ここは任せろ、いけっ!
暇ねん「サブタイを変えました。それと最後にアンケートがあります」
「あ・・・・・・あなたは・・・・・・」
「ロウ・ザ・セイクリッド・・・・・・・この国の国王にして、この城の主だ」
扉から入って来たのは、いかにも王族です、と言える格好をし、四十後半と思える年齢だが、凛としていて隙がない。それどころか、普通の人とは違う雰囲気を感じ取れる。
この人が・・・・・セレナの父親・・・・・・
「始めまして、と言えるな。高坂八雲君」
「どうも・・・・・」
スッ、と差し出される手をまじまじと見る。
何故かだって?簡単さ。
「どうかしたのかい?八雲君」
「いやぁ、一国の王ともなれば娘を攫われてもそんなに冷静に挨拶ができるんだなぁ、と思ってね」
手を制服で一回拭いてから国王の手を握り返す。
それは良かったんだが次の瞬間、オレの頭部からはかつてない程の痛みが体を貫く。
「いっ・・・・・・てぇーーーーーーーーっ!!?何しやがるバカ親父!?」
「おまっ!国王になんて口の聞き方してるんだ!?バカ息子が!」
親父のヤロウ・・・・・マジで殴りやがった。レーベルの牙突なんて目じゃねぇ程の威力だったぞ!
後頭部を押さえながら犬同士のにらみ合いのようにグルルル、と威嚇を出しながら睨み合っていると、国王が親父を止めた。
「いいさ修二、八雲君の言うとおりですよ。娘が攫われたって言うのに冷静に挨拶している私の方が可笑しいのですから・・・・・」
「国王様!そんな分けないでしょ、昨日からセレナ姫の事で一睡もしていないのでしょ?」
本当だ、目の下に隈ができてる
親父の慌てたように国王に近づいて体を気遣っている。
だが、なぜかオレが見た限りでは何かが違う。そんな気がしてならない。
「まぁいいや。王様の許しが出たんだからオレたちは城内を探してくるわ、オレの予想が正しければまだこの城のどこかにいる筈だからな」
「よし、ならここは二手に分かれよう。私はサバナと行く。八雲、貴様はカイウスとレッグを連れて探せ」
レーベルがメンバーを分けると立ち上がる。
それに同調するように残りの連中も立ち上がる。
「おう、それじゃぁレーベルたちは二階を、オレたちは一階を探す。王様、分かってると思うけどこの城から誰も出さないように」
「あぁ、わかっている。気をつけるんだぞ、もし八雲君の予想が合っていれば敵は城の者だからの」
その注意に頷き、急いで客間を後にする。
廊下に出るとオレたちは二手に分かれて探し始めた。
「ここは・・・・・どうやら召使いの部屋らしいね」
無用心にも程がある。鍵くらいかけろよな。まっ、今はありがたい
声に出さずに部屋を隈なく調べては次の部屋に向かう。
そして調べる。これが何十回も続いた。外は既に真っ暗になり、外部からの音は何一つ聞こえない。
「いつの間にか十一時になっているね。どうする、ここらへんで一回客間に戻って休む?」
「たしかにこう部屋の数が多くちゃ、疲れるぜ。俺たちは部活やって疲れも残ってるし」
「・・・・・・・そうだな」
セレナの事も心配だがこいつらの方が今は大事だ。
大体、セレナを攫ったのがこの城の者なら何をしたいのか検討がつかん
口元に左手をあて、考えながら客間に戻るとレーベルたちが戻っていた。
話を聞けばオレたちと同じ考えだったようだ。
こうしてオレたちは客間で夜を越す事となった。
「学校だっけ、今日?」
「当たり前だろ!どうするよヤクモ」
「聞くだけ無駄でしょ」
「よく分かってるカイウス。サボる」
朝、召使いが運んできてくれた朝食を手にしながら今日の事を話し合うオレたち。
レーベルとサバナはオレたちより早めに朝食を取り、調べに行っている。
三十分後にオレたちも客間を跡にする。
城には朝の八時だって言うのに観光客や色々な関係者が入出している。
流石にセレナ姫が攫われた。とは国民に言えない為、怪しまれないようにいつも通り城を開放にしている。だがその分、厳重に警備兵ならぬ護衛隊が目を光らせている。
「あっ、どうだった?」
城の入り口に視線を向けていると階段から降りてくるレーベルたち。
カイウスは二人に調査の結果を聞いてみたが黙って首を横に振る。
「って、ことは残るは一階、か」
レーベルたちを加えてオレを先頭に残りの一階部分を探し始めた。
だが、無駄に時間が過ぎていくだけ。しだいに苛立ちがオレを侵蝕していく。
「オレの考えが間違っていたのか?いや、そんな筈は・・・・・」
一人呟く。すると前方からレグの声が聞こえてくる。
しまった、考え事してたら立ち止まってた
声のほうに足を進めると、そこには一階にある最後の扉。
つまり、ここに手がかりもセレナもいなければ・・・・ゲームオーバーと言う訳である。
「ここは?」
「分からん、しかし開けて見るしかないだろ」
そうだな、と呟きオレはノブに手を掛け、回してみる。しかし、予想外の結果が感触で返ってくる。
「鍵が・・・掛かってる・・・・・・」
「「「「はっ?」」」」」
何度回してもガチャガチャ、となるだけで開かない。
オレたちは互いに顔を見合わせると一旦、広場に戻り警護のため立っている護衛隊の人に扉のことを聞くと、腰に吊るしてある鍵を渡してくれた。
渡された鍵を使うと当然だが鍵が開く音が聞こえた。
「開いた」
またもここでオレは仲間達に顔を向ける。
鍵が掛かってたって事は何かあるってことだ。それくらいはすぐに理解できる。
だからと言うわけではないが、オレたちの手には木刀が握られている。
「いくぞ?」
「おう」
「いつでも」
「気をつけろよ」
「慎重にね」
上からレグ、カイウス、レーベル、サバナの順で返事が返ってきた。
小さく頷き扉を開ける。扉は古いものだったのか軋む音が聞こえる。
「これは─────」
言葉を失った。
そこにあるのは地下へと続くコンクリートの階段。しかも明かりがなく、下に行くほど暗い。
心の中で舌打ちするとオレはズボンのポケットから携帯を取り出し、カメラの光で足元を照らす。
「なるほど、なら俺たちも」
五個の携帯の光で少しはまともになり、オレたちは階段を下っていく。
結構歩いたはずだ、それなのにまだ階段は続いている。
真っ暗で狭い空間がオレのオレたちの気持ちを不安にさせる。
次の瞬間だった。かなり上の方で音が聞こえる、いや聞こえた。
バッと振り返るが見えるのは真っ暗な視界。
「扉が閉まった・・・・・?」
「ハメられた?」
「立ち止まっても仕方ない、行くぞ」
こうして歩く事五分。ついに広い部屋にでた。
広い部屋にはランプの変わりに何百のロウソクに火が灯っている。
「なんだ・・・・ここ?」
さっき言ったとおり部屋は広く、テニスコート三個分の広さはあるだろう。いや、それ以上かもしれない。奥にはまたも扉が。
なにもねぇ・・・・・仕方ない。先にすす・・・・・・
扉に近づこうとした時、後ろから足音が聞こえてくる。
振り返ると何十と言う数の人間。全て仮面を被って顔を隠している。
どーやら、セレナを攫った奴の仲間のようだな、と考えながらオレたちは木刀を構える。
「あん!?」
「可笑しいと思わないか、八雲?」
「可笑しいなぁ・・・・・・なんだそれ?」
レーベルだけでなく皆思っているだろう。
相手が手にしているのは真剣ではなく、木刀。オレが今、握っている物と同じものである。
「テロリストなのか誘拐犯なのかしらないが・・・・・・舐められたものだ。八雲、ここは私とサバナで足止めする。先に行ってろ」
「はぁ?お前こそ何言ってるんだよ!いくらお前だからってこの数は無理だろ、それにサバナ先輩は初心者だし・・・・・・」
「あれ?言わなかったっけ?ボクはこれでも十八歳未満の世界大会で五位だけど?」
「・・・・・・・・」
なに?この展開?レーベルは世界最強でサバナは五位?可笑しくね!?
「ほら、呆れてないで先に行った行った」
「うわっ」
サバナはカイウス、レグと一緒にオレの背中を押す。
「ここは・・・・・」
「私たちに任せろ。それとも、私がいないと恐ろしくて先に進めない、か?」
「・・・・・・ハッ!誰が?行くぞ、カイウス、レグ」
「いいの?」
「あいつらが行けって言うんだ、行くさ」
「おっし、後からちゃんと追って来いよ!」
「貴様に言われることではないが・・・・・すぐに追いつくさ」
「いくぞっ!!」
扉を開け、オレとレグ、カイウスは先に進む。
「さーて・・・・・久しぶりに楽しませてもらうよ“剣聖”?」
木刀を構え、さぞ楽しそうにサバナはレーベルに聞いてみる。
「ふっ、好きにしろ“剣帝”」
レーベルはサバナに向かないで言うが、その表情からは安心感を感じる。
「「うぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!!!」」
二人の咆哮が背中から聞こえ、一瞬足をとめてしまうが振り向くことなくオレは階段を駆け下りた。
今回の・・・・・アンケート
暇ねん
「いきなりですが読者の皆様にアンケートがございます。大した事ではないので気軽に答えてくださるとありがたいです。
まず、この『オレが姫の婿候補!?』がそろそろ終わりを迎えます。
そのため次回作を考えているのですが次は・・・・次も『学園』物でやろうと思っています。
そこで、普通の学園恋愛もの(戦闘なし)とファンタジー学園もの(戦闘あり)、どちらが読みたいでしょうか?
結局は両方書くのですが、もう一方の作品『ブリーチ』を書き終えてないため、先に片方を書こうと思っています。ですので、どちらが先に読みたいか教えてください。
皆様のご返答、お待ちしています。
以上、今回の・・・・・・アンケートでした」
次回『誰だよ・・・・・あんた』です。