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B-BOY秘密列車  作者: 東雲 ヘルス
七夕物語
5/6

フォースインパクト

コンコン!!


車の窓をたたく音がした。

車のパワーウィンドを開ける。無機質な機械音と共に凶悪なひげ面が現れた。


「お疲れ様です。」

ひげ面は無愛想にいった。後ろには3人の後輩らしき人間を連れていた。


「例の件解った?」

イチは笑顔でひげ面に聞いた。


イチは「タヌキの仕事」ということもあり、牧下親分に部下と車を与えられ「仕事」に励んでいた。

イチの仕事は、裏社会での聞き込みだった。


「色々解ったよ。」

ひげ面は今度は満面の笑みでかえし、すぐさま車に乗り込んできた。部下らしき3人はその場に残り、錦糸町から葛西までの短いドライブが始まった。武骨な表情を浮かべたまま了解も得ずに893の車に乗り込んできた男

中華マフィア「誇舞羅」の幹部候補(幹部の下くらいの位置づけ)「富金」と名乗る男だった。

イチは思った。

やっぱり不良は苦手だと。今回はイチ自身も「不良」として接している為、虚勢を張っているが内心ドキドキだった。


富金は車に乗り込むと、早速煙草に火を付けた。

牧下親分も煙草を吸うが、他人の煙は異常なほどに嫌がる。少しでも違う匂いがするとすぐさま嗅ぎ付けてしまうのだ。

しかしイチは何も言わず運転を続けた。

出がけに牧下親分から言われたことを思い出していた。


「いいか桜井、誇舞羅とは揉めるな」


いくら菊川会とはいえ、町の不良の最大組織とは揉められないということだ。

菊川会は裏で誇舞羅と繋がっているため、揉めることは絶対禁止なのだ、かといって誇舞羅側もソコを解っていて調子に乗ってきたりといことはしない。絶妙なパワーバランスで関係が成り立っているのだ。


富金は長い息を吐くと同時に煙草を自ら持参した灰皿に押し付けながら言葉を発した。

「こいつらはうちのグループじゃないな。偽者。」

そのあとも淡々とした語り口調で話した。

通常では知りえない情報量であった。さすがだと感心した。

ただ少しだけ違和感を感じたことがあった。それは、富金は淡々と事実のみを語るという口調であったが、最後のほうは顔が少しだけ紅潮していたように見受けられる。感情を隠し切れないといった様子だった。


「じゃあまた。」


葛西駅に着くと富金はそういってイチに電話番号の書いた紙を渡して颯爽と去って行った。

イチはその紙に書いてある11桁の番号を自らの携帯に登録して木場に向かった。


「ただいま」

RBNの事務所に着いたのが午後10時だが、シンゴもナチもまだいた。

皆で二階のテーブルに着くと、ナチがいつものようにコーヒーを淹れた。

それが合図のようにしてイチの報告が始まった。




コンコン!!


車の窓をたたく音がした。窓の外に男。

何事かと思い、車のパワーウィンドを開ける。無機質な機械音と共に凶悪なひげ面が現れた。

「ここ、俺たちの場所だよ。イチャつくなら他でやれよ!」

貴志も亜美も恥ずかしさで顔が真っ赤になった。

「す、すみません」

と貴志は行って、慌ててシフトレバーをドライブにし、サイドブレーキを解除してハンドルを大きく右に切って発車した。


ガチャン!


前に停車している車のリアバンパーがへこんだ。

貴志は慌ててギアをバックに入れハンドルを逆に切り替えしアクセルを踏んだ。

すると今度は後ろに停車している車にぶつかった。

気が動転した貴志は車のエンジンを止め、外に出た。

待ってましたとばかりに、先ほど声をかけてきたひげ面が貴志に詰め寄った。


「おいおいおい!!どうしてくれるんだ、コラ!」

他の車からもひげ面の仲間が下りてきて貴志を取り囲むように集まった。


「お前が今ぶつけた車なぁ、うちの兄貴の車なんだよ!どーしてくれるんだ!コラ!」

キャップをかぶった小柄な男が言った。

亜美も車から出てこようとしたが、貴志は二人の男に詰め寄られながらも、すぐさま自分の車にキーを差し込みロックすると同時に亜美に「出てくるな!」と表情で訴えた。それが貴志にできる精一杯だった。























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