攻略キャラのささやかなる抵抗の挽歌
転生者で攻略者のフィンのささやかなる抵抗の日々。
フィンの幸せはこれからだ。
私が気付いたのは、まだ3歳位の事だ。
ジョースター伯爵家の妾腹の子供として、母と離され屋敷に迎え入れられた。
上の二人は女で、どうやら正妻に男子が産まれず。
跡継ぎとして、かなり渋々長男として引き取ったのだろう。
屋敷の中での俺の扱いはあまりの良くない。
そんなに嫌なら、有能な娘婿でも迎えて後継者に据えた方が利口だと思うのだが。
まあそんな大人の事情なんて、実質ショタは分からんしな。
でも、それまで母セラスは、名字はガリアだけで。
どう考えても貴族特有の、ラ行のセカンドネームが無いから。
たとえ私の名前がフィンでも、貴族じゃ無いから気のせいかな?
とか、考えていた。
私はいわゆる転生者で、この乙女ゲーム世界に似たこの国のモブかな?
などと甘い事を、前世思い出した二歳の時に考えてました。
とりあえず、前世ドイツ人ハーフの日本の女子高校生で、事故で死んだっぼい?
あぁ、私死んだことより、押入れに隠した大量な腐向け同人誌とか、ちょっとアレなデータたっぷりな黒歴史漫画とか、切実に消したかった。(白目)
パパはアレ見たらぶっ倒れただろうなぁ。
ママには多分バレていたような気がするよ。
きっとパパにバレる前に、がっつり処分してくれたと信じてるよママん。
まっ、もう死んじゃった過去の事だし、気にしたら負けだよね。
ここは科学の発展した前世と比べ、剣と魔法のファンタジーっぽい少し時代遅れの西洋中世世界に近いようだ。
前世のサムライニンジャワビサビにハッスルして日本に移住し、和風美人のママと結婚したパパなら絶望するね、きっと。
(※ドイツ人は、忍者大好きな人が多いそうです。)
良くある異世界転生を果たし、舞い上がって居たのかもしれない。
3歳になるまでは、前世知識でのし上がったり、多少は活躍する冒険者とかもかっこいいかなぁ?
なんて、妄想してた日々もありました。
フィン・リ・ジョースター伯爵家の、長男として引き取られたあの日から、私の運命は変わってしまった。
特に目立つ技能者も無く、地味な特産物と、地味な景色の、ほぼ田舎の僻地。
それがこのジョースター伯爵家の領地だ。
あぁ、紛う事無き乙女ゲームの攻略キャラ、しかも主人公アリーナの誘惑に負けて。
我が伯爵家をアルノドアス王子派の下っ派にしてしまうアホポジション。
気弱な図書室籠もりの美少年で幼なじみの私は、学院で再会したアリーナに翻弄される。
毒だらけの中の、毒の薄い癒し系と呼ばれていた。
今なら分かる。
身分差や妾腹生まれなど酷い扱いの世界だ。
そこで色々迫害されてきたフィンに、対等に遊んでくれた女の子アリーナ。
どう見てもフラグです、有り難うございました。
淡い初恋相手が、酷い目に有って変わってしまった事に気付くのも。
自分がアリーナに騙されていたことも。
バレるのは大分後半で。
それでも素直に騙されたふりして、アリーナに従うか、ヤンデレる。
そんなキャラだった。
あぁ、うん。
すげえ面倒くさい子だよね、フィンって。
私がやったのは全年齢版だったから、やばそうなシナリオとかスチルは、ガッツリ削られていたらしいのだけれど。
ハッピーエンド主義の友達は、すごーく嫌っていたゲームだった。
鬱展開とかは見るのは平気だけど、リアルでやられると辛いのは身を持って知ったよ。
友達の言葉はちゃんと聞くもんだな。
アリーナの事はさて置き。
このジョースター伯爵家での過ごし方とか。
立ち回り方とか勉強とか。
いきなりハードモードだから、当面はそっちを考えないとな。
まあ、とりあえず攻略キャラだし、図書室通い詰める勉強家。
多少のチートは有るはず!と、信じて色々動こうと思う。
まず、疑われない程度にメイド達や執事達に優しく、ほめまくったり色々聞いたりして。
じわじわ懐柔作戦。
アザトカワイイほんわか笑顔を心掛け。
泣くときはギャン泣きを控え、手間のかからない子供アピール。
なるたけ上目使いうるうる。
これは前世父へやると、効果は抜群だった。
…なんだろう、私の知るフィンたんと違う感満載の、微腹黒要素。
フフっ、キノセイデスヨネ。
そんなこんなで頑張って10歳の誕生日を迎える頃には、ジョースター伯爵家の従者達も異母姉妹もメロメロに攻略しますた。
合い言葉は
「お姉ちゃまらいすき。&皆らいしゅき。」
何も疑っていないショタの無垢な笑顔攻撃である。
完全な敵対関係以外、これで何とかなる。
問題は、領地経営だった。
前世知識は女子高生止まりだったから。
小娘には専門分野とかは分からないのが実情。
これが、科学系工業商業系みたいな技術資本な学校なら良かったんだけど。
生憎私は、就職に向かない普通科止りだった件。
簡単な計算とか、お婆ちゃんの身知識的インターネット豆知識は、何となく分かるかなぁ程度。
しかも、現世でも使える物は少なくて、限られた現状で地道に頑張った。
あと、身の回りの護衛とかメイドに、孤児と奴隷を迎えた。
本当は奴隷とか解除したいんだけど、まだ成人してないからそこまでの権限はなかった。
だから、彼らを大切に扱って忠誠度を暴上げし、子飼いの手練れへと育て上げた。
忍者っぽいよ。
西洋だとアサシンかな?
それっぽく(フォレスター、森林の守人隊)と名付けた。
城の周りが森林公園みたいな森だらけなんだもの。
誕生日事に増やして、今では結構な数になった。
彼等には私の守り以外に、領地や攻略対象や主人公二人を調べて貰った。
取り敢えず、ジョースター伯爵家は安定して跡継ぎ的な事が許されそうです。
ちなみに義理母ですが。
無視されてます。
まぁ、浮気相手のガキじゃ思う所は有るよね。
しかも、女腹と言われる女子しか産めない事は、プライド高い貴族だと酷い事言われるんだよ。
子供産んでいるのに、性別だけで騒ぐのは本当に下らない事だけどね。
だから私は、義理母の事好きじゃ無いけど嫌いにはなれないかな。
(※実は義理母も父もデレてます。わかりずらいだけ。)
そんなある日、領地での私の御披露目晩餐会が有った。
「君がフィン殿かい?
お初にお目にかかる。
俺はアレク、バルバロイの領主伯爵だ。
ほら、アリーナおいで、これは我が娘のアリーナ。
学院入りの時は同級生になるでしょうから、仲良くしてあげて欲しい。」
挨拶で表れたのはとんでもないハンサムだった。
なんだこの美貌。
なんだこの洗練されすぎな立ち居振る舞いと、優し家な風情。
なんだこのイケボ。
かはっ!下手な攻略者よりキラキラシイヨ!
女だったらそのままお持ち帰りされちゃいそう。
国王と、いちゃついて居るとしか思えない(腐眼)仲の良さ。
いやまて、アレクでバルバロイで娘がアリーナ、だと?!
主人公の父親と主人公じゃねえか!
しかも、なんだこの仲良しっぷり。
溺愛待った無し!超変だよ。
だってこのくらいの頃から、二人はぎこちない関係だったはず。
気もそぞろに挨拶したら、アリーナが従者を連れてきた。
男主人公のカノープスが従者?
あれ?なんか、初期設定おかしくね?
あぁ、カノープスたんもかわいいよ。
本来もっとボロを纏って居るはずが、貴公子みたいだよ。
つーか、これでアリーナへの一目惚れ無くなってるよ。
私何で又カノープスたんとアレク殿に、はあはあしてんのかしら。
しかし、ちょっと気になったから、アレクに、領地経営の話を聞いてみた。
だって彼の領地経営内容はおかしい。
現世知識だけでは有り得ないと、フォレスター達の調べで分かっている。
カマを、かけてみよう。
丁度アリーナとカノープスが、我らの側から離れ。
食べ物を取りに行ったタイミングで。
「ははは、素晴らしいですね。
まるラノベテンプレみたいだ。」
「…ぅ!?ぃ、いや、え?」
あ、この反応、クロだな。
だって、今世にラノベなんて言葉は無いものな。
何でバラしたか?
領民にも娘にも、不幸な生い立ちの男主人公ですら拾う優しい男だ。
敵に回す方が恐ろしく、味方にした方が利口だ。
俺だって滅亡エンドなんて逃げたいからな。
「君も転生者かい?」
諦めたのか、我に返ったアレクがため息混じりに呟く。
わー!
やめて、色気ダダ漏れやめて!
私読むのは好きだけど、当事者にはなりたくないんですよぅ。(錯乱)
いかんおちつけ。
「はい、日本で女子高生のドイツ人ハーフやってました。
やはり、ゲーム世界っぽいけれど設定だと色々怖い結末が多いので、アレク殿も変えようと?」
言うと頷いた。
「私はアリーナ嬢の背後にアルノドアス殿下が居ない限り、あなた方の味方になりましょう。」
アレクはそれを聞くと、悪戯っぽく微笑して私と同盟の握手をした。
そして、話の流れで領地経営的な事をアレクに習うことになり。
時々バルバロイ領地へと赴く事になった。
多分前世の思い出語りも、お互いしたかったのだと思う。
そうこうしているうちに、カノープスとアリーナとは、兄弟分みたいな幼なじみ関係になった。
正しくは、アレクと一番誰が仲良しか、バトルである。
それが始まると、やめて!こそばゆい。
と言ってアレク殿は逃げていく。
そんな感じで、私は、アレク殿サイドに回ることとなり、色々事件は起こったけれど。
今は王宮のカノープス公子側近兼文官長として頑張っとります。
今回は攻略者の一人フィン君のサイドストーリーにしてみた。
こうやって、不幸な鬼畜ゲームを、ギャグに変えていく感じに仕上がっていると良いなぁ。
そして、乙女ゲーム的な恋愛要素スタイリッシュスルーしてますが。
まぁ、本編に甘酸っぱい要素皆無、というか、破滅的だったので。
そこあきらめて下さい。
あ、フィン君は元腐女子ですが、自分がホモになる新たな扉開く気は皆無みたいですよ。
それでは又、気が向いたら書きまーす。




