お帰りなさい
サブタイトルには幾つかの意味があります。
一つと二つはそのまま。三つ目は、何時になるかは分かりませんが、後々分かります。簡単に言えば伏線みたいな物です。
......もうバレてたりするのかな?
ふと気がつくと、私は辺り一面が灰色の場所に、横たわって居ました。重たい身体を何とか起こし、もう少し周りをよく見てみると、何だかいろんな場所がボヤけているような気がします。
『久し振りだな。小雪』
一通り辺りを見回した後、突然声が聞こえてきました。しかも1つの方向からではなく、四方八方から聞こえてきます。それにこの声、何処かで聞いたことがあるような...?
「だれ?」
『俺はお前の守り神、蛇神だ』
次の瞬間、強い光が現れて思わず目を閉じ、もう一度目を開けたときには、目の前に大きな白い蛇がいました。あの白蛇が、私の守り神...。
『ここはお前の心の中だ。夢の中と思っても良い』
「ここが私の心の中? ...白じゃないんですね」
私の心の中と言われると、冬や雪から、綺麗で真っ白な所かな?なんて思ったんですが、灰色とは...結構ショックです。
『白さ、昔はな...。今のお前は大事なものを忘れてしまっている。だから灰色なんだ』
「私が忘れた大事なもの?蛇神様は知っているんですか?私の忘れたものを」
『ああ、あれは中々忘れられない。小雪、お前も一度見れば色々と思い出せる筈だ』
そこまで話した所で急に身体から力が抜けていく感覚がしました。多分、現実の方ではもう朝になっているのかもしれません。
『気づいてるかもしれないがもうすぐ朝になる。ここは時間の流れが早いからな』
『お前が忘れたものは、早ければ今日中に思い出せる。最後だ、こっちに来い』
力が抜けていくと言っても、まだ身体は動かせます。何とか一歩ずつ前に進んでいき、蛇神様の前まで来れました。
すると蛇神様の体が光だし、その光が私の身体に巻き付いてきました。
「...ッ!これ、は...?」
『目印だ。お前を見つけるために、何かあっても良いようにな』
「ありがとう、ございます」
蛇神様は最後に『久しぶりに会えるな』と言って、私はゆっくりと意識が昇っていくような......!!
「っりゃあ!」
「ふぇあぁ!?」
「んのぉぉおう!?」
え?叫び声が1つだけじゃなかったような...って、え?えぇ!?何でここにお姉ちゃんもいるんですか!?てっきり夏鈴だけかと思ったんですが...いや、本当に何してるんですかこの人たち。
「もー!何すんのさ冬~!?」
「私のセリフ何だけド...ていうか春姉こそ何してるんですか」
昨日は部屋の片付けを手伝ってくれた夏鈴と、一緒に寝たんですよ?それが何で春乃お姉ちゃんまで?それに季節で呼ぶなんて、それもどうしたんですかね? 確かに昔は、みんな季節で読んでいましたけどね。
「そりゃ勿論!可愛い妹の寝顔を見ようとね!で、見た結果、季節で呼びあってたのを思い出したんだよ」
思い出したって事は忘れてた、んですね?
あれ?私何か忘れてるような...。
「それは...きっと、小学生の頃の記憶」
「へ?どうしたの?冬お姉ちゃん」
「んーん、何でもないよ。夏」
日記と言えば、まずはメリーちゃんのことです。私の日記に変化が現れたのはメリーちゃんのおかげみたいですからね。
友達だったとしたら、お母さんや姉妹が覚えてるはずです。多分...。
「春姉、夏。メリーちゃんって知ってますか?」
「知ってるも何も、ねぇ?春お姉ちゃん」
「うん。家に連れてくる度襲われてたよね」
は?何?襲われてるってどういう意味ですか?
まぁとりあえず、知ってるみたいですね。
「......! 因みにフルネームは村雲愛星ちゃんだよ。知ってると思うけど、一応ね?」
「え?あ、はい」
何だろう。春姉の顔が一瞬、小悪魔みたいなオーラを出してた様な...何か悪戯でも思いついたんでしょうか?
「そういえばよくお医者さんごっことか...」
「OK黙れ馬鹿姉」
思わずとんでもない言葉が口から出ました。
確かに小学生の頃の記憶は無いと言っても、うろ覚えな所もありますから。春姉のせいで変なこと思い出しましたが。
あの時のメリーちゃんはそういう事を知ってて、それを知らない私で遊んでいた気がします。
「お姉ちゃん?ちょっとその話、詳しく聞きたいな?」
「却下!」
私と夏鈴の言い合いが始まったところで扉が開きました。あれ?そういえば私が起きてから、一体どれだけの時間がたったんだろう。それにお腹も空いてきました。起きなければ。
「3人とも、早く降りてきてくれないか?今日は母さんも出掛けて居ないんだから」
「了解、秋君」
「恥ずかしいから止めろって姉さん」
その後、私は直ぐに着替えて1階に降り、ご飯を食べてから、外に出掛けることにしました。一応日記を買いに行こうかと思いまして。ほら、懐かしいものに触れるとまたやりたくなったりするじゃないですか?アレですよ。
「あ、そうだ。あの絵日記も持っていこう」
「よし。それじゃ行ってきます!」
「行ってら雪~」
「気をつけろよ」
「お姉ちゃん可愛いからね~」
あーハイハイ、分かってますよ~。行ってきます。
これから行く所は、昔の玩具や10円で買える当たりつきのお菓子がある、昔ながらのお店です。
ただ、そこまで行くのに多少の時間がかかってしまうので、あまり気軽に来れないんですけどね。
「おーあったあった。色は白で良いかな?悩むなぁ...」
悩みながらも見ていくと、ちょうど雪柄の日記があったので直ぐにそれを選び買いました。おばあちゃん、これ置いといてくれてありがとね。
さて、まだ時間はありますが、特にすることもないのでもう帰ろうかなと思ったところ、急に視線を感じました。それも大通りの方から。このお店は少し路地に入るんです。大通りに面してはいないんですよ。
「仕方ない...裏路地を進みますか」
まだこの辺りの道は覚えていますから無事に抜けられると思います。道が変わっていたらおしまいですが。
「態々裏路地に行くとはな...馬鹿なのか?」
「昔と道が変わっていないと踏んだんです。結果は言わなくても分かるでしょう?」
気付いたら行き止まりにぶち当たり、私を見ていたと思う人に追い詰められました。
今にして思えば、裏路地なんかより大通りの方が安全だったのに。こんな馬鹿なミスするなんて...。
「我らが王の御命令だ。眠ってもらう」
「何を訳の分から...!?」
分からない事を。そう言おうとしたとき、相手の男がローブの中に手を入れ何かを投げてきました。一瞬でしたけど、鋭く光っていた様な...?
「......ナイフ?」
「不意打ちだったんだがな...」
え?あ、そういえば私、いつ避けたの?あれは私なんかじゃ避けれるものでは無かったのに...何で?本能とかで身体が勝手に動いたとか?駄目だ。色々と急すぎて分からないよ。
「嘘...なんでこんなに暗くなってるの?」
気づけば、裏路地とはいえ流石に暗くなりすぎてます。何か悪いことが起きてるのは確かですか。......いや、あの人は何処に行ったの?
「我らにその力を尽くせ」
「え!?」
全ての動作が私より上です。思わず目を積むってしまいました。こんな訳分からない奴に目をつけられた時点で私は終わりだったんですか?
......?何か眩しいような...。ゆっくりと目を開けると、そこには白蛇が一匹。相手の男に巻き付いていました。
「何ッ!?」
「蛇神様...?」
「サイコキネシス!」
え?行き止まりの壁の向こうから声が?
それに突然辺りの物が浮かんで、そのまま白蛇に巻き付かれて身動きが出来ない男に飛んでいきました。
「大丈夫?雪」
「あ、貴方は、もしかして...!」
「久し振りだね、雪。私は村雲愛星。めりーだよ」
言葉の使い方あってますか?分からない所は調べてますが、それでも変な所あるかも知れませんね。
それ以外でも、何かあれば感想にて言ってくれるとありがたいです。