いやいや、屋内でこれはありえないだろ!?
屋内広場のドアの前に着くと二人の生徒に呼び止められた。どうやら大学・専門部の生徒らしい。
「おや?セレナさんじゃないですか?」
「えぇ。中には入れないんですか?」
「いや、中の出し物のためドアを締め切っているのさ。中に入るのならコレを」
先輩が三枚のチケットを箱から取り出し渡してきた。受け取り、チケットを見てみると『プラネタリウム』とでかでかと書かれていた。
「これは・・・・・・まさか屋内広場でコレをやってるんですか!?」
チケットを見て驚き先輩を見ると、満面の笑みで肯定してきた。
「オレたち、大学部の三年なんだが、ちょっと学年で力をあわせて作ろうって事になってプラネタリウムを作る事になったんだ」
「おもしろそー!!」
「ユウナはしゃぎすぎよ」
横で目を輝かせるユウナにセレナは母親のように言う。
「それじゃ、少し始まっているが、宇宙の神秘をどうぞご堪能あれ」
二人は屋内広場のドアを開けるとオレたちを招き入れた。
中に入るといつも使っていた屋内広場が、別の空間のように感じる。当たりは真っ暗とまでは行かない暗さで、広場の真ん中には天井に天体を映し出す機械が設置されており、その周りを囲むようにパイプイスが丸く並べられている。
中にいる人のほとんどはカップルや親子である。
「二人とも座ろうよー」
あいている席を見つけ、ユウナが手を振っている。
「は、はやい・・・・・・」
「こーゆうおもしろい物には行動が早いのよね」
「はは」
ユウナの横にセレナ、そしてオレと座ると天井に視線を向け映し出される天体に目を奪われていく。
そーいや、オレってプラネタリウムを見るのは初めてだよな・・・・・・
ふと、天体を見ながら思っていると横から本当に小さく声が聞こえてくる。セレナの声だ。
「・・・・・・・も」
「?」
一言目は聞き取れなかったが、次の言葉ははっきりと耳に届いた。
「八雲・・・・・でしょ?」
「っ!?」
ドクンと心臓の音が大きく聞こえた。当然だ。名前を・・・・八雲の名を数ヶ月ぶりに呼ばれたから。だが、それだけじゃない。一番の原因は・・・・・・
バレた!?なんで?いつ?
「八雲・・・・・・答えてくれないの?」
隣を横目で見るとセレナは天井を向いたままだった。それでも言葉はオレに向けられている。
「それとも、答えられないの?」
「オ、オレは・・・・・・・」
どうする?言うべきなのか?それと・・・・・・
脳裏に浮かぶのは三ヶ月前の親父との電話での話し。
『さすが我が息子だな。条件ってのは・・・・・・姫さんとは絶対に合わない事。それが条件だ』
『なんで?』
『考えても見ろ!いち庶民のお前が姫さんの婿候補だと知れたろどうする』
『黙っていれば・・・・』
『それもノーだ。まーようするに婿選びのルールって物があるんよ』
『そっか』
「・・・・・・」
答えが来るのを待っているのかセレナは黙っている。オレは電話での話を思い出し、口を開けようとして閉じる。そして・・・・・・また口を開けた。
「あ~セレナ・・・先輩。オレはルークですよ。ルーク=フォン=ファブレ」
「・・・・・・・そう、よね」
セレナの声が震えている。その声にズキッとオレに突き刺さる。だけどオレはまだ口を閉じない。
「そうですよ。今はルークですけど、近いうちに先輩の言う人に逢えますよ」
「えっ!?」
「八雲、でしたっけ?大丈夫。いつか会えますよ・・・・・・」
天井の天体を見ながら言う。
「そうね・・・・待つしかなさそうね」
「そうですよ」
セレナの声も普段道理でつい、笑みを浮かべてしまった。
こうして、セイクリッド祭は幕を閉じた。
今回の反省
暇ねん「お久しぶりです。皆さん」
八雲「来たかサボり魔」
暇ねん「ひどッ!!」
八雲「事実だろ」
暇ねん「・・・・・・」
八雲「それにネタ切れだったろ?」
暇ねん「・・・・・・・・・・・・・・」
八雲「それに新作も考えてるし」
暇ねん「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
八雲「ダメダメだな」
暇ねん「うるせーっ!この小説とブリーチはやり遂げてみせる!それがオレの忍道だ!!」
八雲「忍道だ!じゃねーよ!」
次回、新章突入『君と同じ候補の一人だ』です。