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俺の嫁が可愛い件〜愛の奏でる唄を貴方と〜

カノープスサイドです

カノープスは、正直どうしたら良いのか分からなくなって居た。

そろそろ卒業も近いし、王宮文官の試験になんとか受かったと言っても。

卒業して何とか身分は準貴族だ。

まあ、庶民よりはマシだけど、ここから上に上がるコネは少ない。

焦る理由は身分以外もある。

アリーナ様の美しさに、更に磨きが掛かって来たからだ。

昔から彼女は美しい人だった。

だけど、とても強い心の持ち主で、親のアレク殿に似たお人好しな面もある。

だから、どんな相手からも引く手数多になるだろうと、子供心に思ったものだ。

命を救われてから、彼女の不思議な魅力に囚われている自覚は有ったが。

それ以上に、身分の差をしょっ中思い知らされている。

だから隠して居た。

隠したつもりで居た。

それが崩れたのは、学院で沢山の男達に言い寄られるようになってからだ。

彼女の視線が流れただけで、彼女の視線の先の者は籠絡される。

甘い微笑みなどは身内にしか見せないが。

流れ弾に当たった者は、光に吸い寄せられる虫のようにやって来る。

何度か無体な目に合わされかけて、それを防ぐ仕事が増えた時は。

流石に苛立ちを隠せなかった。

そのうち、フィン殿と仲良くなって、イリシア様とも仲良くなって。

四人で居るようになった頃には、周辺が少し静かになって行った。

アレク殿が、色々手を尽くしてくれて居たらしいと後になってフィン殿が教えてくれた。

初めは少しだけ、女性の対応が上手いフィン殿の事も警戒して居たが、今はそれは無い。

どちらかというと、フィン殿は先に惚れたイリシア様を獲得して婚約者となり。

卒業式直後に結婚式を挙げるのだから、ライバル視など論外だ。

婚約話を聞いて少しだけ、アレク殿がションボリして居た事に驚いた。

やはり、年の差と後妻扱いを案じられてつれなくしていただけで、対象外では無かったんだな。

と意外に思ったりもした。

まあ、単にアリーナ様と同級生だから、もう一人の娘が、とか思ってそうな気もするけどね。

そして、思考を戻らせる。

俺はアリーナ様とどうしたい?

ずっと側に居るのは、執事としてだけ?

それとも?

アレク殿が反対したら、彼女は身分の高い貴族の婿を取る事になるだろう。

だから、二の足が踏め無い。

意気地の無い自分に苛立ちを隠せない。

そんな悩みを数年押し殺したある日、湖畔で散歩していたら。

砂利に足を取られて、踏み外して湖に転んで落ちた。

ぼんやりしていたらしい。

「はは、何やってんだか。」

まだ暖かい季節で良かった。

そのまま身体を湖畔に浮かべる。

背中もつくような浅瀬だ。

ただのぼせ上がった頭を冷やすには、冷んやりして気持ち良かった。

船とは違うけれど。

水の音が周囲の音を吸収したように静かだ。

「何をしているの?カノプー?」

見ていた空では無く、陸をチラリと眺めると、呆れ顔でアリーナ様が此方を眺めていた。

「水浴びです。」

更に呆れて溜息を吐くと俺の手を取った。

「ほら、馬鹿やってないで上がりなさい。

風引くわ…きゃっ?!」

その手をそのまま引っ張って、抱きしめた。

「こ、こら。

なにするの?」

「ふふっ、つーかまえた!」

じたじた暴れるアリーナ様の耳に囁く。

すると、アリーナ様は真っ赤になって狼狽えた。

ああ可愛い、この手から出したく無い。

ずっとこうしていたい。

多分理性が天元突破したのだろう。

つい、その頬にスリスリした。

出会って間も無かった頃の様に。

だから流れる様に口付けをその頬に、額に落して行く。

「今も出会った頃も、ずっと可愛いですね、アリーナ様は。」

「やっ、何をするの?」

恥らう様に動揺はするが、抵抗はされなかった。

だからこそ、俺は我に返る。

ああ、俺は何をやらかしてんだ?

身体に触れる前の事をキチンとして居無い。

だから、覚悟を決めた。

「アリーナ様、この気持ちは貴方には迷惑かもしれ無いし、不敬かも知れません。

ですが聞いてください。

ずっと好きでした。

アリーナ様と愛しています。」

ギュッと抱き締めると、ビクッとアリーナ様は震えた。

ゆっくりと、その腕を離しながら微笑する。

「返事は入りません。

俺は身分が低過ぎます。

だから、アリーナ様を想う一人の馬鹿が居る事だけ知って居て欲しいだけなんだ。

怖がらせてゴメンね?」

立ち上がらせて、俺は髪を掻き上げる。

そして、少し暖かい風の魔法で二人の水分を飛ばし。

浄化魔法もついでにかけておく。

アリーナ様はただボンヤリと、俺から顔を背けて恥ずかしそうに頷いていた。

それから、秘密の逢瀬が始まった。

逢瀬と言っても、軽く口付ける位のかんけいだったが。

俺達にはそれでも恥ずかしかった。

少しして、アレク殿から俺の本当の身分を知らされて。

イリシア様のブーケを貰ったアリーナ様と婚約し、結婚までこぎ着けた。

それから子供が産まれ、少ししてアレク義父上が亡くなられた。

あっと言う間だった。

そこからは大変で、アレクの遺した偉業は、俺では無くアリーナが受け継いだ。

アレク義父が紡ぐ、不思議な言葉で綴られた遺品の手紙や書類が読めるのが。

何故かアリーナくらいだったからだ。

アリーナは、日記らしき物を読みながら、泣いていた。

葬儀では全く泣かなかったのに。

何故か理由は教えてもらえなかった。

読み取れたのは、比較的安全な事業ばかりだったが。

多分記さなかったのでは無く、アリーナが読め無いフリをしているみたいだ。

何故かその手紙の一つはネアス国王へと渡された。

俺の知らない言葉で会話する二人は、日記を前にさめざめと泣いていた。


俺はその後、カノープス・ド・バルバロイ公爵。

アリーナは、アリーナ・ロ・バルバロイ公爵婦人となり。

大きくなったバルバロイ公爵領地を収めかなら、ゼテキネアス国王陛下の宰相にまで登り詰め、アリーナは手練れの女宰相補佐になった。

子供は女の子三人の三つ子の後に、双子の男子が産まれた。

子沢山だったので大変だったが。

何故か乳母達よりも、アリーナは手慣れていた。

若き宰相になったら、何故かモテるようになったが。

俺はアリーナ一筋なので、相手にし無かったよ。

身分が低くても構わないと言ってくれたアリーナ以外気持ちが向く訳が無い。


もうちょっと続くんじゃよ

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