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夢色彩のカーバンクル  作者: 倉元裕紀
第8章 ファースト・アイ後編
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強さの標



 ファースト・アイの4層目に慣れてきたところで、ステラ達はようやくその難易度に気付いていた。ここではモンスターとの戦いというよりも、むしろ環境との戦いという意味合いが強いのだ。

 モンスターの強さなら3層目とほとんど変わらない。それでも、環境の違いが大いに影響していて、進みにくさは段違いだった。

 立っているのが困難なほど傾いた地面。数メートル先すら見通せない霧。そして、見た事のない苔やカビが蔓延っていて、そもそも進みようのない部屋もある。どれか1種類だけならまだしも、例えば、崖と霧が一緒になっている危険性もあるので、不用意に進めない。ジーニアスの感覚を鈍らせる意味でも、過剰な湿気は手強いものがあった。

 それでも、ステラ達は少しずつ適応出来ている。

 元々、2人ともいい意味で臆病だと言えた。2人しかいないという前提条件もあるから、尚更慎重にならざるを得ないのだ。だから環境の変化にも敏感になるし、出来るだけ安全な道を選ぶようになる。当然、人数が多いパーティよりも進行が遅くなるけれど、その分、気が大きくなる事もなかった。

 ただ、ステラにはもっと大きな要因もある。

 例えば、ずっと見ている彼の背中がそうだ。決して大きくないと彼自身は言うけれど、出会った頃に比べれば、確かに大きく、頼もしくなっている気がした。本当に逞しくなったのか、それとも自分の意識の問題なのか、それはまだよく分からないけれど。

 とにかく、ここが自分の居場所だと、そう思えるようになった。

 もっと詳しく説明しようとすると、言葉が逃げていってしまうのだけれど。

 ただ言えるのは、この場所だから自分は戦える。他の事は一切関係ないと言ってもいい。どんな環境の中でも、どんな状況でも、どんなモンスターが相手でも、きっと同じ。

 ここにいる時の自分が、きっと一番強い。

 前に立つレオンの動きが、ステラにはほとんど予想出来るようになっていた。彼が言いたい事も、大抵の場合は分かる。もちろん、たまに予想外の行動をされる事もあるけれど、その時もすぐにその真意が理解出来た。まさに、以心伝心のように。

 きっと、彼もそうだ。

 まだ確認してはいないけれど、今ではむしろ、そんな事を聞く必要性が感じられない。言葉を交わさなくても彼の反応が分かるし、第一照れくさい。それに、彼も一緒だったらいいなと思っている今の状態が、ステラは割と心地よかった。これ以上の関係を望んでいるわけではない。それは過ぎた贅沢というよりも、今の自分達には相応しくないものだと思えた。

 とにかく、今ならどんな場所でも進めるはずだと信じられる。もちろん、今すぐどんなモンスターにも勝てるわけではないし、どんなダンジョンでもクリア出来るわけではない。でも、退き際を見極める事や慎重さを維持する事を含めて、それら全てがダンジョン探索。言うなれば、生き抜く事こそが、ダンジョンではもっとも大切な事に他ならない。

 その為に必要な力と心が、彼の後ろの、この場所にはある。

 彼と一緒なら、ずっと生きていける。

 そんな言葉がふと頭に浮かんで、そして、どこか意味深に感じられて、ひとりでステラは顔を熱くしていた。もちろん、前のレオンには見えていない。でも、ふと自分の右肩に視線を向けると、妖精の紅い双眸と目が合ってしまった。

 何か見透かされているようで、気まずい。

 事実、きっと見透かされているのだろう。そう思いながら、純白の妖精に微笑みかけて、ステラはまた前を向いた。

 暗闇の中、オレンジ色の光が照らし出すのは、いつもの彼の背中。

 ずっとこの光景を見てきた。

 きっと誰よりも、その時間だけは長い。

 これからもずっと、自分が一番でいられるだろうか。

 それがある意味、一番身近なステラの希望なのかもしれない。

 でも。

 ステラはレオンの背中をじっと見つめながら、考えている事があった。

 ひとつだけ悩みがある。厳密に言うと、悩みとは少し違うかもしれない。でも、そのせいで多少憂鬱になる事があるのは確かだし、無視出来るほど小さな問題でもない。ここ最近、ステラが物思いに耽る時の材料と言えば、もっぱらこれ以外にはないと言ってもよかった。 

 それは、レオンが悩んでいるという事。

 そして、これはこの期に及んで都合のいい話かもしれないけれど、その悩みを自分に相談してくれないという事だった。

 まず、レオンが何かで悩んでいるというのは、ほぼ疑いようのない事実だ。本人は上手く隠しているつもりなのかもしれないけれど、ステラにしてみれば、そして、ベティやデイジーにも、ほとんど一目瞭然と言ってもいい。だからといって、具体的に不自然な点を挙げるのは難しいのだけれど、とにかくなんとなく元気がないし、なんとなく表情も憂鬱に見える。戦闘中の動きや判断はいつも通りだし、話している時もいつも通り微笑んでくれるのだけれど、それでもステラには、それが本当の笑顔じゃない事はすぐに分かってしまう。

 何を悩んでいるのか。それも予想がつかないわけではなかった。でも、もしステラの予想通りなら、その悩みを共有出来る人はいないのだ。正直に言って、ステラにも、その気持ちはよく分からない。

 結局は、それが一番の問題とも言える。

 前の彼に聞こえないように、ステラは溜息を吐く。

 ところが、レオンが不意に立ち止まって振り返ってきたので、ステラは心臓が止まるかと思った。

 彼は怪訝そうな顔をしている。

「どうかした?何か、溜息みたいなのが聞こえたけど・・・」

 内心慌てながらも、杖を持った左手の掌を見せながら、ステラは笑顔を作る。落ち着いた動作を繕うのはそれなりに大変だったけれど、表情の方はあながち嘘とは言えないので、それほど大変な仕草ではなかった。

 やっぱり甘えているとは思いつつも、こちらの事を案じてくれたのだから、それは素直に嬉しい。

「いえ・・・あの、心配いりません。ちょっと考え事をしてただけですから」

「何か悩み事?」

 勘がいいのか悪いのか、あながち見当違いとも言えないその発言に、ステラはまた少しヒヤリとしたけれど、表情には出さない。

「えっと、そうじゃなくて・・・私達、ここまで来られるようになったんだなって」

 レオンはやや意外そうに瞳を大きくしながらも、周りを見渡しながら頷いた。

「ああ・・・うん。そうだね」

 ファースト・アイの4層目。夏祭りの前ではたどり着ける実感もなかった場所に、今自分達は立っている。そう考えると、少し不思議な印象が漂ってくる。

 彼もきっとそうだ。

 正面に立つレオンの顔を上目遣いに見上げながら、ステラはそんな事を考えていた。

 そして、つい弾みで聞いてしまいそうになった質問があったけれど、それは結局言葉にならなかった。

 幸いというべきか、レオンもその事には気付かなかったようだ。いつも通りの優しげな口調で話しかけてくる。

「考えてみれば不思議だよね。でも、まだクリアしたわけじゃないから・・・」

「はい。気を抜かないように、ですね」

「うん・・・気を張りすぎるのも、よくないと思うけど」

 答える代わりに、ステラは微笑んでみせる。するとレオンも同じように微笑んでくれて、そして、しばらくして、慣れた様子で周囲を確認した。その手慣れた雰囲気に頼りがいを感じて、時折少し緊張させられてしまう事がある。

 彼はもう一度こちらを見据えた。先ほどよりも、少しだけ鋭い視線だった。

「どうかな・・・次の部屋を制圧出来たら、少し休む?」

「え?・・・あ、もうすぐお昼なんですね」

 気付いてランタンの目盛りを見ると、確かにそれくらいの時間だった。真っ暗なダンジョンにずっといると、身体が時間を忘れてしまう。

「拠点を移すのも、そろそろいい頃合いだしね。それに・・・なんとなくだけど、次は結構強敵がいる感じがするし」

 一瞬驚くステラだった。

「あ・・・私もです。レオンさんもですか?」

「ステラも?そっか・・・ずっと一緒にいるわけだし、そういうのも似てくるのかな」

 向こうは何事もないかのように話しているけれど、ずっと一緒にいるというフレーズの間、ステラはレオンの顔が正面から見られなかった。

 そして、密かに心の準備をしてから、ステラは次の言葉を静かに口にした。

「そう・・・ですね。この先もっと、そっくりになったりするんでしょうか」

 彼は静かに笑った。どうやら冗談だと思ったらしい。

 その事に小さな不満を感じている自分に気付いて、ステラはやはり気付かれないように、密かに自分を戒めた。

 そんな内々のやりとりに気付いた素振りもなく、レオンは名残惜しいまでにあっさりと、身体を進路に向けながら告げた。

「じゃあ行こう」

 短い言葉。それが彼の信頼の証でもあるし、これまでの時間の積み重ねの結果でもある。

 いつか、何も言わなくても全てが分かるような間柄になるのだろうか。

 でも、もしかしたら、そんな未来はないかもしれないのだ。

 言ってしまえば、それが今のステラにとって、唯一とも言える悩みだった。

 この悩みに決着をつけるには、彼に聞くしかない。でも、それはきっと、今するべき事ではない。今の彼には、きっとそんな余裕がないのだから。

 再び歩き始める彼に、ステラは黙って従った。

 とにかく今は、この背中についていこう。

 特に、今はダンジョンの中なのだから。

 しばらくして、もはや道とも呼べないような、崖のような下り坂を進む事を余儀なくされた以外は、比較的順調に次の扉まで進む事が出来た。ファースト・アイの4層目ともなると、扉にも堅牢な鍵が掛かっている場合がほとんどだ。景観は天然の洞窟としか思えない場所に、どう見ても人工の鋼鉄製の扉があるので、かなりのミスマッチとは言えるものの、それで油断してはいけない。解錠に失敗すると巨岩が降ってくるなんて事も珍しくないのだから。

 ジーニアスの中には、鍵穴に触れるだけで解錠出来る人もいる。原理としては、今レオンがしている物理的な解錠方法とほとんど変わらない。鍵の構造を調べて、トラップにかからないように鍵穴の中を操作するだけ。唯一違う点は、アプローチの仕方が物理的なものか、それとも魔法的なものかというだけだ。つまり、魔法の腕と鍵の知識が十分にあれば、ステラにも同じ事が出来ると言える。

 ただし、今のステラには知識の方が決定的に不足していた。実は、レオンにそれ関係の本を見せて貰った事があるのだけれど、とてもではないけれど理解出来そうにない内容だった。実際、彼も本で理解出来たのは基礎だけで、後はほとんど全て、ニコルが貸してくれた錠前を実際に開ける事で、実力をつけていったそうだ。

 それでも、ステラも開けられた方がいいのは事実だと言える。その方が安全だし、そもそも、ジーニアスでなければ開けられない鍵もある。拡散型のジーニアスであれば、高威力の魔法で扉ごと壊してしまうという手もあるけれど、収束型のステラにはそれも難しい。ただし、拡散型は細かい作業に向かないため、正攻法での解錠が難しい。だから、基本的には一長一短と言える。

 いずれにしても、これから先の事を考えれば、魔法による解錠を覚える必要はある。

 これから先があれば、だけれど。

 解錠作業中のレオンを後ろからランタンで照らしながら、ステラはぼんやりとそんな事を考えていた。

 やがて、一際大きな金属音が一度だけ響くと、レオンは解錠ツールを抜いて額を拭った。それほど暑い場所ではないけれど、湿度が高いから汗をかいたのだろう。集中力のいる作業だから尚更だ。

 立ち上がって振り向いた彼の左腕に、ステラはすぐさま触れた。彼は困ったような顔をしてこちらを見ていたけれど、ステラは軽く微笑んで、その視線を受け流す。

 そして、彼の体調を読みとるために目を閉じて集中した。治癒魔法を使うだけなのだけれど、やっぱりまだ少し手間がかかる。時間がかかるから尚更、目を閉じなければ集中出来ないという事情もあった。ずっと向かい合っても平静でいられるほど、ステラの心臓は強く出来ていない。

 実は、ここでステラが治癒魔法を使う事を、レオンはあまりよく思っていない。理由はとても単純で、ステラが疲労するからだ。一度ルーンを誤作動させて倒れそうになった経緯もあって、彼は魔法の負荷に関して神経質になっているきらいがあった。これくらいの体調管理ならほとんど負荷はないと、ステラは何度か言っているのだけれど、レオンはそれでも気を遣いたがる。

 そういうわけで、今ここで、何の予告もなく、ステラが強引に魔法を使っているのだ。モンスターが扉越しに潜んでいるかもしれないから、ここなら口論も抵抗も出来ない。

 自分にしては、思い切った行動。

 もしかしたら、デイジーの影響かもしれない。

 そんな考えが浮かんで、ステラは口元だけで微笑んだ。

 以前はあまり会う機会がなかったデイジーだけれど、今は護身術を教わっている関係で、よくお屋敷や訓練所を訪れている。彼女はお淑やかで上品なお嬢様で、もし今すぐ貴族の家に嫁いだとしても、礼儀も所作も申し分がないほどだ。そして、その聡明さに裏打ちされた自信としたたかさも、まさに貴族の血筋と言ってもいいような、完璧な御令嬢だと言える。正直に言って、自分はおろか、学校で一緒だったどの名家の女の子よりも、デイジーの方がよっぽど貴族らしい。間違いなく、どんな家に嫁いだとしても喜ばれるだろうし、その家はきっと栄えるに違いない。デイジーのような能力も気品もある女性こそが、一番貴族には必要とされるのだ。その下で働く人に誇りを与えられる事こそが、貴族たる本懐なのだから。

 以前ハワードが、息子にデイジーは勿体ないと言っていたけれど、今ならステラにもその言葉の意味が分かる。デイジーは一度もそんな事は言わないけれど、実際は、いろいろな家からお嫁に来て欲しいと、引く手数多なのではないだろうか。そしてきっと、その全てをデイジーは断っているのに違いない。リディアやベティと一緒にいたいというのもあるとは思うけれど、何より彼女は、この町の代表とも言える家の一人娘。この町の事を第一に考えてくれる人と一緒になりたいと、きっと思っているに違いない。

 自分の価値を傲る事もないけれど、決して安売りもしない。そして、自分がしたい事を素直に見つめて、周りにそれを納得させるだけの能力もある。

 ベティとはまた違った意味で、デイジーはとんでもなく凄い女の子だ。こういう言い方は失礼かもしれないけれど、敢えて言わせて貰うなら、この小さな町には場違いとも思えるくらいの、立派で高貴なレディなのは間違いない。

 その彼女の強さが自分に少しでもあれば、今この場で、彼に聞けるのかもしれない。

 実際、心の中では、何度も練習している。

 一人前の冒険者になった後も、今まで通り一緒にいてくれますか。

 でも。

 どうしてもステラには、それが我が侭だと思えてしまう。

 何故なら、それは彼にとって、とても重大な選択だからだ。一緒にいて欲しいと言ってしまったら、きっと優しい彼は、それを叶えようとしてくれるだろう。まるで彼を自分の元に繋いでしまうようで、それがどうしても嫌だった。

 彼の人生は彼のものだから。

 冒険者になれた後、彼が誰と一緒にいるのか。それを決めるのも彼自身であって欲しい。冒険者として旅に出るのか、それとも、この町を拠点にして活動するのか、それも自分で決めて欲しい。或いは、もしかしたら、冒険者にはならないで、例えば、ベティやリディアの店で働くかもしれない。

 そういったいろいろな可能性が、彼にはある。

 自分が我が侭を言って、その枷になってしまうのだけは、どうしても嫌だ。

 もしその隣にいるのが自分ではなくても。

 それでも、彼が幸せになれるなら。

 きっと、自分も幸せなはず。

 ただ、結局のところ、それも言い訳なのかもしれない。

 要するに自信がない。

 自分が彼の隣にいる資格があるのかどうか、その自信がない。

 彼が悩んでいるのを初めて見て、そして、何もしてあげられない自分を認識して、どうしても惨めさを感じてしまった。以前から、彼の支えになれていないという不安はあったけれど、今回の事で、その証拠を見せつけられたような気がした。彼は多くを自分に与えてくれたのに、自分はたった一度彼が悩んだ時でさえ、何もしてあげられない。

 それはパートナーじゃない。

 そんな人間がこれからも一緒にいて欲しいなんて、そんなおこがましい事は、口が裂けても言いたくない。せめてそれくらいは、彼の役に立ってあげたかった。もしかしたら、ベティやデイジーの方が彼の支えに相応しいのかもしれない。彼がそういう答えを出した時に、自分を気の毒に思うような、そんな枷にはなりたくない。

 いや。

 それもきっと言い訳だ。

 自分が欲しいのは、もっと直接的なもの。

 いつかした約束の続き。

 私の事が必要だって言ってくれますか。

 その答えを聞きたいだけ。

 もし彼が必要だと言ってくれたら。

 何の支えにもなれていないなんて勘違いだと、そう言ってくれたら。

 ずっとパートナーでいたいと言ってくれたら。

 それが、ステラにとっての、まさに夢。

 叶うだろうか。

 叶えばきっと、目も眩むような未来が待っている。

 だからこその夢。

 指先から伝わるレオンの体温を感じながら、ステラはそんな密やかな希望と、その何倍も大きい不安を噛みしめていた。

 もしかしたら、叶わない公算が高いのかもしれない。

 だからこんなに不安なのだろう。

 でも。

 それでも諦められないからこその、夢なんだ。

 一度命が潰えたくらいでは消えない。そんな思いが、次の世代に夢として伝わっていくのだから。

 しばらくして、ステラは目を開いて顔を上げ、レオンの顔を正面から捉えた。

 少し魔法の準備時間が長かったからだろう。こちらをやや心配そうに見つめていた。

 その視線をステラはいつもの笑顔で受け止める。

 今はただ出来るだけ精一杯、やれるだけの事をして、彼を支える。

 そして、もしその機会があるのならば、これから先、一人前の冒険者になれた後もすっと。

 少し表情を緩めたレオンは、しかしすぐに気を引き締めて頷いた。

 ステラも頷き返す。そして、持っていたランタンを壁の陰に置いて、自分もその場で体勢を低くした。しかし、ランタンの持ち手から手を離したりはしない。視野を確保するため、自分の光源を移動するのも、ステラの自身の役目だ。

 そうして、彼は扉に手をかける。

 この瞬間はいつも緊張する。

 それでも、決して負けはしない。

 必ず生きて帰ってみせる。

 少なくとも、彼が答えを聞かせてくれるその日までは、必ず。



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