子神神社。神や妖かしが集う所だ。』
御子神神社?この辺りに住む人なら知っていて当然です。神が2つ連続して付いてるので御子神社なんて呼ばれ方もしています。それに噂で神様やら妖怪がいるってありましたけど、まさか本当だとは思いませんでした。
『そこの巫女に会えば、この状況も何とかなるかもしれん』
御子神神社の巫女の名前ですけど、なんであんな名前に決定したのか、実は覚えてないんですよね。何となくだったのかなぁ...?
自分で決めておいて何ですけど、スッゴい気になってきた...。