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俺の娘が反抗期になった、夏のある日。

アリーナは反抗期になっちゃった。

「パパなんて大嫌い!」

可愛く頬を膨らませ、アリーナが自室に戻って行ってしまった。

怒っても拗ねても可愛いな。

いや、そうじゃない。

最近、何が気に入らないのか反抗期なのか、すぐ拗ねてしまう。

頭ごなしに叱っても屈折するし。

かといって、全て叶えてあげる訳にもいかない。

馬鹿令嬢として増長するだけだしな。

原因は、側近にしたカノープスを、アリーナと学院同じクラスに通わせなかった事だろうか。

確かに彼は養子にした、

しかし現状庶民だから、貴族クラスに通わせたら手酷い差別を受けてしまうだろう。

流石に本当は王族だと知っているが、それをバラせば貴族クラスに入れる変わりに、カノープスの命が危ない。

無能であれば、アリーナの送迎係だけにすればよいのだが。

カノープスはまがりなりにも王族の血を引く有能な男で。

乙女ゲームの隠しキャラや、男性向け版の主人公になれる言わばチートスペック持ちなのだ。

磨かずに置くのは愚かしいだろう。

それ故、執事養成クラスに通わせている。

執事養成クラスや騎士クラスや魔法クラスには、庶民あがりも居れば、曰く有り身分の者も結構居るので、念のための保険だ。

しかも、執事は準貴族クラスとなれる教育と、護衛技術や多国籍語を主人のために習う。

貴族クラスよりも、身を立て護身するのに無駄にはならないはずだ。

しかし、館に同年代の子供が居なかったのもあってか。

拾ってから、ずっと遊び相手としてカノープスに四六時中べったりになっていたからか。

多分離れるのが寂しいのだろう。

王都の別邸から行き帰りは同行しているのだから、多少我慢しろと言っているのだが。

拗ねたアリーナ聞いちゃいなかった。

「済まないなカノープス、アレはまだ世間知らずなのだよ。

苦労かけるが頼んだよ。」

「いえ、分かっております。

むしろ僕の方こそ、今のままでも身に余る高待遇なのです。

お優しいお二人には色々ご足労お掛けし、申し訳ありませんアレク様。」

カノープスはそう言って、ペコっとお辞儀すると。

オロオロしながらアリーナを追いかけて執務室から出ていった。

彼は庶民の貴族からの扱いを、その身を持って理解している。

だからなのか、カノープスの身を守る為の俺の指示を感謝して快く受けていた。

アリーナは、多分それも気に入らないのだ。

世間知らずのアリーナは、カノープス位自分が護れると思っているのだろう。

自身の身すら、まだ確立する事も、護れる訳でもないのに、本当困ったものだ。

次に直談判しに来たら流石に怒るか。

身分差別は、アリーナが考える程この世界では甘くはないのだ。

明日は我が身。

尖って突き進む杭は狙われる。

アリーナが曲がらずにカノープスとお互い助け合ってくれるのは、安全で理想的だとは思うんだが、さてはて。

溜め息混じりにアレクは窓を眺めた。

まぁ、カノープスと婚姻させるかどうかは又別だけどな。

パシン!

と、机の本の下に置いて彼らから隠した国王からの手紙を指で弾く。

まぁ、内容は日本語だから俺以外、誰が見ても分からないんだけどな。

しかも、御丁寧なことに白紙はあぶり出しでこう書かれていると説明される。

[カノープス 

正式名、カノープス・ド・システィア。

かの者を、我ゼボネアス・ド・システィア王の子と認め、公子の身分を与える。

尚、カノープスの婚姻は、我ゼボネアスか、育成親のアレク・ロ・バルバロイ伯爵の許可が必要である。]

これを使うのは、カノープスの身分にごり押し婚姻計る馬鹿を避けるためと。

ほんのちょっとの遊び心。

どうもあぶり出しとかこの世界の人達知らないのは、紙がまだ高価だからかもしれない。

こんな事が出来る王様ステキ!

とか言われたいのだろうか?

まあ、スルーしておこう。

公表するのは成人後か、学院卒業後だろうか。

ちなみに紙は、俺の領地の間伐材と、要らない葉や廃木材崩したチップなどから研究を重ね。

数は少ないが作るのに成功した。

作りすぎると禿げ山になり。

最悪鉄砲水や洪水や、山崩れがなんかが発生するから禿山は怖いんたよ。

量は押さえて根の生えやすい植樹もさせる。

河川や沼や湖といった水回りは、竹や柳や桜みたいなものを防波堤替わりにし。

住宅の近くは銀杏のような火災に強い木を植えさせたり、防風林になる松みたいな木を植えさせた。

街路樹は、木の実のなるものを植え。

飢饉にも備えてみた。

植物は育てるとき魔力込めると、確かに食べられるけど。

モンスターになる種類もいるからな。

ちょっと気を付けないとアレだけどね。

本当変なところファンタジーだよな。


あぁ話が逸れてしまった。

紙だったっけ?

そんなわけで、少しだけ王様に紙は分けたんだ。

献上したという量じゃ無いし、こっそりそすそわけレベル。

したらこれを数日前に手渡された。

「べ、別にあんたの事なんて何とも思って無いんだからね、勘違いしないでよね。」

と、テンプレなツンデレを演じやがった。

くねくねオカマみたいだった。

「美形だけど精悍なイケメンにやられると、痛々しいしマジキモいわー。受け取るのかんがえるわー。」

と、言ったら楽しそうに笑ってた。

やはり、転生してもこいつの本性は王宮じゃ理解し合えないんだろうなぁ。

と思ったら。

「あー、やっぱり俺様に対してその冷めたリアクションは、今も昔もお前くらいしか出来ねぇよな。

ぶっちゃけノーリアクションで、何故か不敬罪で捕まるんだぜ?」

そんな不敬罪イヤなんですが。

やだよこれだから権力者は。

そんなやり取りで渡された手紙を、捨てるわけにもいかず。

貴重品入れに押し込めた。


3日後、カノープスが怪我して帰ってきた。

アリーナは、質問しても要領をえず。

半狂乱で側から離れない。

仕方ないので、眠りの術を掛けて眠らせ。

メイド達に部屋へ運ばせた。

その間に俺はカノープスに回復術を掛けた。


どうやらアリーナに言い寄ってきた貴族からアリーナを守った。

だが、そのまま反感をかって斬られたのだ。

やらかした奴の名前を聞いてみた。

言いよどんだ後、カノープスは呟く。

「マゼラン・シス・ダガー男爵子息様が、アリーナ様を無理やり連れ出そうとしたので。

お止めしたらこのざまです。」

最後は悔しそうに口をへの字にしている。

マゼラン、あぁアルドノアスの腰巾着で、おつむも素行もアホの脳筋騎士、あ、こいつも攻略者か。

「俺の可愛いアリーナとカノープスに何してくれやがる、糞脳筋め。」

つい日本語で、罵倒。

なのでカノープスはキョトンとしている。

い、いかん。

又伯爵変な事呟いてるって思われちゃうよ!

手遅れ?五月蠅いよ!分かってるよ。

「あー、えーっとだな。

カノープス、アリーナを助けてくれてありがとう。

だが、カノープス。

お前も無茶せず逃げなさい。

相手は剣を振り回す場所を考慮しない、愚か者だ。

対抗するにはそれなりの力がいる。

アリーナもだが、カノープスも俺には大切な息子なのだから。

無駄に命を散らして欲しくないのだよ。」

頭を撫でてやるとビクッとふるえた後、カノープスは涙ぐんだ。

「は、はい。」

そう答えて、意識を失うように眠った。

起きる頃には傷回復の疲れも治っているはずだ。

すくっと立ち上がって、後の世話をメイド達に任せると、執務室に俺は戻る。

「状況は?」

俺だけが居る部屋で、声を掛けた。

「じれてアルドノアス派が動き出したようです。」

姿を見せないシノビ頭領のミコノは声だけを紡ぐ。

既に防音の術はかけてあった。

「俺の領地の成功が妬ましい、領地に潜入出来ない。

ならば弱点のアリーナ傀儡にして、俺の領地の儲けをピンハネするための誘い出し、だろうな。」

「その様です。

送迎の護衛は増やしますが、学院内への護衛は増やしますか?」

「数は広さ的にこれ以上入れないから。

ギルド実力者を、数名臨時講師として潜入させよう。

この前差し上げたこのバルバロイ産の上級酒を、学院理事長がとても気に入ったから。

又お持ちすれば問題なく通るだろう。

後は、防御系の身体強化の魔道具を、子供達に持たせよう。」

「は、では準備させます。」

数日休ませて、カノープスとアリーナは学院に通わせた。


「さてと、経済制裁しよっかな。」

ダガー家とバルバロイ家。

商人掌握しているのはどちらなのか、じんわりと思い知らせて上げよう。

俺が直接指揮しなくても、動くつてはいくらでもって有るんだぜ?

おつむの足らない坊や、俺の子供達に手出しした事。

後悔させてあげるから、ね?


その数ヶ月後、新規事業に失敗しダガー家は、借金に公金まで手出しした事が何処からか漏れ。

お取り潰しになり、マゼランは退学したそうな。


アリーナの反抗期だが、何故か収まった。

俺に逆らわないように、マゼラン退学の後の少しの間ちょっと涙目になっていた。

父の黒さをチョッピリみちゃったせいかな?

テヘペロ。

今回ちょっと黒いアレクです。

親馬鹿だからね、アリーナだけじゃなく。

カノープスもそろそろ愛着わいて可愛がってます。

なので、子供達の敵には容赦ないです。


あ、マゼラン君ですが。

ゲームではアリーナにアルノドアス王子と共にいかがわしい事した初犯さんなのですが。

彼ルートは、王子の居ない所で関係を持たされ。

王子より偉いと増長していきます。

顔と体力自慢。

まさに下半身直結型のゴミ野郎なので、ろくなエンドでは有りません。


今回出なかったもう一人の腰巾着。

眼鏡魔道師のエキセドナ・リシュ・ナティアス子爵は、ぶっちゃけヘタレ眼鏡君ですが。

王子の命令に従う振りしておいしい思いしてます。

ただ、アリーナの可憐さに心奪われていた為。

初犯時に止める振りして混ざってます。

やはりゴミ野郎ですね。

彼の攻略ルートは、駆け落ちです。

王子派に利用されるアリーナが、段々可哀想になって。

アリーナを連れて他国へ亡命します。

ただ、一番クリアが楽な、比較的ハッピーエンド。


元の乙女ゲームは、アリーナを幸せにしてくれる攻略キャラと、不幸にする攻略キャラに分かれてるから、

アレクが近寄らせたがらない野郎共が多かったりします。


又気が向いたら書きますね。

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