始まるホームステイ
オレは自分の部屋に入ると真っ先にベッドへと向かう。
「は~~~・・・・・・・・」
ボスッと音を出しながらオレはベッドに倒れこんだ。
「言っちまった・・・・・・・セレナ姫、どうすんのかな・・・・・・オレは・・・・・・・・」
ベッドに横たわるオレはセレナ姫のことを脳裏に浮かべ名前を口に出したオレは次第に睡魔に襲われ、重い瞼を閉じた。
「・・・・・・・・ん」
瞼を開けると暗くなった部屋が視界に入る。
「あ、寝てたのかオレ?・・・・・・・ん、じゃぁアレも夢?・・・・・・だよな!親父の手紙を読んでセイクリッド王国の王様になるか?なんて夢だ。うん」
ベッドから起き上がり部屋の電気をつけると時計を見た。
「六時・・・・・一時間寝たのか。・・・・・・夢であろうとセレナ姫と会えるなんてな」
オレはそろそろ飯だと思い下に行こうとした時、自分の服装が制服だと気付き着替えをしてから一階に向かった。
「あら、八雲。寝てたの?」
「うん」
ほら、母さんも何も言わないって事は夢だったんだ。
などと思っているとオレは母さんのいつもの行動と違う事をしているのに気付いた。
お皿が三つずつ・・・・・・・親父はいないし、なぜ?
まだ寝ている脳みそを働かせて考えているとその答えはすぐに分かった。
「冴子さん。運び終わりました・・・・・・八雲、起きたの?」
「セ・・・セ・・・セレナ・・・・姫!?・・・・・・・・夢じゃなかった!?」
「何言っているの?まだ寝ぼけているの?」
言いながらセレナ姫はオレの顔に手をあて、顔を近づけてきた。
ちょ、ちょ、ちょっと!!
だが、声に出せていないため、セレナ姫はまだまだ顔を近づけてくる。
「セ、セレナ・・・姫、近い・・・です」
「えっ?あっ、ごめんなさい」
オレの小さい声が聞こえたらしくセレナ姫も恥ずかしくなり、顔を赤めて離れた。
オレは状況が分からないまま夜ご飯を食べ始めた。
「セレナ姫、箸、上手ですね」
「そ、そう?」
「ええ。お城で教わったんですか?」
「えぇ、修二さんに」
「お、親父に・・・・・・!」
オレは持っていた箸を落としそうになったのに気付き、手に力を入れた。
あのクソ親父、家に帰らないで何してんだ!・・・・・・あっ、ボディーガードだっけ?
くそ、頭の中で整理が出来てない。
「──と言うわけで、セレナちゃんは我が家にホームステイする事になったから。セレナちゃんの部屋は・・・・・・八雲の隣の部屋を使って」
「はい」
オレが寝ている間にセレナ姫がホームステイする事になっていた。
いや、オレ的には嬉しいんだけどあんな事言ちゃったし・・・・・・
「あの、八雲」
「はい?」
ご飯が終わり、オレがテレビを見ていると後ろからセレナ姫が顔を覗かせてきた。
「その、セレナ姫ってのをやめてもらえませんか?」
「えっ?それじゃぁなんて呼べば?」
「セレナ、でお願いします。八雲」
「えーっと」
それは色々とオレが困る。そして今気付いたオレの事『八雲さん』から『八雲』に変わっている。
「ダメ、でしょうか?」
その胸の前で手を合わせてお願いされるのやめてくれます?そんなお願いされたら・・・・・・
「わ、わかりました」
って言うしか無いじゃん!!
「ありがとう、八雲」
「うわっ!」
セレナは嬉しかったのかオレに後ろから思いっきり抱き付いてきた。
・・・・・・意外と胸あるんだな。・・・・・・・って何思ってんのオレッ!?
「セレナちゃん、ちょっと来てー」
「はーい」
母さんは普通に娘と思って接しているけど・・・・・・王族ですよ!?次期王妃様ですよ?
「まぁ、一緒に暮らしている間は、無礼講で・・・・・いいのかな?」
「八雲、一緒に食べよう」
セレナの手にはプリンが乗った皿が二つあった。
「はい」
プリンを一口食べてオレはセレナを見た。見た目はめっちゃ美人で年上、中身はちょっと大人しくいが、時に子供っぽい・・・・・・たぶん。なおかつ、少しの間、同居ですよ?どうなるのオレ?
「まっ、セレナが最終的に決めるんだからいっか」
オレが頭の中で整理し終えると、簡潔に述べ、また一口プリンを口に運んだ。
明日から夏休み。オレとセレナの同居が始まった。
後書き 今回の反省
暇ねん「今回のはんせーですが・・・・・・お前!少しはドキッとしろよ!!」
八雲「してるだろ!大体、書いてるお前に言われたくない!」
暇ねん「んだとコラ!」
八雲「何やコラ!」
暇ねん「い~だ」
八雲「べ~だ」
セレナ「子供ですかあなたたちは!」
暇ねん&八雲「セレナ(姫)」
八雲「何でここに?」
セレナ「分からないけど、小説が終わって帰ろうとしたら、『こちらに』って書かれてたから」
暇ねん&八雲(こちらにってなに!?)
暇ねん「まぁいいや、セレナ姫。オレと付き合ってくれませんか?」
八雲「!?」
セレナ「ごめんなさい。私、お父様とお母様が選んだ中の人じゃないと無理なの」
暇ねん「ですよね~」
八雲「ふ~」
次回『夏休みが始まった。さてどうする?』 です。