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特別編  超絶お笑い空間! BUTAIURA!!

※キャラのイメージが崩壊する可能性が大です。

あらかじめご了承ください。

ファルカス「なんてハードルの高いタイトルだ! オレたちはお笑い芸人じゃないんだぞ! いくらなんでも無茶振りすぎる!!」


サーラ「まあまあ、ファル。今回は舞台裏――『ザ・スペリオル~夜明けの大地~』をここまで読んでくれた人へのサービス話なんだから、やれるところまではやってみようよ」


ファルカス「……う、サーラがそう言うなら仕方ないか」


ブラッド「ひゅーひゅー! アツいぞ、お二人さん!」


ファルカス「うるさい! ……って、なんでブラッドが『ひゅーひゅー!』なんて言ってるんだよ! キャラが違うぞ! そもそも、ブラッドは本編中で死んでるだろ!」


ブラッド「ここは謎のお笑い空間だからな。死人が存在していても、なにひとつおかしくなんてないのさ」


ファルカス「うぅ、そういうもんなのか……」


ブラッド「そういうもんなんだ。まあ、この謎空間、一説には『本質の柱』の内部にあるとも言われているが」


ファルカス「本質の柱……? なんだそりゃ」


ブラッド「いまのお前が知るにはちょっと早いかな。文庫本に換算して……そう、大体、五冊分くらい早い」


ファルカス「具体的すぎるぞ、ブラッド!」


ブラッド「はっはっは、まあ、そういうことだ」


サーラ「……あれ? ヒロインであるはずのわたし、まさかの置いてけぼりくらってる? ブラッドに相方を取られちゃってる? ――おのれブラッド、許すまじ……!」(右の拳をかたぁ~く握ってぷるぷる)


ブラッド「いやいや、落ち着けお嬢さん。大丈夫、この作品におけるメインヒロインは間違いなくきみだ。だから、そのすさまじ~い殺気をいますぐに引っ込めよう。というか引っ込めてください、お願いします」(土下座)


サーラ「そこまで言うなら引っ込めてあげましょう。……ファルも、あんまりブラッドとイチャイチャするの禁止!」


ファルカス「いやあの、別にイチャイチャしていたつもりは……。というかお前、なんでそんなに怒ってるんだ?」


サーラ「え!? そ、そりゃ、親の仇かもしれない相手と仲良くされてたら、誰だって怒るでしょ……」


ファルカス「な~んか歯切れの悪い……。って、あれ? そういえばサーラの親の仇って、作中では判明せずに終わったんだっけ?」


クラフェル「ふむ、連載が思っていたよりも長期に渡ってしまったせいで、そのあたりの記憶があやふやになってしまっておるようじゃの」


ブラッド「みたいだな。よし、じゃあ――」


ファルカス「クラフェル、てめぇ!」


クラフェル「ひいっ!? なんじゃファルカス! かつての仲間に向かって、いきなり剣なんぞ突きつけおって!」


ファルカス「な・に・を・いけしゃあしゃあと!! ……言ったよな? オレ、第十四話で言ったよな!? もう二度とオレの前に現われるなって!」


ルスティン「あ、比較的最近のことはちゃんと憶えてるんだね」


サーラ「あ! ルスティン!」


ルスティン「ちょい待ち! アタシ、あんたになにか恨まれるようなことしたかい?」


サーラ「う、してない、けど……」


ルスティン「だろ? だからほら、殺気は引っ込めた引っ込めた」


サーラ「むぅ……」


クラフェル「やれやれ、険悪なメンツじゃのう……」


ファルカス「お前が言うな! 元凶!!」


クラフェル「酷い! ワシのやったことなんて、出来心で『組織のトップになりたいな~』と思ってしまい、そのまま実行に移してしまったくらいのものじゃぞ!? あと、ついつい出来心でブラッドを殺して、魔が差して組織の下っ端を操り人形にして、それからそれから――」


デルク「いや、それだけやってりゃ充分に元凶だろう」


ファルカス「……うおぅ、お前まで来たか、爺バカのデルク・ファムレン」


デルク「なぜにフルネームで呼ぶ? ファルカスよ」


エレン「あ、私も来てますよ、ファルカスさん」


サーラ「ああっ!!」


ルスティン「今度はなんだい?」


サーラ「ヒロインその三が現れた!!」


ルスティン「ちょい待ち! ってことはなにかい!? アタシのことをヒロインその二って勝手に思って、それで殺意向けてきたのかい!?」


サーラ「うん(キッパリ)」


ルスティン「なんという超解釈……。言っておくけど、アタシはファルカスにそんな感情持ってないからね。なにしろ魔族だし」


エレン「私は持ってます!(キッパリ!)」


サーラ「(ギリッ!)」


デルク「歯を食いしばるのはよしたほうがいいぞ、メインヒロイン」


サーラ「え? わたし、メインヒロインに見える? 見える?」


デルク「ああ、見えるとも。ところでブラッドさんとやら、さっきなにか言いかけ――」


サーラ「ファルも、わたしがメインヒロインだって思ってくれてる?」


ファルカス「そりゃあな。というか、作中のあの扱いはメインヒロイン以外の何者でもないだろう」


サーラ「やったぁ! これでメインヒロインの面目躍如!!」


ファルカス「ガッツポーズするほど嬉しいのか。まあ、オレもなんだか嬉しいし、これで万事解決だな」


エレン「む~っ……」


クラフェル「ひゅーひゅー! アツいぞ、こっちまで火傷してまうぞ、お二人さん!」


ファルカス「お前が『ひゅーひゅー!』とか言うなよな! キャラ崩壊にも程があるわ!」


クラフェル「うぅ、ファルカスはワシにはツンすぎるぞい。たまにはデレてくれてもいいではないか……」


ファルカス「うわ、ちょっとキモいキャラになってきたし。というか、作中であれだけのことをやっておいて、舞台裏では仲良く話をしようなんて発想自体が――」


ブラッド「シャラップ!!」


ファルカス「おわっ! なんだよブラッド!」


ブラッド「黙って聞いていれば、さっきから脱線ばかりで話がちっとも進んでないじゃないか!」


ファルカス「話が進んでないって言われても……」


エレン「進めるような話って、なにかありましたっけ? 今回」


ブラッド「ない!」


全員(うわぁ、言い切った……)


ブラッド「進めるべき話は確かにないが、それでもグダグダすぎるとは思わないかね? 諸君! 思うだろう? いや、思うはずだ!」


ルスティン「う~ん、まあ、確かにねぇ。混沌大好きな魔族のアタシでも、このグダグダっぷりはいただけないなあ」


ブラッド「だろう? さっきまでは、『登場人物が全員揃ってないから』と口を閉ざしていたが、そろそろ脱線っぷりに歯止めをかける頃だろう」


ファルカス「あ、本当だ。なにげに全員揃ってる。……ん? 全員? 誰か足りないような気がするんだが……」


ブラッド「ああ、魔族のハルクと『漆黒の爪ブラック・クロウ』のカオス、それとファルカスの回想にのみ登場した人物は今回、呼んでないぞ。さすがに収拾つかなくなるだろうから」


ファルカス「なるほど、足りないと感じたのはそいつらがいなかったからか。過去回想に登場した奴らなんて、特にオレには縁の深い奴ばかりだもんなぁ。じゃあ、本当にそいつらを除いた全員がこの場に揃ってるんだな」


ブラッド「そういうことだ。いや~、全員がこうして一堂に会すると、なかなかに――」


カレン「すみませ~ん。急患が入って遅れてしまいました~」(走ってきたのか、ゼエゼエと息を切らしながら)


全員『忘れてました! ごめんなさい!!』(深々と頭を下げる)


カレン「ええっ!? 私、いきなりなにを謝られてるんですか!?」


ブラッド「いやはや、すっかり忘れてた……」


ファルカス「物語に直接関わってこなかったからなぁ、彼女。まあ、仕方ないさ」


サーラ「うん、とりあえず気にしないでおこうか、カレン」


カレン「え? あ、はい。……わかりました、気にしません!」


ルスティン「しっかし、サーラのサブヒロイン認定から逃れるほどの空気っぷりとはねぇ……」


サーラ「ルスティン? せっかく丸く収まろうとしているのに、蒸し返さないでくれるかなぁ?」


ルスティン「うぇ!? いやいや違う違う! 別に彼女に悪意はなくって! ただ単に思ったことがそのまま口から出ちゃっただけで、さ……」


サーラ「…………。まったく、それはそれでタチが悪いなぁ。えっと、ここだけの話ね? カレンには好きな人が別にいるから、マークしてなかったんだよ」


カレン「好きな人って、ヴァルフさんのことですかね?」


全員『そんな名前だったね! そういえば!!』


カレン「忘れないであげてくださいよ! ヴァルフさんが可愛そうすぎます!!」


ファルカス「いや~、憶えてる奴なんて一人もいないんじゃないか?」


クラフェル「いないじゃろうな」


カレン「クラフェルさんの場合は、ただ痴呆症ちほうしょうにかかっているだけです」


クラフェル「が~ん。なんか酷いこと言われた……」


ブラッド「あ~、はいはいはいはい。ま~たグダグダな流れになってきたし、そろそろ私が仕切ってもいいかな?」


デルク「そうだな。そろそろ頃合だろう」


エレン「あ、でもその前にひとつだけいいでしょうか?」


ブラッド「うん? なんだい?」


エレン「ブラッドさんの一人称って『私』だったんですね。私、いま初めて知りました」


ファルカス「言われてみれば、オレも初めて知ったような……?」


クラフェル「ワシもじゃ……」


ルスティン「アタシも知らなかったねぇ、そういえば。……どうでもいいことだからかねぇ?」


ブラッド「うっわ、ひっどい言われよう。――ようし、それなら私からもひとつだけ言わせてもらおう」


サーラ「ん? なになに?」


ブラッド「私のことは、『世の平和を裏で守る者』と憶えておいてもらえると嬉しい」


ルスティン「うっわぁ……」


クラフェル「なにをいけしゃあしゃあと……」


ファルカス「まあ、確かに間違っちゃあいないけどさ」


サーラ「ファル!?」


ルスティン「あー、忘れてた。そういえばファルカスって、一応はブラッドのカリスマ性に魅せられて『暗闇の牙ダーク・ファング』に入ってきたんだったっけ」


ブラッド「固有スキル『カリスマ』。いぇい!」


クラフェル「お主もお主で調子に乗ってブイサインなどするでない。まったく……」


サーラ「あれ? いまなんか、クラフェルが常識人に見えた……」


クラフェル「ワシは常識人じゃ!!」


ブラッド「さて、前置きが長くなったが、ここからは『ザ・スペリオル~夜明けの大地~』を一話ずつ振り返っていってみようと思う。そう、オーディオコメンタリーみたいな感じで」


ファルカス「おーでぃ……? なんだそれ?」


ブラッド「生者にはわからないことさ。死ぬことによって、私は『蒼き惑星ラズライト』の過去の姿を知るに至った。個々人の魂のルーツとか、そういうものをな。まあ、そんなことはどうでもいい。要するに過去を振り返って懐かしもうぜってだけのことだ」


ファルカス「懐かしむ、ねぇ……」


ブラッド「まずは第一話。『対面なき邂逅』。ファルカスとサーラが出会った話だ。……まあ、お互いの顔は見ていないわけだが」


ファルカス「早々に『希望の種ホープ・シード』とかわけのわからない文章があるな」


ブラッド「まあ、そのあたりはおいおい判明するだろう。この回のポイントは、ルスティンの容姿に意外とファルカスが高得点をつけているところだな」


ファルカス「おおぅい!?」


サーラ「(ギロリ!)」


デルク「こらこら、そんな目をするな。メインヒロインなんだろう?」


サーラ「うっ……」


ブラッド「そして次に注目すべき点は、『ナルシストなファルカスくん』だ!」


ファルカス「ナルシスト違う! オレは自分の持っている魔法の品に酔っていただけだ!」


カレン「自分から『酔っていた』なんて言ってしまう男の人って……」


デルク「しかし、この回ではファルカス、いいところないな~。女の子に夜這いをかけようとして、撃退されて財布落とすとか」


ファルカス「そういう言い方するなよ! 殺しと夜這いには天と地ほどの差があるぞ!!」


ブラッド「さて、次は第二話だ。カレン・レクトアール、唯一の登場回だな」


カレン「私、そのせいで影が薄い気がするんですよね……」


ブラッド「気にするな、スペリオル聖教会の『十二使徒』!」


カレン「は、はい……?」


ブラッド「あ、いや、なんでもない。すまん、口が滑った。――ええと、見所は……」


ファルカス「ないんじゃないかな……」


デルク「否、ある! 勢いよく開いたドアに吹っ飛ばされるファルカス!」


ファルカス「なんでそういうところにばかり目をつけるんだ、お前は! オレになんか恨みでもあるのか!」


デルク「あるとも!」


ファルカス「くっ、恨まれる心当たりがありすぎて反論できない……」


エレン「ところで、ヴァルフって方は結局、何者なんでしょう?」


ブラッド「それもおいおい、だな。いまは単なる伏線のひとつに過ぎない。ぶっちゃけ、回収される日はくるのだろうか」


ルスティン「あのさ、この『舞台裏』は一応、最終回なんだよね? なんで回収されてない伏線なんてものがあるのさ?」


ブラッド「さあ? 物語同士をリンクさせるのが好きな作者だからな。いずれ、別の作品で回収するつもりでいるんだろう。あ、作者の口癖は『予定は未定』な?」


ファルカス「回収する気ゼロだな、こりゃ……」


サーラ「生みの親のことながら、本当にダメダメだね……」


ブラッド「まあ、正直、私は『勝手にやってくれ』という心境だ。なんせ、もう死んだから出番ないし。別シリーズでなら違う名前で登場するんだけどな」


ルスティン「さっきの『口が滑った』ってのは、そっちのほうの情報ってことかい?」


ブラッド「まあ、そんなところだ。さて、第三話は――」


サーラ「わたしの登場回だね!」


ファルカス「初っ端からドジっ娘属性全開だったよな」


サーラ「わたし、実際には全然ドジっ娘じゃないのに……」


デルク「ちなみにこの回、治療シーンにおいてファルカスは重大な勘違いをしていたりする」


ファルカス「なんだよ! またオレの格好悪いところを掘り下げるつもりか!?」


デルク「当然だ。まあ、俺自身は魔術をろくに使えないので、又聞き情報に近いものがあるんだが――」


ファルカス「魔術を使えないんじゃ、又聞き以外のなにものでもないじゃねえかよ」


デルク「こほん。この治療シーンにおいて、ファルカスは『話をしながら神の祝福ラズラ・ヒールをかけられるなんてすごい!』なんて思っているが、これは大きな間違い。神族の力を借りて使う魔術は、精神魔術に比べて術者の精神集中の度合いが少なくてすむ」


ファルカス「ええっと、つまり。神の祝福ラズラ・ヒールよりも回復術ヒーリングのほうが高い集中力を必要とするってことか?」


サーラ「さすがに神の祝福ラズラ・ヒールはそこまで簡単じゃないよ。でも……うん、人に話しかけながら復活術リスト・レーション神の祝福ラズラ・ヒールを使うとしたら、前者のほうがより集中しなきゃだめかな」


ファルカス「なんてこった……」


エレン「おじいちゃん! あんまりファルカスさんいじめちゃダメでしょ!」


デルク「む……。仕方ない、自嘲するか」


カレン「あの、なんで自嘲……?」


デルク「間違えた。自重だ、自重」


ファルカス「お前、本っ当にエレンには弱いのな。この爺バカ」


デルク「黙れ。で、第三話の見所だが……ファルカスの浅ましさ?」


ファルカス「おい! 自重はどこいったよ!」


デルク「そう言われても、事実そうなんだから仕方ないだろう。なあ? エレン」


エレン「…………。ごめんなさい」


ファルカス「なんかエレンに謝られた!? なんで!?」


ブラッド「まあ、この回のファルカスは本当に浅ましかったからな」


ルスティン「いくら財布落としたからって、呪われた剣を売りつけようとするかね、普通」


ファルカス「あう……」


サーラ「しかもわたし、『お金いらない』って言ってるのにね……」


ファルカス「あうあうあう……!」


クラフェル「しかも仕舞いには、自分を殺そうとしている人間の護衛をしようとしておるしの。おまけにモノローグでは『しかし、知らないとはいえ、自分の身を狙ってきた暗殺者にボディー・ガードを頼むか?』とまで……」


ファルカス「あうあうあうあ……って、それは仕方ないだろ! オレだってサーラがオレの命を狙ってきてるなんて知らなかったんだから!」


ブラッド「キツネとタヌキの化かしあい?」


ルスティン「この物語、基本の構造がそんな感じだよね。アタシとクラフェルもそうだったしさ」


カレン「大事なのは、どちらが上手をとるか、なんですよね」


デルク「そして上手をとれなかったのはファルカスとクラフェル。……なんだ、必ず男が負けてるんだな。俺がエレンには敵わないように」


全員『それとこれは別』


デルク「ちっ……。ああ、そうかい。で、次は第四話か?」


ブラッド「あれ? 私の役割がとられてる……?」


デルク「第四話『見えないクモの巣(前編)』。ファルカスの過去話だな。……どうでもいい。次」


ファルカス「酷っ!」


デルク「だって、お前が一番ビビリだった頃の話だろ? ほれ、どうでもよさげな感じがぷんぷんするじゃねえか」


クラフェル「言っておくが、ワシたちとファルカスの出会いの話でもあるんじゃぞ?」


デルク「それもどうでもいい。早く俺のエレンが出てくる回に行ってくれ。第六話だろ?」


サーラ「それが本音なんだ……」


エレン「私、おじいちゃんのじゃない……。それに、ファルカスさんの過去にはすご~く興味あるなぁ」


ファルカス「いい子だ! いい子すぎて涙出てきたよ、オレ!」


エレン「そ、そんなファルカスさん! 『いい娘』だなんて! 『お嫁にしたい』だなんて!!」


ブラッド「いやいや、そこまでは誰も……」


デルク「ファルカス? ちょっと話があるんだが、いいか?」


ファルカス「やめろ。にっこり笑いながら肩に手を置くのはやめろ。オレはなにもしていない。なにも悪くない。無罪だ。無実だ……」


ブラッド「さて、この回で出てきたアスロックというのが――」


エレン「ファルカスさんの親友なんですね。それにしても、独特なテンポを持った方です。空気を読まないというか、マイペースというか……」


ブラッド「話を脱線させるのが得意技なんだよな。で、『スペリオルシリーズ』の別作品の準主人公でもある」


ファルカス「あいつ、準主人公になんてなってたのか……」


デルク「『ポスト・サーラ』ってところか?」


ブラッド「いやいや、男だからさすがにそこまでは」


カレン「ところで、ちょっと疑問に思ったんですけど、クラフェルさんってどうして宮廷魔道士なんてやってたんですか?」


クラフェル「ふむ? そこはそれ、じゃの道はへびというやつじゃな」


カレン「いえ、私が聞いたのは『どうやって宮廷魔道士になったのか』ではなくて――」


クラフェル「それはそうと腹が減ったのう。ばあさんや、メシはまだかいのう?」


カレン「はいはい、痴呆症なんでしたっけね、そういえば」


クラフェル「手痛いことを言ってくれるのう……。ワシとしては『さっき食べたでしょう、おじいさん。というか、誰がばあさんですか!』みたいなノリツッコミを期待しておったのじゃが。まあ、人間、知られたくないことのひとつやふたつはある、ということじゃな」


カレン「はいはい、痴呆症痴呆症」


クラフェル「なんというあしらい方じゃ。せっかく人が少しだけ過去の話をしてやろうかと思ったのに……」


ファルカス「いや、別に聞きたくもないし。しかし、お前はこの頃から悪役臭がプンプンしてるよなぁ」


サーラ「そんな人の言うことを信じて国を出ちゃったファルが言えたことじゃないと思うけど……」


ファルカス「くっ、またまた痛いところを……。サーラ、どうやらお前とは一度、ガチでやり合う必要がありそうだな」


サーラ「あれ? すでに作中でやりあってて、わたしの圧勝じゃなかったっけ?」


ファルカス「そうでした……。そもそも、いまさらオレが本気でサーラと戦えるわけがないわな」


サーラ「だね~。わたしだって無理だろうし」


ルスティン「はいはい、バカップルバカップル。――で、次は第五話?」


ブラッド「ああ。クラフェルのうさん臭さが大爆発している第五話だ」


クラフェル「そういう言い方はやめてほしいんじゃが……。もしかして、お主を不幸な境遇に追いやったりしたこと、まだ恨んでおったりするのか?」


ブラッド「いや、それ以前に、私はお前に殺されてるからなぁ。恨んでないといったら嘘になる。というか、この場にいる人間でお前を恨んでない奴なんて、いるのか?」


クラフェル「やはりか! うすうす感づいてはおったが、今日はワシ、完全にアウェーな場所に呼びだされておったのじゃな!」


ブラッド「心配するな、クラフェル。私は言うほど恨んじゃいない。強いてひとつだけ恨み言を言わせてもらうとすれば……」


クラフェル「言わせてもらうとすれば?」


ブラッド「せめて、劇中で死にたかったなぁ、といったところか。クラフェルよ、私が死んだシーンを回想するくらい、してくれてもよかったんじゃないか?」


クラフェル「そ、そうは言われてもワシ、お主が死んだところなど見ておらんし……」


ファルカス「なんだって!? ということは、まだ誰もブラッドの死を直接見てはいないということに。もしかしたらどこかで生きているんじゃ……!」


ブラッド「いやいや、散々言っているだろう? 私はもう死んでいる、と。ちまたでは観測者が観測するまですべては不確定とか言われているが、私自身がすでに観測者となって自分の死を認めてしまっているんだ。これはもう覆らない」


ファルカス「う、そうなのか……」


ルスティン「というか、『巷』って……」


ブラッド「あ、あと。日本人って『シュレディンガーの猫』大好きだよな。異常なほどに」


デルク「また、わけのわからないことを……」


クラフェル「というか、今日はブラッドが一人で混沌カオスを生みだしておるの……」


ブラッド「はっはー! これが死者の特権でい!」


ファルカス「ときどき、キャラがおかしなことにもなるしな……」


ブラッド「さて、話を戻して。第五話ではついにファルカスとサーラの共闘が描かれるが――」


ファルカス「ああ、はいはい! 共闘だと思ってたのはオレだけで、実際には一対多数だったんだよな! この頃からすでに、サーラはオレの命を奪いにきてたし!」


ルスティン「事故を装って殺そうとするとか、なかなかに策士だよね、サーラは」


カレン「敵に回したくない人物ナンバー1ですよね」


クラフェル「ぶっちゃけ、ワシよりえげつないことやってるしのう」


サーラ「それはないよ!」


全員(いや、どうだろう……)


ブラッド「そして、ことここに至ってもサーラが敵だと気づかないファルカス。まあ、そんなおバカなところも可愛いんだが」


ファルカス「いやいや! 普通は気づかないって! だってメインヒロインなんだぞ!?」


ルスティン「メインヒロインを隠れみのにしたラスボスなんじゃないかな、サーラって。最終的にあんたの手綱を完全に握っちゃったわけだし」


ファルカス「そんなこと……! ある、のか……?」


サーラ「ないない! ないから! ファルカスはまだまだわたしじゃ制御しきれないよ!」


ルスティン「じゃあ、いつかは尻に敷く気なんだ?」


サーラ「うん、そりゃあね。……って、なに言わせるの!」


クラフェル「サーラ・クリスメント、恐ろしい子っ!」


サーラ「あなたのほうがよっぽど恐ろしいって!」


ブラッド「いや、私の見立てではクラフェルは小物だぞ。それも史上稀に見るほどの」


サーラ「じゃあ、なんでそんな小物に人生狂わされちゃったのかなぁ、あなたは!」


ブラッド「そこは突っ込まれると痛いな……。さて、じゃあ次――」


デルク「俺とエレンが初登場の第六話だな!」


ブラッド「ああ。けどいい加減飽きてきた――じゃない、長くなってきたんで、ここらで終わりにしないか?」


デルク「おいこら!」


ブラッド「冗談だ。ちゃんと最後までやるさ。なにせ、こんなに多くしゃべらせてもらえるのは初めてだからな。……しかし、この回は初っ端からサーラの奇襲か。本当に容赦のないお嬢さんだな……」


クラフェル「ワシでももう少し加減するんじゃが……」


ルスティン「さすがは裏組織の元関係者の娘ってところかね。執念が半端ない」


サーラ「ちょっとちょっと! ちゃんと殺気は弱まってるでしょ! 日を追うごとに!」


ブラッド「そして我らがファルカスは、その奇襲すらもクラフェルによるものと勘違い」


ファルカス「もうそこは突っ込まないでえぇぇぇぇぇっ!!」


ブラッド「あ、いや、私が言いたかったのはそういうことじゃなくてだな。……その、なんだ、クラフェルってとことん外道に思われてるんだな、と」


クラフェル「確かに! ファルカスからの信用がゼロを通り越してマイナスになっとる気がする! ワシ、この段階ではまだなにもやっとらんのに!」


ブラッド「もしも~し? 私、この頃にはすでに殺されているんですが?」


クラフェル「あ、いやその、そういう意味じゃなくてじゃな? ほら、あれじゃ、ファルカスは全面的にワシを味方だと思い込んでいるはずなのに、という意味であって、他意はなく……」


ルスティン「クラフェル、テンパりすぎテンパりすぎ」


ブラッド「ともあれ、ここでエレンとデルクが初登場。……なあ、ファルカス。お前、いつエレンのフラグを立てた?」


ファルカス「そんなん立てた覚えはない!!」


エレン「回想されていませんもんね、これっぽっちも……」


ブラッド「回想さえしてもらえない寂しさ、お嬢さんにもわかったかい?」


エレン「はい! すごく!」


デルク「おいこら、お前! 俺のエレンを口説いてんじゃねえ!」


ブラッド「え!? いまのすらも口説いてるうちに入るの!?」


ファルカス「始終この調子だからな。オレの苦労、少しはわかってくれたか?」


ブラッド「ああ、なんか、すごく」


デルク「しっかしあれだ。この回と次の回はエレンの魅力がギッシリ詰まってるなぁ。お前らもそう思うだろ!?」


ファルカス「あ、ああ。まあ、そうだな……」


ブラッド「ですね、はい……」


デルク「だというのに、ファルカス! なんでお前はエレンに転ばないんだ!」


ファルカス「転んだら色々な意味で問題だろう! オレ、捕まっちまうよ! 大体、転んだら転んだで怒るくせに!」


デルク「当たり前だろう! お前なんかにエレンはやるもんか!」


ファルカス「理不尽すぎる!!」


ブラッド(本当に苦労してるなぁ、ファルカス……)


ルスティン「ところで、『それはもう』ってのはあんたの口癖なのかい?」


エレン「え? あー、言われてみればそうなのかもしれませんね。意識したことなかったから、口癖なのかはわかりませんけど」


ブラッド「いや、意識せずとも出てしまうからこその口癖なのだろう。作った口癖は不自然だぞ? 『にゃあ』とか」


ルスティン「それはただの鳴き声だろ……」


サーラ「あ、そうそう。わたし気になってることがひとつあるんだけど、いいですか? デルクさん」


デルク「うん? 俺?」


サーラ「はい。デルクさんは現在38歳なんですよね?」


デルク「ああ。そうだが」


サーラ「で、ヒロインその三は13歳」


デルク「ヒロインその三って、まだライバル視してたのか……。まあ、光栄っちゃあ光栄だからいいけどよ。――それで?」


サーラ「歳の差はわずかに25。なのに二人の関係は『祖父と孫娘』。一体、あなたは何歳で結婚して、その子供は何歳でヒロインその三を産んだんですか? 一応、彼女の親が16歳でヒロインその三を産んで、その方の母親も16歳で出産したと仮定しても、そのときのあなたはわずかに9歳。……一体、どうやってヒロインその三のお婆さんを妊娠させたんです? 9歳じゃ精通もまだですよね?」


デルク「精通って……。これだから医者ってのはデリカシーに欠けるって言われるんだよな。なんの躊躇もなく堂々と口にするし」


ブラッド「それは、あれを使ったんじゃないか? ほら、『人造人間ホムンクルスの法』。『小人型リトル・ヒューマンタイプ』じゃなくて『複製型クローニングタイプ』のほう。……あ、でもこの世界では『人造人間ホムンクルスの法』そのものが失われつつあるんだっけか。一応、エルフを素体にした方法が残ってるには残ってるけど」


デルク「あー、魔術のことはよくわからんが。それは――」


ファルカス「秘密だ、だろ。何度も聞いてるから耳タコだよ」


デルク「おっ、さすがはファルカス。わかってるな」


サーラ「ええーっ!? ファル、それで納得できちゃうの!?」


ファルカス「納得できるというより、納得するしかないんだよ。『仕方ない』って類のことなんだ、これは。それがデルクって奴だからさ」


デルク「まあ、そういうこった」


サーラ「う、うーん……。一番現実的なのは、どこかから養子をとった、とかだけど……」


ファルカス「サーラ、もう思考を停止させておけ。こればっかりはいくら考えても無駄なんだ」


サーラ「う、うん……」


ブラッド「さて、次は第七話。言えることはただひとつ。――ファルカスの鈍感」


エレン「まったくです」


ファルカス「なぜ!?」


ルスティン「あからさますぎるもんねぇ、この娘の態度」


ファルカス「いやいや、13歳の態度を真に受ける19歳の男ってのは、それはそれで問題があると思うが」


クラフェル「上手い逃げ口上じゃな、ファルカス」


ファルカス「うるさいな……」


ルスティン「でもファルカス、気づいてはいたんだ?」


ファルカス「いや。あくまでも『仮にそうだとしたら』の話」


サーラ「あ、そうなんだ。よかった……」


ファルカス「なにが『よかった』なんだ?」


サーラ「ううん、なんでも。そうだよねー、これで気づいていたら、わたしの立場ってものがないよねー」


ファルカス「???」


サーラ「わー、ファルの頭の上、クエスチョンマークがいっぱ~い」


ブラッド「さて、次は第八話。再びファルカスの過去話だ。そして同時に私の初登場回でもある」


ファルカス「オレとブラッドが初めて会ったときの話だな」


クラフェル「ワシの策略がキラリと光る!」


ルスティン「格好よく言っても、やってることは悪党や外道そのものだからね」


クラフェル「しょぼ~ん……」


ブラッド「そしてついに明らかになる真実その一。サーラの『敵でした』発言で引きだ。ここからはジェットコースターでいうところの『落ちる』箇所。作者が自らの作品の構成を『ジェットコースターストーリー』と呼ぶゆえんだな」


ファルカス「いや~、ここでは本当に頭の中が真っ白になった。まだ明らかになったのは『真実その一』だっていうのにな」


サーラ「続く第九話ではわたしの『魔術のような魔術でないような』な魔術、通心波テレパシーの存在が明らかに。でもこれ、かなりアンフェアっていうか、唐突だよね。一応、伏線はなくもないんだけど」


カレン「事前に見抜くのは、まず不可能でしょうね。そのくらい不意打ちなものでした」


ブラッド「ちなみにこれ、実際には魔術じゃない。希術きじゅつっていって、神族よりも上位の存在の力を借りているんだ。呪文の詠唱が必要ないのも、これが魔術じゃないから。やり方としては、階層世界のほうに意識を向けて――って、ここから先はこれから連載される予定の別作品で知ってもらったほうがいいか」


サーラ「あれ? 通心波テレパシーがどういう魔術なのかっていうのは、『ザ・スペリオル』の中では明かされないの?」


ブラッド「明かされないねぇ。少なくとも、いまのところその予定はないようだよ。なにしろあちこちの作品で嫌というほど出てくる術だから。使い手は様々だけどね」


ルスティン「さて、裏設定の暴露はその程度にしておいて、ついに始まるファルカスVSサーラ」


クラフェル「そして敗北するファルカス」


ファルカス「ミもフタもないな、おい!」


ルスティン「仕方ないじゃん。実際問題、第九話のうちにやられちゃってるんだから」


クラフェル「その通り。女子おなごに甘いファルカスが悪い。しかもそのあと、あっさりと説得までされおって」


ファルカス「説得されてなくても、お前はオレを殺すつもりだっただろうが」


クラフェル「いやいや、場合によっては仲間に引き入れるつもりじゃったよ? もっとも……」


ファルカス「お前自身、最後は半分操られるような形でカオスの『部下』にされちまうわけだけどな」


クラフェル「皆まで言わんでくれい!」


サーラ「あ、ところで、わたしの親の仇って、結局、誰なのかな?」


ブラッド「不明のままだな。まあ、なんだかんだ言って裏世界も広いから。組織なんて、それこそたくさんあるわけで」


サーラ「探すのは、なかなかに骨が折れそうだね……」


ブラッド「そうだな。まあ、お嬢さんもこれを機会に、復讐なんて陰気な生き方からは卒業するといい。――さて、大きな伏線の回収がひとつ終わったところで、第十話では小休止とばかりにプレゼントタイム。……よく彼女の誕生日を覚えていたな、ファルカス」


ファルカス「う、まあな……。あ、ところでサーラ、このシーンってさ、通心波テレパシー使った?」


サーラ「ううん。ファルってば感情が顔に出まくりなんだもん。通心波テレパシー使わなくても真意はすぐにわかったよ」


ファルカス「そ、そうだったのか……」


クラフェル「さてさて、ちょっぴり甘い雰囲気を出している二人の心情にシンクロするかのように、次の場面は『ドキドキ! サーラの家でひとつ屋根の下』 !」


ファルカス「お前とルスティンに見事に邪魔されたけどな。それによこしまな気持ちは微塵もなかったし!」


クラフェル「嘘をつけ! このヤりたい盛りの若者が!」


ファルカス「そういう言い方はよせって!」


ブラッド「さて、そんな形で始まった第十一話。いや~、クラフェル? 私が死んでるのをいいことに、ずいぶんと色々勝手に捏造してくれたもんだな?」


クラフェル「うううっ……。ば、ばあさんや、メシはまだかいのう?」


ファルカス「そのボケはすでにやっただろうが!」


ルスティン「同じボケを間を空けてやっても、全然面白くなんかないんだよ……?」


クラフェル「ひいっ! ルスティンの恫喝どうかつ、マジで怖い! やっぱり魔族じゃあっ!」


ルスティン「なにをいまさら……」


ブラッド「ところでクラフェル。サーラの家を家捜ししたと言っていたが、目的のローブ以外に見つけられたものはなかったのか?」


クラフェル「一応はあったぞ。白とかピンクとかの布きれがな。ひょっひょう!」


ルスティン「ちょっ……!?」


ファルカス「こんの……、スケベジジイがあぁぁぁぁぁっ!!」


ブラッド「うおぅ。きっとこうなるだろうと踏んでの質問ではあったが、まさかここまで期待通りの展開になるとは。というかファルカス、首は絞めてやるなー。一応は老体だからなー?」


ファルカス「それは聞けん!」


ブラッド「おお、見事にキャラが変わってしまっている。クラフェルの前に仁王立ちして、絶対に逃がすまいとしている……」


サーラ「ファル、そこどいて。そいつ殺せない」


全員『…………』


サーラ「ファル、そこどいて。そいつ殺せない」


全員(二回言った! 大事なことだったのか!?)


ブラッド「あー、ところでクラフェルさん?」


クラフェル「な、なんですかな? ブラッドさん?」


ブラッド「先ほどの発言なのですが、あれは嘘……ですよね? この場を盛り上げるためのジョーク、ですよね……?」


クラフェル「も、もちろんですとも! そもそもこのワシが勢いで『ひょっひょう!』などと叫ぶわけが……」


ブラッド「ですよねー。というわけで、次の回に――」


ファルカス「そ、そうだな……!」


サーラ「ごまかさないで。あとファル、そこどいて。そいつ殺せない」


全員(ダメか……)


ファルカス「ど、どうするよ……?」


ブラッド「詰んだ、としか思えないな。いやー、まさかここまで場の雰囲気が悪くなるとは……」


ルスティン「ファルカスすら抑える側に回るくらいだからね……」


クラフェル「もういっそ、力ずくで倒してはくれんかのう? ルスティン」


ルスティン「ことの元凶がなにを……。それに、いまのサーラにはアタシじゃ勝てない。そんな気がヒシヒシとする」


クラフェル「そ、そうか……。ならば、最後の手段! 娘よ、その握りしめた拳を解くのじゃ!」


サーラ「なにを言って――」


クラフェル「なぜなら、ワシは家捜しには一切参加しておらん! 精神意操マリオネットで下っ端どもを操り、漁らせただけなんじゃ!」


サーラ「苦しい言い訳だって思わないの……!?」


クラフェル「ひっ……! し、しかし事実なのじゃぞ!?」


ブラッド「いやいや、確かに事実ではあるが、信用はしてもらえないだろう。お前は日頃の行いが悪すぎるから」


クラフェル「あー、うー……」(涙ボロボロ)


ルスティン「ちょい待ち! いまの言い方だと、ブラッド、あんたは見てたのかい? 家捜ししてたときのアタシたちを!」


ブラッド「もちろん。だって私、そのときにはもう死んで、幽霊になってたし。……って、そうか。私にならクラフェルの弁護ができるのか」


ファルカス「そういうことになるな! 頑張れブラッド! クラフェルじゃダメでもブラッドの言葉ならあるいは届くかもしれない!」


ブラッド「おいおい、そんな自分の彼女が言葉の通じない化け物になったかのような言い方をすることもないだろうに……。いや、似たようなものか?」


サーラ「それはいくらなんでも酷いでしょ! ファルカス! ブラッド!」


ブラッド「あーっと、とにかく落ち着こう、お嬢さん。私が見たことすべて、ちゃんと包み隠さず話すから」


サーラ「…………」


ブラッド「まず、家捜しそのものは確かに行われた。『暗闇の牙ダーク・ファング』の下っ端がクラフェルに操られて、な。そしてお嬢さんの下――もとい、布きれも見つけられている。しかし、触ったのは下っ端のみだ。操られていたから、当然『なんだ、『ただのぬのきれ』か』ですぐにポイだ」


サーラ「そ、それはそれでなんか屈辱……」


ブラッド「まあ、そう言うな。もっとも、クラフェルもその場にいた以上、見てはいるわけだが」


クラフェル「なっ!? なぜそれを言ってしまうのじゃ、ブラッド!?」


ブラッド「言っただろう? クラフェル。『包み隠さず話す』と。一片でも嘘が混じっていればお嬢さんは信じまい」


クラフェル「し、しかし、これではワシの命が……!」


ルスティン「いや、見ただけなら命はとられずにすむかもしれない」


クラフェル「そんな無責任な!」


ファルカス「元々はお前が冗談でも『ひょっひょう!』なんて奇声をあげたのが悪いんだろうが。身から出た錆だと思って、半殺しくらいにはされてこい。というか、それくらいの目には遭ってもらわないと、オレも気がすまないし」


ブラッド「なかなかに言うな、ファルカス。だがお嬢さんにその気はもうないようだ。『ただのぬのきれか、ですぐにポイ』の直後から軽く放心状態になっている。けっこうショックだったみたいだな」


ファルカス「あ、本当だ。ここはパートナーとして介抱してやるべきかな。クラフェルのことなんて、サーラに比べたらどうでもいいし」


ブラッド「よかったな、クラフェル。……ふう、一時はどうなることかと思った」


クラフェル「助かったには助かったのじゃが、なんなんじゃろうか、このモヤモヤした感情は。ファルカスはワシのことなんてどうでもいいんじゃな……」


ルスティン「や、そりゃそうだろ」


ブラッド「ともあれ、一件落着。さあ、話が逸れに逸れまくったが、本題に戻るぞ。第十一話後半、通心波テレパシーを使ったサーラによる反撃だ」


クラフェル「ああ、事実上、ワシが孤立無援状態になるところじゃな……」


ルスティン「だから日頃の行いが悪いからだって。何度も言わせんな」


クラフェル「そういうお主とて裏切ったくせに……」


ルスティン「くどいようだけど、裏切ったんじゃなくて表返ったんだよ。ちょうどいい共闘相手としてファルカスたちがいたってだけの話なの。わかったかい? 他力本願のエロジジイ」


クラフェル「ま、まだそのことを引っ張るのか……!」


ブラッド「さて、戦闘が始まって第十二話だ。一応、そこそこ善戦はできているんだが、いかんせん、サーラが強すぎたな。ファルカスが『――放っておいても、問題ないかもな、こいつは……。』とまで思ってしまうほどだ。……というかお前、よくよく考えてみるとかなり弱いんだな。ファルカスたちは下っ端を助けるつもりで動いているのに、殺す気満々のお前がそれと互角って……」


クラフェル「うむ、ワシもそう思う。きっとボケが始まっていたせいで、判断力が鈍っていたんじゃろう」


ルスティン「うわ、とうとう自分から痴呆症であることを認めたし、こいつ」


ブラッド「それくらい屈辱的だったんだろう、あの敗北は。で、戦いの中、サーラは魔風神官プリーストのローブを取りに風の結界を身にまとって地下室へ。一時的にだがクラフェル有利になったわけだな」


クラフェル「有利? いまから考えれば、これはむしろ不利になるフラグじゃろうに」


ルスティン「実際、この段階からすでにジリ貧ムードが漂い始めてるからねぇ」


ブラッド「そんなクラフェルにとって割と絶望的な状況のまま、第十三話に突入だ」


ルスティン「とりあえずあんた、冒頭からして趣味悪いよ。なにさ、蠢く死体ウィガー・アンデッドって」


クラフェル「う、うるさいのう。いいじゃろう、人の好みなんてそれぞれじゃ」


ルスティン「しかも、それだって単なる時間稼ぎだったしねぇ。ファルカスにあっさり倒されてるし」


ブラッド「ファルカス、この段階で半ば勝利を確信しちゃってるもんなぁ」


クラフェル「しかし、その油断が命取り。まだじゃ、まだ終わらんよ、とばかりにワシが起死回生の一手を放つ!」


ルスティン「といっても、人質作戦じゃん」


ブラッド「……外道」


クラフェル「あの状況ではもっとも冴えたやり方じゃったろうが!」


ルスティン「どんなに冴えていようと、やっぱり悪党だね」


ブラッド「勝ち誇ってるところに、サーラが戻ってくるしな。しかも魔風神官プリーストのローブ装備済みの。……そういえば、あれってどこでどうやって着替えたんだ?」


サーラ「ああ、あれは本当にパパッと早着替えしただけだよ」


ブラッド「お、復活したか」


サーラ「えへへ、お騒がせしました。――で、あのときの状況だけど、詳しく解説すると、風包結界術ウィンディ・シールドを使ってる状態で服を脱いでおいて、次に発動させる風包結界術ウィンディ・シールドの呪文を唱え終えてから、一瞬だけ風の結界を消滅させたの。そして、火の手が迫ってくるまでの数瞬の間にローブを着て、再度、風包結界術ウィンディ・シールドを発動させたんだ」


ブラッド「おおーっ! まさに早業!」


ファルカス「オレが近くにいたら絶対にできない方法だな。……一緒に行くって言わなくてよかった」


サーラ「うん、絶対に一緒についてこさせはしなかったよ」


ファルカス「ですよねー」


ブラッド「それにしても、サーラは基本、無敵だよな。持っている魔法の品の効果もあるんだろうが、なによりもヒロイン補正がものすごく効いている」


ルスティン「基本的に怪我をしないもんね」


ブラッド「まったくだ。作者の別の作品では怪我しまくっているヒロインもいるっていうのに」


カレン「なんか、明らかなひいきを感じるんですよね」


サーラ「うわあ、なんか今度はわたしがアウェー?」


クラフェル「いやいや、ワシのアウェーっぷりに比べれば……」


ブラッド「そんなアウェーなクラフェルは最後の切り札である『魔族』を召喚。……召喚、でいいんだよな? それとも契約か?」


クラフェル「同じようなもんじゃよ。エビル・デーモン同様、役に立たんかったところまでおんなじじゃったし」


ルスティン「なんか、哀愁が漂ってるね、今日のあんた……」


クラフェル「敗者なんてそんなもんじゃ……」


ブラッド「ま、実際ハルクはファルカスにあっさりやられたしな」


エレン「ファルカスさん、格好よかったです」


ファルカス「いや、むしろあの勝利はあっけなさすぎて間抜けな気が……」


ブラッド「さて、残るはラスボスであるクラフェルとの一騎打ちだ」


ルスティン「ああ、あのクラフェルが情けないにも程がある一騎打ちね」


デルク「一騎打ちっていうか、あれは単なるリンチだろ」


サーラ「さすがに見ていられなかったね~。哀れすぎて」


クラフェル「それ以上言わんでくれいっ!」


ブラッド「そして次の話。第十四話へ。のっけからサーラのヒロイン力が全開だ」


ファルカス「いや~、オレもまさかサーラに止められるとは思わなかった」


サーラ「えへへ、ファルが人を殺すのが嫌だっただけだよ。クラフェルがどうなろうと知ったことじゃなかったし」


クラフェル「天使のような悪魔の笑顔!」


ブラッド「いや、この場合は悪魔のような天使の笑顔、じゃないか まあ、どっちも似たようなものか」


ルスティン「ちなみにこのとき、背中側から抱きしめられてたわけだけど、胸の感触が、とかなかったの?」


サーラ「ええっ!?」


ファルカス「ルスティン、お前なぁ。いいか、オレは鎧着てるんだぞ。そんなの……感じられるわけがないじゃないかっ! ちくしょうっ!!」


ルスティン「うわ、本気で悔しそう……」


サーラ「う、う~ん……。かける言葉に悩むね……」


ブラッド「まあ、それはともかく。二人の旅はこれから始まるって感じで、エンドだ」


クラフェル「ワシのほうはまだ終わってなかったがの」


ルスティン「だから日頃の行いが――」


クラフェル「それはもうよいわっ!」


ブラッド「そんなわけで最終話。外道なことばかりやっていた悪党、クラフェルの末路の話だ。因果応報、悪いことばかりしているといずれ身を滅ぼすことになるわけだな」


クラフェル「なにも言いかえせん自分が悔しい……」


ファルカス「ところで、このカオスってのは何者なんだ? 外見は年端もいかない子供なのに、魔族よりも強い節があるぞ」


ブラッド「だな。残念ながら、カオスに関しては私も分からないことが多い。まあ、あれだ。『なんかよくわからないが敵に回しちゃいけない奴』くらいに捉えておくのがベストだろう」


ファルカス「あれ? 『私はなんでも知っている』みたいなスタンスだったから、てっきりカオスについても詳しい……というか、探りを入れてるとばかり思ってたんだけど、ブラッドにもわからないのか。意外だな」


ブラッド「いや、な? どうもカオスって、幽霊にも干渉してくるっぽいんだよ。だから探りを入れようと接触なんてしたら、こっちがいいように使われかねない。とりあえずわかっているのは、あれの使う『心を読む術』は希術ではないってことぐらい、かな」


サーラ「それくらいしかわかってないんだ……」


ブラッド「もしも敵対するときがあったら、絶対に油断だけはしないようにな。まあ、出会わずにすむなら、それが一番いいんだが」


ファルカス「ああ、わかった。気をつける」


ブラッド「さて、そろそろお開きの時間だ。――ここまで読んでくださった皆さん、本当にありがとうございます」


ファルカス「『ザ・スペリオル』はこれにて一旦終了」


サーラ「でも、このシリーズを追いかけてきてくれれば、あるいは、思いもかけない形でわたしたちの活躍をお見せすることができるかもしれません」


カレン「たとえば『小説家になろう』以外の場所、作者のホームページで、とか」


サーラ「それでは、皆さん」


全員『いつか、またどこかでお会いできることを祈りつつ』

『ザ・スペリオル~夜明けの大地~』、これで本当に終了です。

ここまで読んでくださり、本当にありがとうございました。

では、また別の作品でお会いできる日を楽しみにしつつ、今回はこのあたりで。

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