回顧のティータイム
「はあ。疲れたあ・・・」
そう呟いてダイニングテーブルに突っ伏しそうになったところで、キッチンから家主の声が飛んでくる。
「そこで寝ないでね。寝るならベッドを用意するから、ちゃんと着替えてから寝て」
相変わらずよく見えている。だけど、その言い方に少し不満を感じた。
「いくら疲れてても、こんな所では寝ません。ちょっと休もうとしただけ」
「嘘。この前来た時はそこで寝てたもの」
思い出そうとしてみたが、そんな記憶はなかった。
「・・・そんな事あった?」
「私が1人でベッドまで運んだんだから。あんまり大変だったから、途中でセラが手伝ってくれたけど」
思わずケイトは吹き出してしまった。セラというのはここに住み着いているカーバンクルの事で、もちろんそんな助力が出来るはずもない。ただ、あの小さな身体のカーバンクルが一生懸命手伝っている場面を想像してしまって、つい可笑しくて笑ってしまったのだ。
「嘘」
「そう。嘘」
微笑みながらその言葉と一緒にダイニングに入ってきたのは、栗色のロングヘアの優しそうな女性。ここの家主で、自分の親友と言ってもいい、幼なじみのフィオナである。白い陶器のお盆に白いティーカップを2つ載せている。彼女は盲目なのだが、本人の魔法の才能もあって、今では普通に一人暮らしが出来るようになっている。
ティーカップをテーブルに置きながら、フィオナは尋ねる。
「最近忙しいの?」
紅茶の香りを確かめてから、ケイトは答える。柑橘系の香りがした。この地方では珍しいものだ。
「だんだん見習いの人が増えてきたから、それなりに。でも、ガレットさんがいるから、他の町よりは楽だと思う」
本来、見習い冒険者を選別するのはギルドの役割だが、そこを元冒険者で酒場主人のガレットに協力して貰っている。正直なところ、かなり助かっていると言っても過言ではない。
向かいの席に座ってから、フィオナは口を開く。
「まだジーニアスの人は少ない?私のところにあんまり人が来ないけど」
「元々多くないから・・・どうして?」
こういう質問をするフィオナは初めてだったので意外だった。
フィオナは少し首を傾ける。子供の頃からこの仕草をよくする彼女だが、今も昔も変わらず、どこか無邪気で、それなのにどこか大人びていて魅力的だ。昔は羨ましくて真似をした事もあったけれど、今はすっかり諦めてしまった。22歳にもなってこんな仕草をするのは、自分には恥ずかしくて出来ない。
「ジーニアスには女の人が多いでしょう?ステラの仲間になってくれたらって思うの」
ステラというのは、最近来た冒険者見習いの名前だった。この地方ではほとんど見かける事のない金髪碧眼の少女でジーニアス。サイレントコールドの伝承者をしているフィオナにとって、ステラは指導対象という事になるが、それ以上に親しい間柄になっている様だ。
「へえ・・・でも、ジーニアスが2人っていうのは、ちょっとレオン君が大変かもしれない」
「守らないといけないから?」
「それもあるけど、周りが女の子ばかりだと、いろいろ大変だと思う」
「でも、周りが男の子ばかりだったら、ステラが困るの」
「・・・本当よね。これからどうするのかしら」
ある意味八方塞がりだ。男女ペアの見習い組を探すしかないのだろうか。なんだかデートみたいだとケイトは思った。
紅茶に口を付けてから、フィオナは言った。
「ステラの事なんだけど・・・」
一度瞬いてから、ケイトは答える。
「どうかした?」
しばらく思案してから、不意にフィオナは言った。
「私・・・ステラに似た感じの人と会った事があるような気がする」
それは確かに意表を突く発言だったが、自分でも意外なくらい、ケイトは驚かなかった。
頭の中を整理してから、ケイトは頷いた。
「そう・・・実は私も」
フィオナも頷く。
「やっぱり・・・」
「どこかで会ったような気がするんだけど、でも思い出せなくて」
「その時、私とケイトが一緒に会った気がするんだけど」
言われてみると、確かにそんな気がしてくる。
「そうそう!確か、アレンさんが近くにいなかった?」
アレンはケイトより2つ年上。小さい頃は少し面倒を見て貰った記憶がある。昔から背が高くて物静かな男の子だった。
「分からないけど・・・たぶん、凄く小さい頃の話だと思うの。まだ私は周りの事がよく見えてなかったから、アレンさんが近くにいても気付かなかったと思う。だけど、ケイトが手を握ってくれてたんじゃなかった?」
「私が?うーん・・・フィオナの手はよく握ってたから、そうだったかも」
小さい頃のフィオナは、盲目なのに勝手に歩き回ってはよく転んでいた。だから、ひとつ年上の自分がよく手を握っていたのだ。
「ケイトと一緒にいる時、優しい女の人に声をかけて貰った気がする。それ以外はあんまり覚えてないけど・・・」
「私は全然覚えてない。でも、近くにアレンさんがいたのだけは、なんとなく覚えてる」
そこでフィオナはきょとんとしてから言った。
「・・・ケイトって、アレンさんの事が好きなの?」
脈絡もなくこういう事を言い出すのがフィオナの特徴のひとつだけれど、本当に突拍子もない時には、幼なじみのケイトもついていけない事がある。
そして、今がまさについていけない時だった。
「お願いだから、人前ではそういう事言わないでね。誤解されるから」
額に手を当ててから呆れて言ったケイトだったが、フィオナは平然としていた。紅茶を飲んでから、当たり前のように答える。
「もちろん言わないけど・・・でも、気になってるんじゃない?」
「アレンさんだけ覚えてたから?」
「そう」
安易なこじつけにも程がある。
「あのね・・・たまたま覚えてただけだから。アレンさんって子供の頃からあんまり喋らなかったけど、剣を習ってたから体格がよかったし、とにかく背が高かったから、存在感だけはあったもの。今だから言うけど、いつも見下されてるみたいで、逆にちょっと怖かったかも」
「そう?私は全然怖くなかったけど」
目が見えないのだから当たり前だと思ったが、フィオナの場合は、それとは別の要因もある。
微笑みながらケイトは言った。
「昔からフィオナは怖いもの知らずだったから。アレンさんどころか、ハワード先生やガレットさんも全然怖がらなかったし」
「先生とガレットさんって怖いの?見た目がって事?」
真顔で聞いてくるので、ケイトは少し吹き出す。
「見た目もそうだけど、ハワード先生もガレットさんも、怒ると物凄い大声で怒鳴るから、みんな泣いてたんだから。私はもちろん、アレンさんやベティだって泣いてたもの。だけど、フィオナだけは、怒鳴られても、ごめんなさいって普通に謝ってた。あの時は、ちょっと感心したんだから。いつも危なっかしい手の掛かる子なのに、芯はしっかりしてるんだって。でも、フィオナがそうやって謝ってる隣で、私は大泣きしてるんだけどね」
「そうなの?」
ケイトは微笑む。見えないけれど見えている。親友はそういう人間だから、ちゃんと意味がある。
「当たり前でしょ。ずっと一緒だったから、怒られてる時も隣にいたもの。私が全然関係ない時でも、私だけ泣いてたんだから」
それくらい迫力のある怒鳴り声なのだ。
不意にフィオナは何度か頷く。
「あ、そうだったの?・・・私、なんでケイトが泣いてるんだろうって思ってた」
不条理な話だが、子供の頃の話だから仕方ない。今は良い思い出になっているのだから、不条理もきっと悪くない。
笑いを堪えながら、ケイトは答える。
「そうよね・・・怒ってる先生も、ちょっと困ってたと思う」
怒りが関係ない方に飛び火してしまっているわけだから、不本意だっただろう。あの時は涙で表情がよく見えなかったけれど、声はやはり困惑していた気がする。
小さく息を吐いてから、フィオナは言った。
「本当に、知らないうちにいろんな人に迷惑かけてるのね」
すぐにケイトは答えた。
「でも、知らないうちにいろんな人を助けてあげてると思う」
フィオナは寂しそうに微笑んだ。
子供の頃から時折見せる表情。皆から芯の強い女性だと言われているフィオナでも、いつも優しく微笑んでいられるわけではない。たまにこういう表情になる事もある。自分の前ではなんとか笑ってみせるものの、1人の時には、きっと泣いている事もあるはずだ。あまりこういう言い方はしたくないけれど、彼女の今までの人生は、決していつも笑っていられるようなものではなかった。特に、幼い頃に両親を失った事は、まだ完全に昇華出来ていないに違いない。
それでも彼女は、人前では決して泣かない。
それでも彼女は、誰も恨んだりしなかった。
本当は辛いはずなのに、彼女は頑張った。目が見えなくても、両親がいなくても、何も諦めなかった。もちろん、全て上手くいったわけではない。ルーンの力を借りて、なんとか視覚を補助出来るようになったものの、半径100メートル前後までが限界だった。夕日を見てみたい、山を見てみたいという夢は結局叶わなかった。ただ、半ば叶わないと分かっていたけれど、彼女が最初から諦めるような事はなかった。
もっと楽に生きてもいい。そう思う事が何度かあった。もっと周りに依存して生きても許されるような境遇だと思う。だけど、フィオナは想像以上に強くて、そして優しかった。幼いながらも、そんな生き方をしたら皆に迷惑がかかると分かっていたに違いない。逆に言えば、フィオナの周囲にいる私達が、彼女をせき立てるように頑張らせてしまったのかもしれないと思う事もある。そしてフィオナも、自分が頑張ったせいで皆に気を遣わせていたと思う事があるのだ。
これでよかったのだろうかと振り返る。
静かな部屋。誰も何も喋らない場所。
暖かな春の空気が少し下に沈んでいる気がする。
こういう時、決まってケイトが言う台詞があった。
「ねえ、フィオナ」
「・・・うん」
少しはにかんでこちらを見るフィオナ。もう何度も言っているから、何を言われるのか分かっているはずだ。
「大好きだからね」
「私も」
自分も含めて、この町の人はみんなフィオナが大好きだ。みんな、彼女に幸せになって欲しいと思っている。
当たり前の事だけど、やっぱり言葉にして確かめ合うと嬉しいものだと、ケイトは微笑んだ。
フィオナも笑みを返す。もういつもの優しい表情だった。
部屋がまた暖かさを取り戻す。
紅茶を一口飲んでから、ケイトは言った。
「・・・そろそろ結婚したら?」
少し吹き出してフィオナは答える。
「急にどうしたの?」
「だって、もう21でしょ?」
「ケイトの方がひとつ年上なのに」
「・・・そうね。そういえば」
苦笑するフィオナだった。
「他人事みたいに言って・・・」
「でも、私が先に結婚するなんて考えた事もなかった。どう考えても、フィオナの方が先じゃない?」
「どうして?」
「そっちこそ他人事みたいな顔してるけど、フィオナは美人だし、優しいし、手に職もあるし、家事も出来るし、花が大好きって・・・なんていうか、完璧じゃない。近所の人から、嫁に来て欲しいとか言われない?」
フィオナは首を傾ける。
「言われないけど・・・」
意外は意外だったが、それならそれでケイトは納得出来た。
「そう・・・きっと、みんな遠慮してるんだと思う。もっと良い人と結婚して欲しいって事じゃない?フィオナこそ、アレンさんとかどうなの?」
「どうって?」
きょとんとして聞き返してくるので、ケイトは少し呆れた。
「今の話の流れでだいたい分かるでしょ?結婚相手としてって事。いいじゃない、アレンさん。背が高くて格好良いし、ちゃんとした仕事もあるし、何より強くて頼りになるし。口下手なのが玉に傷だけど」
それを欠点とみるかどうかは評価が分かれるところかもしれない。ケイトとしては、お喋り過ぎるよりは幾分いいと思っているが、もう少し愛想があったらいいのにと常々思っている。
脈があるようなら何か御膳立てしてもいいと思っていたケイトだったが、親友の表情はびっくりするくらい変化がなかった。
「いいじゃないって言われても、アレンさんは、私にあんまり興味ないんじゃない?」
「そんな事ないでしょ。フィオナに興味がない男の人なんて、多分この町にはいないと思う」
多少大袈裟かもしれないけれど、事実をねじ曲げているわけではない。
「とりあえず、私の事を愛してるって言ってくれる人がいいけど。あ、そういえば、2年前くらいにブレットが・・・」
「ダメ。却下」
即座に切り捨てる。あの男は先生の息子とはいえ、誰にでも平気な顔で愛してると言える人間なのだ。かく言うケイトも言われた事がある。もちろん、結婚したら真面目になるという可能性もない事はないが、出来れば、この親友にはもっと安全な人を選んで欲しい。
そしてもうひとつ、ケイトには、フィオナの相手に望む事があった。
「フィオナには年上の人がいいと思うんだけど・・・」
10も20も上だと困るけれど、出来れば5歳くらい上の人がいいと思っていた。理由は簡単で、この親友には少しぬけたところがあるからだ。出来ればしっかりした人がいい。アレンは3歳上だから、自分としては理想的な相手だ。
「年上・・・ホレスさんとかガイさんとか?」
思わず黙るケイト。他にはろくな奴がいない。
「そういえば、ケイトって、前にガイさんが好きだって言ってた事なかった?」
予想外の不意打ちに咳き込むケイト。何の事を言ってるのかは分かったが、完全に誤って認識している。
「・・・全然違う。それ、本当に人前では言わないでね。変な噂がたつから」
「言わないけど・・・違った?」
「違うっていうより、逆でしょ?」
「逆?」
あまり真面目に思い出したくなかったけれど、ケイトは記憶を辿る。右手が無意識に髪を触っていた。
「確か、5,6年前のお祭りの時だったと思う。ガイさんはこの町が初めてだったから、たまたま近くにいた私が案内したんだけど、その後にちょっといろいろあって・・・」
「いろいろって?」
何故か顔が熱くなる。あの頃の自分は、今のベティやリディア達の年齢だった。ガイは自分より2歳年上で、既に行商人として自立していた。つまり、彼の方が少し大人で、子供だった自分が少しからかわれただけという話なのだが、そういう記憶を大人になってから思い返すと、堪らなく恥ずかしく思える。
「大丈夫?」
いつの間にか、フィオナが心配そうな表情をしている。こちらが急に黙りこくったので、不安になったのだろう。
一度気を落ち着けてから、ケイトは話を再開する。
「大した事じゃないんだけど、お祭りの時っていろんな場所から人が来るでしょ?多分その中に乗ってきた人がいたんだと思うけど、ガイさんを案内している時、偶然白い馬車を見つけて、それで・・・」
その先は言葉が続かなかった。
恥ずかしかったのではない。
思い出した。
白い馬車が記憶の鍵だったのだろう。一度思い出すと、曇ったガラス瓶を拭いた後みたいに、あっという間に鮮明な記憶になった。
モノトーンのお洒落な服を着ていた。服もさることながら、着ている女性の容姿に目を奪われたのをよく覚えている。
スマートなスタイルをした大人の女性。優しげだが、それでいて自信に満ち溢れた表情。
その髪は金色の流れるようなストレートロング。瞳は高級なサファイアのような碧色。
ふと我に返ると、フィオナも驚いた表情だった。どうやら、彼女も一緒に思い出したらしい。
それも当然といえば当然だった。何故なら、その時隣にいた自分がこう説明したのだから。
白い馬車に乗ったお姫様。
思い出してみると、今まで忘れていたのが不思議なくらいだった。
「・・・何年前だった?」
ケイトの質問に、やや間があってから、フィオナはゆっくりとした口調で答える。
「えっと・・・確か、私が4歳か5歳だったと思う」
「そうそう。それくらいの時だった。じゃあ・・・16,7年前?」
「次の年からは来なかった。確か、赤ちゃんが出来たからって・・・」
仮にその子供がステラだったとしたら、年齢的には一致しそうだった。
思わず黙るケイトだったが、フィオナが不意に思い付いたように言った。
「あ、でも、ステラにはお兄さんとお姉さんがいるって」
それは初めて聞いたケイトだったが、それなら話が変わってくる。
「私達が会った時、あの人はだいたい17,8歳くらいだったはずだから、2人も子供がいるっていうのは、ちょっとおかしい」
少し安心したところで、フィオナがまた思い付いたように言う。
「でも、貴族の結婚は早いんだって。それに、前の奥さんの子供かもしれないし」
安心したらいいのか、不安になったらいいのか、ケイトは混乱してきた。
「・・・結局、あの人がステラのお母さん?」
「分からないけど・・・でも、ステラと赤の他人っていう事はないんじゃない?」
確かにフィオナの言う通りだった。記憶の中の女性と、今のステラを比べると、本当によく似ている。髪を長くして少し化粧をしただけで、ほぼ同じ顔になるのは間違いない。
「親戚とかかもしれない」
「そう。でも・・・」
2人は難しい顔をして考え込む。
結局何が問題なのかといえば、今年のお祭りにその女性が来た場合、ステラを発見される心配があるという事だった。仮に親ではなく親戚だったとしても、身内なら親類の子だと気付くに違いない。そうなれば、ステラの実家にまで知れ渡るのは確実だ。
その後どうなるのか、あまり考えたくはない。
「・・・私、ちょっとステラに聞いてくる」
イスから立ち上がりながら、フィオナは言った。
自分も腰を上げながら、ケイトは聞く。
「ハワード先生とかフレデリックさんに聞いてみた方がいいんじゃない?名のある家の人だと思うし、何か知ってるかもしれない」
「うん。分かった」
「私も手伝うから、手分けして・・・」
フィオナはそこで微笑む。
「仕事はいいの?」
完全に忘れていた。そろそろギルドに戻らないといけない。
「あ・・・ごめん」
「大丈夫。とりあえず聞いてみるだけだから」
そこでケイトはふと思った。
「ねえ・・・もしかして、フィオナがステラの事を気にかけてるのって、あの人に感謝してるから?」
この質問には、フィオナも意表を突かれた様子だった。
「どうして?」
「だって、フィオナがデザイナーになりたいって思ったのは、あの人の言葉があったからじゃないの?」
ふっと微笑むフィオナ。
「私の事、何でも知ってる」
ケイトも微笑んだ。
「何年一緒にいると思ってるの」
「でも、私、ついさっきまでその言葉を忘れてたから」
「言葉は覚えてたんじゃない?いつ誰に言われたのかは忘れてても」
「・・・本当に、私よりもよく知ってる」
嬉しそうな表情の親友を見て、ケイトも嬉しくなる。
そこでフィオナは、不意に悪戯っぽい表情になった。
「だけど、ステラの事を応援してるのは、ステラが頑張ってるから。そういう人を見ると、どうしても応援したくなるの」
つい、ケイトは吹き出してしまった。
首を傾げるフィオナ。不思議そうな表情に変わっている。
「どうしたの?」
「・・・ううん」
首を振るケイト。しかし、次の言葉だけは言っておこうと思った。彼女が泣きそうな時、もしかしたら勇気づけてくれるかもしれないのだから。
「私もね、頑張ってる人を見たら応援したくなる。不思議だけど、そういう人を応援してると、私も元気になるもの。頑張ってる本人は、自分が誰かを元気にしてるなんて、多分気付いてないと思うけど・・・それでも、私はずっと応援してるからね。フィオナ」