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性別、フィン君 ②

苦悩するは青春

「ねぇ、その本逆向き。」

いきなり出現したカノープスが、フィンに呆れた様子で声をかける。

「こ、これはその…。」

言い訳も思い付かずモゴモゴしていると、小さな溜め息が聞こえた。

何も言わず背中合わせに座ると、カノープスは、小声で呟く。

「まあ、何でも良いさ。

それより、イリシア様が心配してたぜ?」

え?な、何で?

「最近フィン君に視線を合わせてもらえない、心無し避けられて居るみたいだ。

何か嫌われてしまったのかしら?

みたいなの事言っていたんだよ。」

動揺した僕を気配で感じたらしく、カノープスはクスクス笑った。

相変わらずの、爽やか主人公っぷりである。

「君さあ、皇太子がこの前イリシア様にチョッカイかけてから、分かりやすすぎ。

分からないのイリシア様だけじゃないの?」

観念して僕は喋りだした。

「あ、うん。

急に意識しちゃってさ。

それが恋愛感情の独占欲なのか、友達としての独占欲なのか混乱して、どう接したらいいのか分からなくなって。」

モゴモゴ言い訳。

だが、カノープスは呆れもせず、優しく笑う。

「ねぇ、フィンはイリシアって言う人に心惹かれたのだから。

それが恋愛感情でも友情でもさ、何でもいいんじゃないかな。」

ナンデモイイ?

「難しく考え過ぎってことだよ。

今ある気持ちを正直に受け止めて、イリシア様に対応すれば良いのではないかな?

即座に恋人関係になるのも、ちょっと不実なかんじがするし。

何より、フィンらしくないよ?」

ラシクナイ?

カンガエスギ?

ぐるぐる回る頭が、解れる様にすっきりしてきた。

そうか、僕はちょっと考え過ぎて。

どうやら、皆に心配かけちゃったんだな。

「わりぃ。」

僕はそれだけを言うと、カノープスは、立ち上がって僕の正面に来た。

ベシッとデコピン。

あぁ、アレク殿の優しいお仕置きのマネか。

どう言うわけか、罵倒浴びせられたり殴られるより心が痛くなる。

あの人に叶わないと思い知らされると同時に、まぁそれでも僕はイリシア様と離れたくはないと思ったから、カノープス君を見上げた。

「しっかりしろよ、お前がイリシア様とどうなろうと、僕はフィンと友達でいるから。

な?」

カノープス君マジ天使!

通常運転に戻った僕は、

「ありがとう。」

とだけつぶやいた。


数日後、イリシア様を呼び出す。

放課後の人の居ない図書館はとても静かで、これからの事を考えると胸が痛い。

「フィン君?どうしましたの?」

さぁ、僕のゲームから離れた愛と言う名の闘いが幕を開けた。

「イリシア嬢、僕の話を聞いてほしいんだ。

正直僕は自分の気持ちにやっと気付いたから。

君も戸惑わせてしまうかも知れないけれど。

友達として君が好きだと思ってた。」

イリシアは、ピクリと戸惑いを含んだ顔を上げた。

「でも、タランティーノ殿が君にチョッカイかけたとき、とても嫌だったんだ。

君が誰かに無防備に触れられるのが。

その微笑みが他の人に向けられてしまうのが。

僕はイリシア嬢に恋をしているみたいなんだ。」

見る見る真っ赤になるイリシアに、ふわっと微笑する。

これから、彼女にふられるだろう自分に、けじめを付けようと思った。

淡い想いのまま、それが砕かれれば傷は浅い。

そしたら暫くはカノープスに泣きつこう。

あとアリーナにも泣きつこう。

何だかんだであの二人は優しいからな。

「あ、あの、私は…。」

オロオロと、僕を見上げる。

「僕はイリシアと恋人になりたいとかそう言うんじゃ無いんだ。

だって、君はアレク殿が大好きだって知っている。

それを含めて僕は君を愛おしいと思ったから。

だから、この気持ちを知って欲しい。

ただそれだけさ。

もし、この気持ちがダメだと言うのなら言ってね。

時間は掛かるだろうけれど。

ちゃんと諦めるからって、イリシア泣かないで?」

宝石のような涙がポロポロ零れ落ち。

それを、僕が指で掬い取る。

「本当に君は泣き虫だね。

男の前で無防備に泣くのは、誘惑していると勘違いされるよ?」

まあ、僕はどっちつかずだけどさ。

と、心で呟く。

「ち、違いますわ!

涙が勝手に出てくるのです。

ゆ、誘惑などしておりません。」

ヤバいな、泣いても怒っても、とても可愛いんだけど、この人。

「そ、それに、諦める必要なんて有りませんわ。」

グッと僕を見上げる視線を強める。

「え?」

逆に僕が戸惑う。

アキラメルヒツヨウガナイ?

僕が問いかける隙を与えずに、イリシアは僕の胸に飛び込んだ。

「どう責任とって下さるの?

私アレク様の事はとっくに諦めがついてましてよ。

それは、フィン君、貴方が私の側に居て下さったからですわ。

なのに、全然私の事は異性として扱っては下さらないし。

居心地が良くて何もそれらしいことして来なかった私も悪いのでしょうけれど。

ここ数日、貴方が避けて来るものだから。

とうとう嫌われたかとずっと、ずっと。」

最後はすす泣く声で聞こえない。

オロオロとしながら、僕はイリシアと両想いになっていたと気付いて真っ赤になった。

ああ、最後まで僕は締まらないな。

「大好きなイリシア、よろしければ僕と恋人になってくれますか?」

紳士の礼で彼女に対す。

「ええ、よろしくてよ。」

淑女の礼で優雅に応える。

それは、本来アリーナとのハッピーエンドスチルだった。

でも、僕のヒロインはアリーナではなく、このイリシアなんだ。

これから、ゲームの運命から完全に逃れ。

僕の本当の人生が始まる。

とても苦労しそうだけれど、彼女が側にいたら何とかなる。

そんな気がした。

そして、イリシアを抱きしめて、甘い恋人の時を刻み始めたんだ。


なんと、フィンとイリシアちゃんくっついちゃったです。

ちょっと迷ったのですけれどね。

イリシアちゃんスペック高いので、他国王族へ嫁ぐのも有りかな。

などと思ったのですが。

まあ、折角フィン君側にいるしねって感じにまとめました。

え?アレク?

まあ、ほら、アレクは妻のトゥルーエンド終わってますんで。

新規開拓する気あるのかな?

みたいな感じです。

まあ、彼はみんなのアレクでいいじゃん。

みたいなオチになりそうです。

それでは又。

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