セイクリッド祭の始まりと護衛
セイクリッド祭当日の朝。教室で最後の準備をしている中、オレはそわそわしていた。
「・・・・・・・」
「セレナ先輩の警護だから緊張してるの?」
「いいよなー!お前が護衛とは・・・・・・・」
「おいおい。オレはそう簡単に考えてねぇんだよ!」
そう、下手すれば自分の正体がバレてしまうからである。もっともセレナ本人はとうの昔に知ったんだが・・・・・・
「ヤクモ君達はこれから学校の見回りに行くのよね?いつごろ戻ってこれる?」
メイド姿の委員長が近寄ってきた。
「うーん・・・・・・・」
腕組して悩むオレを横目にカイウスが変わりに答える。
「いや、僕とレグは午後からだから1時までは、出られるよ。ヤクモは・・・・・・」
「わりぃ、オレは多分無理だ」
「何でよっ!?」
手を合わせて言うと、委員長の驚いた声が聞こえる。
「いや、その、オレ、セレナ先輩の護衛を頼まれたからクラスは手伝えなくなった」
「な・・・・・・そーゆうことは早く言いなさいよ!!なに!?あなた、セレナ先輩の護衛をするの!?」
「いや、あまり大声で言わないで欲しいんだが・・・・・・・そーゆうわけだから、この格好だし宣伝はできるだろうからさ」
着ている執事服を前に出すように見せる。
「は~わかったわ。ただし・・・・・」
「失礼の無いように、だろ?」
「よろしい」
心配性なんだから、委員長は・・・・・・
『連絡です。10分後にセイクリッド祭が始まります。皆さん、存分に楽しんでください』
校内アナウンスを聞くと、カイウスに視線を投げた。
「んじゃ、行ってくるわ。それと・・・・・コレ、サンキューな」
ポケットからサングラスを取り出す。
変装って言えば、やっぱサングラスだろ!
と言うわけで、貸してもらったサングラスを掛け、手を振って教室を出て行く。その姿を見た三人の感想は・・・・・・
「「「なんか・・・ホスト(マフィア・執事)みたい」」」
いや、執事といった人、一応、執事の服装なのだから当然だと思うが・・・・・・・
「あの~」
「ん?なんだ後輩?今は準備中だぞ!」
3年A組に行くと皆さん熱心に準備中。というより話し合い?中だった。そんな中、恐る恐る声を出すと一人の男子が目の前に来た。
「いや、ナイト部のものですが、セレナ=ザ=セイクリッド先輩の護衛のために来たんですが・・・・・・本人はいますか?」
若干、声が裏返ったかもしれないがお構い無しに言葉を出すと、教室の奥から、ここにいます、と懐かしい声が聞こえてきた。
「・・・・・・・」
懐かしいな。あれから一回も話せなかったからな・・・・・・・・
つい口元を緩めてしまったが、仕事の事を思い出し、表情を引き締めた。
「あなたが、今日の護衛をしてくれる方ですね?名前は・・・・・・」
「高校部1年B組のルーク=フォン=ファブレです。よろしくお願いします。セレナ先輩」
「・・・・・・こちらこそ、よろしくね」
ニッコリと笑顔で返してくるセレナ。そうそう名前は当然・・・・・・
偽名だ!ストレートに八雲です。なんて言えるかって!
挨拶を済ませるとタイミングよくアナウンスが鳴り響く。
『これより待ちに待ったセイクリッド祭を開催します!皆さん!一般の人も来場しますので気品を持って接してくださいね。では・・・・・・・開催ですっ!!!』
開催を告げる声と共に学園中から活気溢れる声が地震のように聞こえてきた。
いまさらだが、セイクリッド祭は小学部・大学・専門部もやっているぞ。
「それじゃぁ皆、頑張りましょうね」
「「「おう(はい)!!」」」
セレナがクラスの中心にいるのか、仕切るように声を掛けた。それに対して、男女共にやる気満々の声が返ってきた。
「それじゃ、ユウナ、ルークさん。セイクリッド祭を見て周りましょうか」
「そうね。あっ!私はユウナ。セレナの友達よ!よろしくね」
「どうも」
こうして、セイクリッド祭が始まった。
今回の反省
暇ねん「ついに八雲とセレナが接触したか」
八雲「しちまったな。まぁ、オレの変装は完璧だから大丈夫だな」
暇ねん「(いやいや、どう見てもルークって外国人の名前だし。お前日本人だし)」
八雲「どうかしたか?」
暇ねん「い、いや・・・・・・」
八雲「そーいや、ルークって二回目だよな?」
暇ねん「だな」
八雲「オレは短髪が好きだからな~」
暇ねん「あっ!オレも!!」
八雲「だよなー」
・・・・・・・間
暇ねん「反省しろ!!」
次回『どこに行きますか?セレナ先輩?』です。