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空の街 ~未知なる世界へ~  作者: れもんじゅーす
7/7

そして

久しぶりの更新ですみません。

もう短くてすみません!

 見慣れた景色が悠太の目に映っていた。またあの時と同じ。


 夢か現実かわからない。自分が今どこにいるのかもわからない。狭間。

 そのような状況だった。今回は前回と違い意識がはっきりしている。しかし周りにはあの時とは違った花が咲いている。


 走ってみても息が上がらないし疲れも出ない。

 本当にここはどこなんだ。そう自問するが答えは出てこない。



『悠太』


 どこからか呼ぶ声が聞こえた。その声は懐かしくありえない声だった。

その声は、暖かくあの頃を思い出させる優しい声だった。

ただその中にも父としての威厳も感じられた。


「お父さん…」やっとで声を絞り出す。


 聞きたいことが山ほどあるのに声に出せない。



『悠太聞きなさい』


 と諭すように喋りかけてくる。優しい声だった。あの頃のような。その真剣な眼差しから事の重さを感じた気がした


『もう俺たちがどこにいるのかわかっているんだろ』


 薄々気づいてはいた。でも自分はそれを認めたくなかった。理解したくなかった。

 してしまったら何もかも認めてしまう気がしたから…


『このままだとこの町はなくなる。そして伶奈も武田さんもみんな死ぬ』


 唐突に言われた言葉。




 どうして知っている。思考はできるのに声に出せない。お父さんの言う通りになる。そう至ってしまった。

 もしかしてあの予感は当たってしまうのかもしれない。もしあの光景が実際におきてしまったら…


 想像しただけでも嫌になる。そんなことは絶対ない。そう信じたいのにどうしてもできない。


 救えるのは自分しかいないとか漫画の主人公みたいなかっこいい言葉なんて言えない。

 自分に自信がないから。本当に救えるのかもわからない。もしかしたら救えないのかもしれない。でも、ここで諦めたら最初のスタート地点から諦めることになってしまう。そんなことはしたくない。


 でも救えないとしても足掻いてみせる。何もしないまま失うなんて耐えられない。そんなこと自分が許さない。


 たとえ地獄が待っていようと頑張る、なんて軽くは言えない。でも足掻いた結果どうなるかなんて誰にもわかりゃしない。


『よしいい心意気だ。大丈夫、悠太なら』


 その声はとても懐かしく姿はあの頃の顔だ。お父さんの言葉を聞くといつも安心できてしまう。

 言葉に温かみがある。


「お父さん。諦めない。どんなことが起きても守ってみせる」


 お父さんの優しい顔が遠ざかって行く。もうすぐ覚める。別れるのは寂しいけど、いつかきっと逢える。そう勘が言っている。





 目を開けると隣に伶奈が寝ていた。胸を上下に静かな寝息を立てている。目元はまだ赤かった。

 窓から差す陽がきもちいい。部屋全体を温めてくれる。


 窓のそばに立ちカーテンを思い切り開ける。外の気持ちいい風が体を通り抜ける。空気を胸いっぱい吸い込む。

 何か植えられているのか、かすかに花の匂いがした。


 空は青く澄み渡っていた。昨日と比べると大違いだ。

 洗面台に向かい冷たい水で顔を洗った。タオルで拭きさっぱりした。れ奈の方へ近づいてもすやすやと眠っている。寝顔があどけない感じで可愛い。


 悠太は伶奈の顔を見つめお父さんを思い出した。


 優しくていつも笑顔でいた。怒られたことは一度もなかったそれくらい優しかった。

 休日のときなどは家族4人でよく出かけた。運転はあまり上手くはなくいささか危険な目に合いそうになったこともあったがそれ以上にたのしかった。いつも笑顔でいられた。安心できた。


 しかしある日を境に笑顔がぱったりと消えた。悠太たちに対する態度も高飛車になった。

 穏やかだった顔も優しさもどこかに消えてしまった。



 そんなお父さんももうこの世にいない。物思いにふけっている間に伶奈は起きていた。


「お兄ちゃん、おはよう」


 おはよう玲奈、ぐっすり眠れた?」


「うん、お兄ちゃんのおかげで。それよりも今日いい天気だね」


 窓のそばに立ちいった。

 今日から新しい一日が始まる。

あと数話で展開くると思います。

読んでくださりありがとうございます。

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