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憧れのご令嬢は超がつく程ファザコンなんだが①

アリーナは男主人公拾って来ちゃった。

てへぺろ。

カノープスは不思議そうに見ている

燃え盛る街並みを眺め、カノープスは息も忘れてほうけていた。

しかし、動かないカノープスの手を、知らない小さな手でぎゅっと握られる。

ビクッとその方を向くと、見知らぬ女の子が挑むようにカノープスを見上げている。

「動かないと巻き込まれますよ?」

まだ幼い少女は、歳の割に凛と背筋を伸ばし。

ハキハキとカノープスに避難を指示する。

命令する事が当たり前な行動でも有り。

また早いとも思わなくもない。

身なりからして、小学部に入って間もなそうな貴族の娘だろうか?

吸い込まれそうな翠の瞳。

真っ直ぐで腰程の、サラサラのブラチナブロンド。

人形めいた美しい可憐な美貌。

自分よりは2・3年下に見えるが、何故高貴な人が身分卑しき庶民の僕を助けたか分からなかった。

火事で住んでいた街が燃え盛っている。

放火だったと後で分かった。

分かったところで、近所の友達や知り合いのおじちゃんやおばちゃん。

育ててくれた血のつながらないとうさんとかあさんは、生きて帰ってこなかった。

少女に手を引かれ、月の明かりと街焔の明かりで進むと、小高い丘の上に出た。

そこに一人の男性が、しかめっ面で被害の大きい街を眺めていている。

だが、ふと少女に気付いて駆け寄ってきた。

「コラッ、アリーナ。

勝手に付いて来ちゃ駄目だって言ったのに、火事の現場まで行くなんて。

無事だったから良かったが、お前にまで何かあったら。」

最後は涙ぐんでアリーナを抱き締める。

アリーナと言う名のご令嬢。

確かここの領主様の娘と同じ名前だ。

と言うことは、彼はここのご領主様だろうか?

どうして良いか分からなかったので、カノープスは途方に暮れて親子の包容を眺めていた。

「パパ、苦しい。それよりこの子生き残り。」

はっとしてアリーナを下ろすと、男はカノープスの方を向いた。

「放火イベント、か?

時期がずれているが、これだろうな。

あ、そう言えば、俺の領民設定か。」

何やら小声でブツブツ言っているが、カノープスは良く聞き取れなくて首を傾げる。

「パパ、この子助けたいの。

館に連れて行こうよ。

此処に居たら餓死しちゃうよ。

放火魔居るかもだし。」

「そうだな、怖い思いをしたね。

良かったら家においで。」

先程のアリーナのように今度は僕を抱き締めて、優しく頭を撫でてくれた。

やっとその時、火災への恐怖と知らない身分の高い人達への緊張が解けたのか、僕は火がついたように泣きじゃくってしまった。

結局、成人するまで館で面倒見て貰う事となる。

アレク伯爵様は、僕に武術や魔術に一般常識に始まり、貴族学や経済学や帝王学まで何故か勉強させられた。

執事や従者教育を逸脱しているのだが、無知な僕は気付く事もなく。

むしろ恩人のアレク伯爵の言葉を忠実に守って。

ひたすら従順に学んだ。

そんな伯爵様が王都に行って居ないときは。

僕がアリーナ様の話し相手になる。


「カノプー、あのねあのね、パパったらね。」

「だからそのカノプーって変な略し方やめてくださいよぉ。」

「良いじゃない、カノプーとか可愛いくてよ?」

ボフンと音が鳴るように真っ赤になった。

「かかか、可愛くなんて、ななな何言って居るのですかアリーナ様!」

しかし、そこをスルーして、うちのパパ自慢の再スタート。

分かりやすいカノープスを転がすふりして、気付かないままのパパ自慢地獄は、カノープスにとって天国と地獄だろうか。


ある日、王様がお忍びで館に訪れた。

アリーナ様と和やかに会話していたので、カノープスは伯爵のお客様かな?

と予想して、挨拶の声をかけてみる。

「あの、いらっしゃいませお客様。

アレク伯爵様は、一刻程したら戻られると思いますが、お待ちになられますか?

もしお待ちになるのでしたら、立ち話も何ですからあちらのテラスでお待ちください。」

その声に気付いて、カノープスの顔を見た途端、男は硬直した。

そして、優しい幸せそうな表情を浮かべ。

満面の笑みをカノープス向けた。

「そうか、助けてくれたのか。」

やはり、カノープスには聞き取れない小声で、何か呟く。

その言葉は日本語で、今世に生きるシスティア王国に産まれの者達は知らない外国語にしか聞こえないだろう。

分かるとしたら、同じ時代の日本からの転生者くらいだ。

この世界、偶に転生者が生まれたり、異世界トリップする者達者達居る。

同じ時代や同じ次元の日本人ばかりではない。

それを王族情報で軽く知ってから。

前世持ちのゼボネアス・ド・システィア国王様の周辺では、今の所アレク・ロ・バルバロイ伯爵しか転生者は居らず。

ヤバそうな独り言は無意識に日本語になっていた。

ちなみにアレクの独り言は、なにも考えずに日本語だ。


カノープスが救助される設定では有るのだが。

湖上の城、アレク伯爵の館に養子に近い扱いで住み込みさせるあたり。

やはりアレク伯爵は、娘の良いフラグ強化に余念がないのだろう。

いや、考えすぎだな。

あのお人好しのことだ、火災で育ての親や身内を亡くした幼子。

それを無体に放置出来るはずがなかった。

今は孤児を集めて育成出来る程の財や、足らなければ財を追加出来る手腕まであるのだから。


「あの?」

不思議そうに男をカノープスは眺めた。

「おお、すまんすまん。

カノープス、有り難くそうさせて貰うよ。」

あれ?僕自己紹介したっけ?

首を傾げても分からないから、ともかくお客様をテラスに案内した。

時々この客人は、お忍びで訪れ。

たまにカノープスとも会話するようになった。

カノープスは知らない。

この男が実の父親だと。

母や彼を捨てたのではない、命助けるために庶民に紛れ込ませた。

前世の記憶が有っても、上手くカノープス母子を助けられなかった。

それだけアルドノアス第一王子派が厄介だった。

正妃デネブは隣国テーヴェからの嫁であり。

この婚姻を足掛かりに、暗躍している。

だからこそ、アルドノアス第一王子と正妃デネブは、テーヴェから婚姻からの内部侵略の先兵であり。

王位継承権の有る別の国ヤマラクから嫁いできた第二妃ウルディアの子ゼテキネアス第二王子と、幼なじみで乳兄妹アイシャの妻妾腹の子カノープス王子は彼らには邪魔なのである。

だが他国との問題になるからか、カノープス程第二王子の命は危険な目に遭って居なかった。

そんなこんなで今まで会うことすら叶わなかった息子との会話だ。

たとえお互い知らなくても。

まともに生きて会話が出来る有り難さ。

その事に、ここにくるたびに、国王は幸せに酔いそうだった。

差し障りのない会話をカノープスを引き止めたゼボネアスは、アレク伯爵を待ちながら続けていた。


コンコン

ノック音で会話が止まる。

はい、と共にいたアリーナ様が答えた。

テラスの扉を開けたアレクは、息も絶え絶えだ。

「パパ?」

ビックリしたようにアリーナ様も固まっていた。

だが、アレクの姿にネアスと名乗った男は可笑しそうに笑っている。

悪戯がバレた子供のような無邪気な笑い声。

「ちょ!?ネアス?

何で居るんだよ。

みんな探してたんだぞ、いったい何処に行っていたんだよ。

流石に続きは明日になったけど。」

アレクの声は焦ってはいたが、ネアスと仲が良いのか気安くやり取りをしていた。

「あいつら又詰まんねえ事で(貴族会議の議題)止めるんだもん。

飽きたからお前の所でお菓子食いに来た!」

「阿呆か!」

えっへん、と言わんばかりに言っているが、ガキ大将みたいな人だと思った。

しかし、何故かネアスのあと僕を見てから何か察した様子で、アレク伯爵様はさらに溜め息を付いた。

「分かったよ、分かりました。

今から支度するんでもう少々お待ち下さい。

あ、冷えてきたら中の部屋へテーブル用意させますから移動して下さいよ。

アリーナも手伝いなさい。

カノープス、少しの間ネアス殿のお相手頼みましたよ。」

改めて暖かいハーブティーと軽食とおかしを持って、メイド達が慌ただしく動く。

ネアスと呼ばれた男は、もしかしたら伯爵様より身分が高いのかな?

と、ぼんやり考えた。

華美な事を好まない伯爵様は、この館に必要のない社交界シーズン以外、率先してあまり他の貴族を招待しない。

実際招待されるのと招待するのだと、出費が歴然なのだ。

無論全くやらない訳では無い。

妻と言うパートナーが居ないと、この手の晩餐会や茶会や夜会は指揮が上手く回らない物なのだ。

なのに伯爵様は凄まじい人気で招待され、ここに客人として来たい為だけに繋がりを欲しがる者達も居るそうだ。

先程から居るテラス。

ここは、基本伯爵の友人や、招待客しか入れないのだが人気スポットだ。

城の特等席から一望出来る城の影を鏡のように写す湖と、城の周辺の美しい季節の木や花々。

時間によって日差しによっても色合いが変わる。

そして、統一された美しい街並みと畑。

どれも他の領地とは違った遊びと景観、さらに清潔な水路が有った。

博識の伯爵様は異国や古代の知識で、この洗練された領地を作り上げたそうだ。

一生懸命アリーナ様が説明していたが。

多分この地から出たことのないアリーナ様は、パパが凄い!しか分かっていない気がする。

安定のアリーナ様クオリティ。

しかし、その領地に負けない美貌と聡明さで、いつか気付くだろう。

その時、彼女の隣に居るのは僕の見知らぬ貴族だろうか?

その貴族の為だけに、彼女はアレク様だけに向ける笑顔を向けてしまうのだろうな。

そう考えたら、胸の奥が少しだけ変な感じがした。

ネアスとはたいして気の効いた会話が出来たか覚えていない。

ただ、凄くこのネアスと言う人物に魅了された。

会話巧みで沢山の事を知っており、包容力が有り。

そうかと思えば子供のように無邪気だった。

こんな大人になれたらいいのに、と。

父と知らず憧れた。

多分僕もアリーナ様に似たファザコンだったと、後々にネアスの正体を知って思い知るのはもう少し先の話。

アレク以外がちまちまちま増えました。

乙女ゲーム隠れキャラ。

ギャルゲー版主人公のカノープス君です。

何て言うか、一途、健気、優しい、世話焼き、実は妾腹の庶子な王子様。

もうお前がヒロインで良いんじゃないかな?系男子です。

性格付けはアルドノアス第一王子の真逆になってます。

乙女ゲーム版では初期攻略不可なのに、かなり色々なシナリオでアリーナ助けるために出てきます。

あまりの健気さに人気が出て追加された第二段で彼と王様と第二王子が攻略可能になりました。

が、それでも人気が止まらず。

彼が主人公のギャルゲー版が出ました。

やはり、乙女ゲームの鬱々しいのとは真逆にギャグ満載です。

そちらでは、アリーナを助けた設定になっていて。

彼女を妃にするために奮闘するか。

ハーレム作るかあなた次第みたいな感じです。

又気が向いたら何か書きます。

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