ブーケトスは戦場である。
フィンのその後です
幸せそうな美しい花嫁が、手に持つ白い花束を放り投げる。
ブーケトスと呼ばれる風習だが、流石乙女ゲーム世界実装されていた。
ちなみに、コインや米や麦や花びらを新郎新婦に振りまく風習もごっちゃにやって居る。
多分、結婚後に困ら無い様に的な儀式なんだろうけどね。
日本だと、何処かの宗派の葬式でも小銭ばら撒くよね?
意味わかん無いけど。
これも、死者の世界で困ら無い様に的な儀式なのかな?
詳しく無いから俺は知ら無いが。
まぁ、それはともかく。
アレクは生温かく、年頃の娘達の殺気立ったバーゲンセールのオバハン並の奪い合いを、少し離れた場所から遠巻きに眺めて居た。
時を遡る事卒業式直後。
まさかのフィンとイリシア結婚式の手伝いをさせられた。
主にドレス作りだ。
この世界でもアレクは有名なドレス作りの名人で、普段はアリーナの物しか作らないが。
社交界では密かに人気だったそうだ。
ちなみに、ドレスのデザインはフィンと二人で書き殴ったデザイン絵を、イリシアに選ばせた。
エンパイアドレス
ドラキュラ的というか女王様な感じの襟が立ってるやつ。
強そう。
マーメードドレス
身体のラインに沿ったぴっちりひたドレスで、膝あたりから魚みたいなまさに人魚なデザイン。
露出少ないけどセクシー。
ジュリエットドレス
まさにジュリエットが着ていた胸元の上下で止められたストンとしたフレアドレス。
細いと胸が大きく見えるけど、太って居ると妊婦に間違われる。
スタンダードなウエディングドレス
肩が出て居る物と出て無い物で印象がかわるけど。
肩が膨らんだ袖とか、ふわふわのポリュームの有る重ねスカートとか。
刺繍とかデコとかラメビーズとか。
ネタは二人で出し尽くした。
結果全部作らされたよ。
金持ちはこれだから。
もっとも、型紙に落とした物を、プロのカエンフェ家とジョースター家お抱え裁縫師に任せたので後は丸投げした。
どうやら式に着るもの以外にも使うみたいだった。
ちなみに、ブーケキャッチしたのは、アリーナだった。
強いな、娘よ。
というか、花嫁が三ヶ月だった件。
「フィンたそ、手早過ぎなう。」
「イリシアたんかわゆすでつい、なのテヘペロ☆。」
そんな会話をした後に。
「まぁ、泣かすなよ。」
「散々泣かせたあんたに言われたくねーですの事よ?」
と言って、二人で笑い合った。
この日、フィンは伯爵の後継者となり、イリシアは、イリシア・ラ・ジョースター伯爵婦人となり。
二人は夫婦となった。
アレク殿からは、いろんな仕事を教えられ。
妊婦への対応から、出産後のケアや子育てのノウハウも教えてもらった。
この頃には、アレク殿は自身の寿命を悟って居たのかもしれ無い。
アリーナとカノープスが結ばれて、孫が産まれて少しして亡くなられた。
それはとてもあっけなく、冗談のようで本当だった。
だからなのか、イリシアが半狂乱になった。
アリーナが逆に冷静になれる位に、とても泣いて居た。
しかし、それではアリーナが泣けなくなるから。
と思った僕は、柩の側からイリシアを静かに連れ出した。
そこは、バルバロイの湖畔だ。
「イリシア、可愛い奥さん。
泣いてもいいから聞いて?
アレク殿は分かって居たよ。
君の気持ち。
僕の気持ち。
多分自分の身体の事も。
あの人は優し過ぎたんだよ、謀をするには。
アリーナがそれだけ大切だったんだから。」
「だからと言って、ご自身を大切になさらないなんて理由には…ううっ。」
再び泣き出したイリシアの背中を撫でる。
「ほら、見てご覧?
ここから見たバルバロイ領地は、とてもとても美しいよね?
多分この美しい清廉さと、何処かほっとする感じが、アレク殿の心だよ。」
ゆっくりと顔を上げて湖畔からのバルバロイ領地を眺める。
夕焼けに染まり始めた世界が。
街が、空が、湖畔が。
空色と茜色から濃い闇色へとグラデーションを飾る。
「やっと安らげるんだ、相当苦労して居たからねあの人は。
だからさ、あの人の好きな笑顔でおくってあげようよ。」
無理やり微笑むと、イリシアも空を眺めた。
「さようなら、アレク様。」
小さく、そう呟いて。
しんみりしていられたのは子供を預けた二週間ばかり。
後は、イリシアも僕も目まぐるしく生きて居る。
あれから、子供も三人に増え。
腕白ざかりの長男と、大人しい長女と、のんびり屋さんな次男に恵まれ。
益々我が家は賑やかになって行った。
誓ったからね。
アレク殿の分まで、幸せに生きるって。
花束をアレク殿の墓に添える。
そして、友達であるカノープス公子、いや、今は公爵か。
の側近として日々頑張ってるよ。
冒頭はちょびっとアレクだした。
ゾンビ商法では無い、多分。ぇ
おかしい、きゃっきゃうふふのはずが重くなった。
まあそんな日もあるよね。
では又




