俺と娘と月光鈴華
アレクのノロケ回
「じゃあお父様、行ってきますね。」
今夜は、アリーナ達が、キリガクレの夏の夜祭りに出掛けていった。
多分美味しい物を沢山食べたり。
魔法花火を見たりするはずだ。
子供達だけの思い出を作らせる為に、私用が入った事にして、今回は俺は留守番だ。
令嬢ちゃんとのフラグ?ナニソレ。
グイグイ来るんですよ、あの悪役令嬢(笑)イリシアちゃん。
流石に気づいたけど、スルーだよスルー。
娘と仲良くなって、外堀埋められかけたから。
がっつり崩させて貰いました。
一定の距離感と、娘の友達的子供扱い。
更に恒例の亡き嫁自慢の三連コンボ毎回開催は、ハイライト消えてたけど、キニシナイ。
だからロリ婚だめだろうと全力否定。
その気もないのに手出したりしたら、俺がただのゲス男になるしな。
俺は思い出の中の初恋の君、位のポジションのつもりですが何か?
フィン殿に色々突っ込まれたので、立ち位置譲ると言ったら。
「ユリキマシキタコレ!」
「しってるか?
妻が死んだ直後に記憶取り戻したから。
男として愛したのはカリナだけ。
故に、女前世思い出した今の俺相手でもユリキマシキタコレ何だぜ?」
「なん、だと?」
と、ぼけ合戦が開催された。
譲り愛というか、押しつけ愛?
まぁ嫌いじゃないんだけとね。
あのテンプレツンデレ具合は見ていて面白いし、毒が薄いから可愛いしな。
つーか、俺は結婚して娘もいるから。
一人やもめでもまだいいけど。
フィン殿はまだ男と言うことに馴染めないのか。
会えば人のオタ話や恋バナばかり聞いてくるし。
婚約者も居らず何処か枯れている。
折角のイケメンが有る意味隙だらけ。
亡くなったときも学生だったそうだから、恋愛慣れしてないのかもな。
貴族に多い年下好きなご婦人や、リアルなホモさんたちに狙われ攫われないように、彼の護衛連中に気を付けさせている。
てかまあ、恋に性別関係ないとか言いそうだから、あんまり心配してないけどな。
ともかく、まあ、留守番の理由は余り嘘でも無い。
庭園のテラスの一角の温室に用があったんだ。
館には魔法で灯りをともして有るが。
この温室の灯りは今夜は消している。
温室の扉を開けると、薄っすらと光り輝く灯りが飛び交う。
蛍と妖精が住み着いたこの温室は、常に結界と浄化の魔法が掛けられて居る。
理由は、中央に咲く鈴蘭に似た。
ピンボール大の花を月夜を浴びて。
フワリと輝かせる、月光鈴華。
それは夏のこの時期に、月夜に照らされ数日だけ咲く。
本来、清浄で俗世からも隔絶されたような深山にしか咲かず。
それ故に、温室で育成するには人も少ない田舎で、なおかつ常に浄化魔法が必要だった。
これの育成方法に成功したのは、亡くなった妻だ。
彼女は花が大好きで、特にこの月光鈴華をこよなく愛した。
月光を浴びると、小さな光の玉を周辺に浮かべ。
風に乗ってリィンリインと鈴の音を微かに軽やかに響かせる。
花達の周りに妖精達が踊り始めた。
この光の玉は食べると甘い花の蜜だ。
最終的にビワ位の大きさの実を作る。
妻に食べさせてもらった時は、とても甘くて美味しかった。
光に見える形で妖精が宿る事があるので、余り沢山は食べられなかった。
居心地が良いのだろうか?
プロポーズする時も、苦労して探し出し。
跪いて月光鈴華を差し出した。
「カリナ、俺は君に知り合ってから。
ずっとずっと逢う度に焦がれていた。
逢う度に愛しさが募っていった。
他の人達にも愛され、聡明でこの月光鈴華のように可憐な愛しい人。
ずっともっと側にいたい。
もっと君を愛し、俺の隣に居て欲しい。
カリナ、俺…アレクの妻になってくれないか?」
風に揺れるように、月光鈴華が輝きを撒き散らし。
妖精達が彼女の周りに飛び交う。
俯いていたカリナが、真っ赤になってほんのり涙を浮かべながら頷いてくれる。
その花は、彼女が死ぬまで栞にして、手元で大切にしてくれていた。
そんな思い出の花だった。
私が居ない時は専用庭師に任せてある。
それ以外は立入禁止だ。
だから、ここには娘もいれさせなかった。
ここに入れる時は、アリーナが結婚する事が決まった時だと決めている。
まぁ、ここに何があるのかは薄々気付いていそうだが。
妻への少ない思い出が、ノロケと言うのを娘に話すと言う事が、俺が恥ずかしいだけだったりする。
いいだろ、ささやかな秘密の思い出くらい内緒にしてもさ。
ねえカリナ。
俺達の娘は、壊されずに穢れずに、元気に明るく生きているよ。
アリーナが幸せに結婚するまでは、俺が絶対守るから。
だから、見守って居てくれよ。
月光鈴華が、まるで俺に返事をするように、リィンと静かに鳴った。
カリナにだけみせた微笑みを、俺は月光鈴華に向けて。
そして温室を後にした。
微糖ですかね?
アレクは前世から一途な人なので、たまには奥さんとの思い出。
前世夏祭りシーズンはお盆時期なので。
気持ちお墓参りかな。
イリシアとのフラグ地味にクラッシュされてます。でも気付いて無いのがイリシアたんクオリティ。
どんだけ盲目なんすかね。
又気が向いたら書きますね。




