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Intro.
それは、私がまだ、真っ白だった時のこと。
偶然友達と訪れた高校の文化祭で、偶然見た軽音楽部 のライヴ。
会場となっている体育館から、溢れ出そうな熱気。
次はどんなバンドなんだろう、と、いつしか私たちも それに浮かされていた。
そんな中で、
私はー私と彼女は、彼らに魅せられた。
高く柔らかく響くその声に。
繊細で細やかなそのメロディに。
温かくて心地好いその低音に。
洗練されて鳴らされるその和音に。
力強く安心感のあるそのリズムに。
真っ白だった私に、鮮やかな色が降り注ぐ。
私の未来が、決定した瞬間だった。
隣に座っていた彼女と、帰り際に約束を交わした。
絶対にあの高校に入って、一緒にバンドを組もう。
鮮やかな自分を抱いて、私たちは家路を歩いた。
「どーもーっ!!チームまちぼうけでーす!!」
その名前を、しっかり記憶に焼き付けて。