決着だ!!!レーベル 刻んでやるぜオレの道を
八雲「題名は分かる人には分かる、マンガ“エ●ギア”のアギトVSアキラの台詞を使ったぞ。それと、今回は少し・・・いや、かなり、ぶっ飛んでます」
レーベルは構えを変えずに下に向けてた刃先を目線の高さまであげる。
オレの思い過ごしだと良いんだが・・・・・・
オレの脳内では“あの構え”を見て連想できるものが一つある。
考えていると、今度はレーベルの方から攻め始めた。まだ、どちらも射程内に入らない場所のはずだがレーベルは動いた。
木刀を持つ右腕を目一杯伸ばし、射程を延ばしてきた。
コレを間一髪で避けるが、その攻撃スタイルは“片手一本突き”もっと言えば────
「牙突・・・かよ」
どこの漫画ですか!と、叫びたくなるぐらいの驚きを押し殺した。
「しかも・・・・・射程が長い。リーチの差で負けてるな」
「続けていくぞ」
言うより先にレーベルは動き始めた。一旦距離を取り、再び“牙突”を繰り出してくるがオレだって馬鹿じゃない。
「同じ技でオレを仕留められると思うなよ」
速度はあっても、直線なら避けるのは簡単だ!!
サイドステップで避け、反撃しようとしたが、その前に横腹に痛みが走った。
「がぁ!?」
何が起こった!? 一旦距離を・・・・・しまった!
距離を取ろうと後ろに下がったは良いが、レーベルは構えを完成させていた。
「これで・・・・・終わりだ」
神速の突きを真正面から受けたオレは、意識を無視して体が崩れた。当然、防御も間に合わず木刀の刃先が胸を打ち抜いたんだ。息がうまくできない。
「はっ・・・・はっ・・・・・・」
「おわりか?」
いつもの表情だな・・・・・オイ!
「だ・・・れがっ!」
木刀を杖にして何とか立ち上がるが、足が震えている。
「レーベルの奴があそこまで本気出すとはな」
「予想外だったよね」
試合を見ているカイウスとレグが思わず息を呑む。
息を呑んだのは二人だけではなく、観客全員もそうである。めったに見れないレーベルの本気。その上、初めて目にするレーベルの構え。お金を払ってでも見たい試合である。
「それにしても八雲の奴、レーベルに何されたか分からないだろうな」
「だな。おそらく八雲の奴はサイドステップのところから分からなくたったな」
ジンとウェルは冷静に今の試合を分析している。
「ウェルはちゃんと分かっているのか?」
「当たり前だろ!って、言いたいとこだが、やられる側だったら分からないだろうな」
「あぁ。八雲はレーベルの牙突をサイドステップで避けた。だが、レーベルにとってはそれも計算内だった」
「ああ、どんな人間でも自分の行動には少しでも意識が向いてしまう。その瞬間を狙って、レーベルは体を回転させ、遠心力で力が乗った木刀を横っ腹にヒット!」
「そして、パニックになった八雲は冷静になるため距離を取ろうとしたが・・・・・牙突の餌食となった。
ふっ、さすが世界最強と謳われるものだ」
「だな」
ジンは腕組しながら冷静にだが、世界のレベルに冷や汗を掻いている。ウェルも頭の後ろで手を組んでいるが、こちらも世界のレベルに脅威を感じた。
「はぁ・・・はぁ・・・・・・」
何されたかわからねぇ・・・・・もう一回仕掛けてみるか?無理だ!!体が耐えられない
足の振るえが体のダメージの大きさを物語っている。
いや、まてよ。牙突を避けてからの攻撃は多分、普通の“斬り”だ。それを何とかすれば・・・・・
「考えている暇は無いぞ!」
「ちぃっ!イチバチだ」
差し迫ってくる木刀に対して横ではなく縦に体を動かし射程圏内に無理やり入り込んだ。
「バ、バカな!」
レーベルの真正面。レーベルの木刀は前に突き出されており、身を守る事ができない。
「これで・・・・・・どうだぁっ!」
両手で柄を持ち、相手の腹目掛けて木刀を振る抜いた!つもりだった。
「き・・・え・・・・」
だが、オレの目の前には離れたところで試合を見ている観客しか見えない。
レーベルがいない・・・・・!
あまりの出来事に又もオレの頭ん中はパニック状態である。
「“横”ではなく“縦”で避けて見せるとはな。さすがだ」
声は後ろから・・・・・相手を称えるように聞こえてくる。もちろんレーベルの声だという事も分かっている。
「爪竜連牙・・・・・・・とっさに判断だったが、間に合ったな」
「くそっ!」
一目散にその場から離れる。が、足が思うように動けず木刀一本分の長さで立ち止まる。
「どーやってよけたんすか?」
「ふっ、貴様が懐に潜り込んで振る瞬間にオレは木刀を離し、回転・・・・・バスケで言うロールの動作をして貴様を抜く形で後ろを取り、木刀を手にした。もちろん、木刀は地面に落ちていないぞ」
そりゃ、落ちたらあんたの負けだからな。じゃなくて!問題はそこじゃなく、あのコンマ何秒かの間にそんな動作ができてたまるかよ!それこそ、神速の電気信号だぞ!?
「ここはアイ●ールドの世界かよ」
と、冗談を口にしてみるが体はボロボロ。 はー、明日は筋肉痛確定だな
「だけど・・・・・ここで勝てるのなら安い代償だぜ」
「独り言を言っている場合か?」
牙突の構え・・・・・それに対する技といえば“コレ”しかないでしょ!
「「・・・・・・・・」」
無言のままジリジリと距離を詰めるオレたち。だがここで気付くべきだった。この“距離”に問題があることに。
「うおおおおお!!」
「はああああああ!!!」
気付いてなかったのか距離が近い!コレなら牙突の威力は半減する・・・・・・
「牙突の射程範囲が長距離だけだと思うなよ」
「牙突・・・・・・零式っ!!」
近距離からの一本突き!?上半身の力だけでやって見せるのかよ!!
「この・・・・・・・チートやろぉが!!」
五月雨を打ったら負ける!それを超える技を・・・
「突きには突きだ! 車軸の雨!」
レーベルの片手一本突きに対してオレは両手で木刀を突き出すように構え・・・・・・・ぶつかり合った。
そして────────オレは・・・オレたちは互いに弾き跳んだ。
床に落ちる音が二つ聞こえる。一つはオレ。もう一つは・・・・・・・
「そこまで!!」
試合を終わらせる合図が屋内広場に響き渡る。声の主は久しぶりに登場するブラウン先生だ。
えっ?ブラウン先生って誰?って言う人は26話の『うわ、もしかしてオレ浮いてる?』を読み直し
あれ?オレ、負けたのか?
いつの間にか目の前が真っ暗になっているので驚いたが、それもそのはず。目をつぶっているんだから。
「・・・・お・・・・・・・おい・・・・・・・起きろ・・・・・・八雲!!」
「ハッ!!」
良く知った声がオレの名前を呼ぶのに気付き目を開けると、カイウスとレグだけでなくジン・ウェル・ルージが心配しているのか喜んでいるのか分からない顔してオレの顔を覗き込んでいる。
「な、なに?」
後頭部に痛みを感じ手で押さえながら体を起こすと、反対側でレーベルも同じような格好をしている。
「どうやらこの勝負は引き分けのようだ」
「引き・・・・分け」
「どうした!打たれすぎて頭がいかれたか?」
勝負の結果をレーベルから聞きポカンしているとレグが非常に失礼な事を言ってきたがしょうがない。だって・・・あのレーベルが笑っているのだぞ!?今世紀最大のアンビリーバブルやで!!
「どうした?オレの顔に何か付いているか?」
「い、いや。なんでもないんだが・・・・・・」
あんたの態度が180度変わったことと、笑った事にビックリしてるんです!とは言えず・・・・・
こうして、今回のブレイブ大学との練習試合は無事終わった。
レーベルとも仲良く?なれたのかな・・・・・・・
ついでに、オレに新たな噂じゃなく、伝説ができた。
────レーベル王子と引き分けた男子────と
今回の反省
八雲「あの途中で入ってきた人は?」
暇ねん「今度分かる」
八雲「こんどね・・・・それより、今回の話しはまたぶっ飛んでるな」
暇ねん「だろぉ?“テイ●ズ”に“る●剣”“アイ●ールド”。またまた“リボ●ン”そして“ス●ダン”」
八雲「分かる人には分かる・・・・たぶん」
次回『クリスマスパーティーの事を忘れてた! なーんてことは無いぞ』