夏休みが始まった。さてどうする?
「ん~・・・・・・あっちーーー!!」
夏休み初日の朝、オレは室内の温度に耐え切れず目が覚めてしまった。
「・・・・・・」
オレはまだ重い瞼を頑張って開け、部屋内に視線をうろうろさせてから、枕もとの時計に視線を向けた。
六時・・・・・・しゃーない、起きるとしますか。
オレはベッドから静かに起き上がると、音を立てないように廊下を歩き、一階に向かった。
「さて・・・と」
雨戸を開け、日の光を部屋に入れると、オレはテレビを点け、キッチンに向かった。
「今日は暑いのか、やだなぁー」
手馴れた手つきで野菜を切っていると、天気予報が聞こえてきた。
オレは暑いのは嫌いだ。だが、夏は好きだぞ。夏休みに、祭り、海などイベントがあるからな。
・・・・・・言っておくが彼女と行かないぞ。いないからな。友達とだ!親友とだ!!
「三十五度って真夏じゃん!?夏休みの初日からコレかよ!?」
今日の天気予報に気をとられ、手を止めていたオレだが、ため息を大きく付き手を動かし始めた。
「おはよう、八雲」
「んっ?セレナ姫、おはようございます」
降りてきたセレナはオレの背中を見て、ニッコリと挨拶をしてきたので、当たり前の様に挨拶を返したオレだったが・・・・・・
「ムッ」
「ん?」
なぜかセレナは不満げな表情をし、子供のように頬を膨らませた。
「八雲ッ!!」
「は、はいッ!?」
セレナに力のこもった声で呼ばれ、オレはビックリしてすぐにセレナに向いた。
もちろん、包丁は、置いてるぞ・・・・・・・
「昨日の約束を忘れたの?姫は要らないわ。敬語も!」
「・・・・・・あっ!」
無意識とは言え『姫』とつけてしまった事にセレナは不満に思っているようだ。
だけどしょうがないでしょ?昨日の今日でそう簡単にいえますかって!
昨日は『セレナ』とセレナには言わなかった。独り言の時に一回言っただけだ。
「八雲!」
「えーっと・・・・・・」
セレナは『言ってくれないと怒りますよ』って顔をしている。
「おはよう・・・・・・セ・・レナ・・・・・・」
「おはよう、八雲」
セレナは機嫌を直し、またニッコリ笑って挨拶を返してきた。
頑張ったオレ!頑張ったよ!!
何せ、オレはクラスの女子を呼ぶとき、いつも『~さん』って付けるのに、初めて呼び捨てにしたのが姫様だぞ!?良いのかオレ?・・・・・・あっ、でも例外もいるな・・・・・・
ナドと考えているオレにセレナは近づいてくるとオレの手元を覗き込んだ。
「八雲・・・料理できるの?」
「ん?まー休日は母さんが起きてくるのが遅いから自分で作るけど・・・・・・なんで?」
「いえ、なんでもない・・・です」
そう言って顔を手元から離した。
これはもしかして・・・・・・
「今度、何か教えてあげようか?」
「えっ?」
「料理だよ料理。そう言っても、一般的な物しか出来ないけど」
「ほんと?」
「あぁ」
笑って言うとセレナは『ありがとー』と言いながら横からオレに抱きついてきた。
ちょ、ちょっとーーッ!!
七時になると珍しく母さんが起きてきた。
「珍しい!どうした?」
「セレナちゃんがいるのに見っとも無いとこ見せれないでしょ?」
「・・・・・・」
見栄を張るな見栄を!あんたって人はっ!!
と、意味の無い言葉を心の中で叫ぶオレだった。
「「「ごちそうさまでした!!!」」」
朝食を食べ終えるとオレは、皿洗いをしていた。隣にはお手伝いとしてセレナがいる。
「で、セレナはここにいる間何すんの?学校も休みだし・・・・・・ここに来る前のホームステイでは何を?」
「んー他の所では高坂家みたいな事はやらなかったわ」
「えっ・・・・・・」
もしかして、手伝わしちゃいけなかった!?
「私が手伝います──って言うと『姫様は大事な客なのでそう言う事はやらないで良いですよ』って言われたのだけど・・・・・・」
「だけど?」
「高坂家では私を家族同然に扱ってくれるから嬉しいわ」
「そりゃよかった。」
ホッとしてオレはつい口元を緩めて微笑んでしまった。
「まっ、家にいる間は好きな事言っても良いぞ。一応、候補だしな。ただし、オレが叶えられる範囲なら」
「ありがと。八雲」
「んで、今日は何したい?って聞いても決まってないか」
「・・・・・・・あ。この町を案内して欲しいわ」
「始めはそんなもんか。オーケー、それじゃ、さっさと洗い物終わらせますか」
洗い物を終わらせるとオレはセレナを連れて、外へ出た。
今回の反省
暇ねん「なにあれ?」
八雲「なにが?」
暇ねん「なにが『あんたって人は』だよ!どんだけガン●ムネタだよ!?」
八雲「いいじゃん。・・・・・・つか、それ、オレの言葉だよ!!」
暇ねん「うっ・・・・・・しょうがないじゃん!ネタが無いんだから」
八雲「色々あるだろ!今日学校でも一個思いついただろ!」
暇ねん「あぁ、探偵学園●のネタね」
八雲「隠す意味ねー」
暇ねん「いつか使うよ。それより、なぜお前が料理できる?」
八雲「お前がそうさせたんだろー!あんたって人はー!!」
ぶすりと腹を刺す演技をする八雲だった。
次回『ちょっと、これはマズい展開です』だ