表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/29

毒華

アリーナの乙女ゲーム本編話を軽めに。

鬱々しいかもです。

さわり程度にしたので、薄味です。。

その日、成人の日となる私の誕生日だった。

広い湖上の城は、当主である父アレク伯爵が不在だった。

近隣諸国との戦争、王都への召還され会議や夜会参加、領地での反乱軍の鎮圧。

こんな言い訳で大抵私、アリーナの側には居てくれない。

いや、死んだ母に似た私の顔を見ると辛いとかで、今では目も合わせなくなった。

確かに沢山のプレゼント、花や宝石や美しいドレスをくれる。

でも、肝心な愛情は貰えなかった。

側にいて欲しい時、居ないのだ。

乳母やメイド達や執事は、腫れ物扱いで話にならない。

目の前のご馳走やケーキの、味がしなかった。

おざなりに食事して部屋に戻る。

半狂乱に愚図るのももう飽きた。

亡き母の代わりにすらならない私は、父にとって邪魔な存在なのだと改めて思い知っただけだった。

誰も私を見てくれない。

誰も私を愛してくれない。

ならばもう、ここに居る必要は無いだろう。

私は待った、待ち続けた。

もういいよね。

成人したのだから、私は自由だわ。

あんなクソオヤジもう知らないわ。


アリーナは城を飛び出し、彷徨い何処かの夜の街にたどり着く。

そこは、転落の場末。

令嬢が居てはならない暗黒街バリアラ。

水すら出ない公園の噴水跡に座る。

ぼんやりと浮かぶ朧月を見上げた。

「ねぇ、君はこんな所でどうしたの?」

甘やかな声を無視した。

何処かでつけられていたのだろうか?

分からない。

答える義理もない。

だが声の主は私の顔を覗き込む。

楽しい玩具を見つけたように、男は微笑んだ。

こんな美しい男を、間近で見たことがなくて息を呑んだ。

私以上に、場末に似合わない美貌。

けれど私は気付いて居ない。

誰よりもここに相応しい毒を持つ華だった。

「ねぇ、行くところ無いなら付いておいでよ。ここよりは、退屈しないかもよ?」

何処からか出したドリンクを手渡される。

優しげな笑顔や仕草に、警戒心が薄れ受け取った。

確かに退屈はしなくなった。

それは媚薬、世間知らずの家出娘を闇落ちさせる魔の手。

その日、アリーナはその男に、いや複数の男と夜を過ごす。

取り返せない平穏を捨てたリスクは、その身体に返ってきた。

息をするように甘い毒を吐く男、アルドノアス第一王子の享楽の駒の一人として。

その後、アルドノアスの手引きで。

システィア王立学院高等部の寮生活に、無理やり連れ出されるのだ。

愛の駆け引きを遊びに、アルドノアスの配下を増やす駒として。

沢山の男と夜繋ぎ、仮初めの愛で翻弄し、あの男のように弄ぶ。

乙女の心は沢山汚されて。

沢山汚してボロボロです。

誰か、助けて。

不幸から逃げたかったのに。

ずっと叫ぶ声が、捕らわれた心が。

誰にも届かない。

仮初めの愛で一瞬治った気になるけれど。

真実には遠かった。

アルドノアスの悪行がバレて、処刑台に登る前日。

頬を叩き、泣きながら謝って。

優しく抱きしめた父の真意、本当の愛を知るのが遅すぎた。


処刑の翌日、ただ野に咲く花束がアリーナの墓の前に置かれた。

その花は、伯爵の領民でアリーナの気紛れから命を救われた青年がそっと添えたものだ。

花は、頼りなさげに揺れていた。

だから本編は空気変わるとあれほど。

本編のアリーナちゃんは人間不信だけど寂しがり屋なので。

身体はチョロインのふりして、心が難攻不落です。

面倒くさいタイプかもしれません。

ちなみに、最後花を添えた青年が、男性向け版主人公件隠れキャラ君です。

心の底からアリーナちゃん愛していて、王子達貴族からアリーナちゃん守りたかった子なのです。

男性向け版主人公になったのも隠れキャラとして人気になり、そのための優遇盛りです。

さて、お父さん伯爵は彼をどうするでしょうか?

又気が向いたら何か書きますね。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ