究極の二択
真っ白な石でできた巨大な建物、そこに無数のなにかが列を作っている。
なにかはこれから生まれる人間の元であった。
なにかはこれからどこかの世界のどこかの国に生まれようとしている。
列の先頭では神様がなにかの生まれる場所を決めている。
神様はその時の気分に応じてなにかの生まれる先を決めている。
いまのところ神様はダーツで決めていたがすでに1億人分投げたので少々飽きてしまった。
その前はサイコロを振って決めていたが20億人分それで決めていたためにしばらくはサイコロも見たくない。
ふと神様は何か思いついてニヤリと笑う。
たまには自分で決めてもらうのもいいかもしれない。
神様はそう思った。
神様は先頭に並ぶなにかに質問をする。
自分は何をやっても大成功するが、だれかを手伝うと手伝われた人は例外なく大失敗してしまう能力か
自分は何をやっても大失敗するが、だれかを手伝うと手伝われた人は例外なく大成功する能力。
どちらか一方の能力を与えると言った。
「私は自分が大成功するほうがいい」
なにかの一人がそう言った。
「それはどうして?」
神様は首をかしげて問いかける。
「他人が成功しているのに自分だけ失敗すればそれはとても惨めだからです」
神様は納得いったというふうに頷く。
次のなにかに同じ質問をする。
「私は自分が手伝った人が大成功するほうがいい」
次の一人がそう言った。
「それはどうして?」
神様は首をかしげて問いかける。
「自分だけなら成功する人は自分1人、でも手伝った人ならたくさんの人を手伝えばたくさんの人が成功するからです」
神様は納得いったというふうに頷く。
神様はこの質問をこれから数百万人のなにかに対して繰り返し行った。
神様は悪戯好きである。
前者を選んだ人だけの国と後者を選んだ人だけの国を作って観察してみた。
実際に能力は与えずどうなるか実験したのである。
一方は豊かな国にもう一方は貧しい国になったという。