始めて姫と話す
目の前にセレナ姫が現れた時、反射的にオレは椅子から立ち上がった。
セイクリッド王国の次期姫となる女性の名は、セレナ・ザ・セイクリッド。
セレナ姫の特徴はとにかく長い髪。その長さはお尻に届くほどである。なおかつ髪の色はオレたち日本人には似合わない薄い紫色。
瞳の色はルビーのようで、まるで宝石のような瞳。これは、王族だからなのか、それともセイクリッドの人だからなのか?
なんて事をオレはセレナ姫を目にした時とっさに思った。
「きれい・・・・・・・」
「えっ!?」
「えっ?・・・・・・・ハッ!?オレ今何言った?てか、何故にセレナ姫がここに?」
突然の事にパニックとなるオレだったが急に・・・・いや、ここはまたしても視界が暗くなった。だが、さっきと違う事が一つだけある。それは・・・・・・
「でっ!!」
思いっきり頭を床に叩きつけた事である。
「だ、大丈夫ですか?八雲さん!!」
そう言ってセレナ姫は倒れたオレに駆け寄ってきた。
「いでで・・・・・だ、だいじょうぶです。セレナ姫・・・・・・・・」
セレナ姫に一言、言うとオレは母さんを睨んだ。何故睨んだかと言われれば・・・・・・・空き缶を人に投げるなよな。・・・・・ってか空き缶でこけるオレもオレか・・・・・・・
「それじゃ、姫様。座ってください」
母さんはオレの横を通り、さっきオレたちが話し合っていたテーブルに向かい、椅子を引きセレナに座るよう促した。
「あ、ありがとうございます。冴子さん」
またも今更、母さんの名は冴子と言う。
だが、セレナ姫は椅子に座ろうとせずにオレを見ている・・・・・・・ああ。
「セレナ姫、オレ・・・・・・じゃないな、自分は大丈夫ですのでお座りください」
王族の彼女に失礼の無いようオレは至極丁寧に言葉を選び話した。
・・・・・・ってかセレナ姫、日本語喋れるんだ。普通にうまい。
「そう?なら八雲さんも速くお座りになってください」
「は、はい!」
上品な言葉、それに今更気付いたが、彼女の服装・・・・・・純白のドレスを着ていた。こんな一般家庭には似合わない上流貴族の格好。
オレは立ち上がるとさっき座っていた椅子に座った。前の席は母さん、その隣がセレナ姫。
「「・・・・・・・・」」
「はー、何か聞きたいんでしょ?」
オレとセレナ姫は黙りこくっていると、母さんがオレに言ってきた。さっきまでガン●ムやリボー●ネタで暴走していたのに・・・・・・
「えー・・・・・・セレナ姫がなぜここに?」
オレはセレナ姫を横目で見て聞くと母さんが口を開けたのを見て答えてくれるのかと思ったら、セレナ姫の肩を叩いた。
「それは・・・・私がお話します」
「あ、はい」
セレナ姫は恥ずかしそうに喋り始めた。
「自分で言うのもアレですが、我が一族では十八歳になると次の王妃になるための儀式が始まるのです」
「儀式・・・・・・?」
儀式と聞いてオレはちょっと血なまぐさい事を連想してしまったが、その想像はセレナ姫の次の言葉で吹き飛んだ。
「はい。・・・・・・その儀式の内容は・・・・・・次の国王つまり、私の夫となる人を世界中から決める事なんです!」
セレナ姫は最後の部分を強く強調していってきた事でオレは、机に頭を打ってしまった。
「・・・・・・・・」
なんだそりゃ・・・・・・とは口には出せないので胸の中にしまっておいた。
「あ、あの・・・・・・」
「あっ、どうぞ、進めてください」
ぶつけた頭を持ち上げ先を進めるように言うと、セレナ姫は喋り始めた。
「それで、世界中の男性の中からお父様とお母様が選び、選ばれた男性の中で私が決めるんですけど、写真を見ただけで決めるのはアレなので、私はお父様に言ってホームステイする事になったんです」
「・・・・・・ホームステイ・・・・・・・ちなみに、期間は?」
「それは私が決めています。今までの中で最高が一ヶ月です」
「その言い方だともう何件か行ったんですよね?」
「はい。八雲さんが最後です」
「そうですか。あははは・・・・・・・」
女性一人で男性の家・・・まぁ家族がいるとしても、よく行けるな。王族の凄さってとこかな・・・・・・
「はい。それより、八雲さん」
オレはセレナ姫の凄さを考えていると、セレナ姫がオレの名を口にした。
「はい?」
「八雲さんは私と結婚するのがいやですか?」
「・・・・・・・いきなり何を?」
「さっきの冴子さんとの会話を聞いていたんですが、『嘘であって欲しかった』とか聞こえたもので・・・・・」
セレナ姫の表情が暗くなったように見えたオレはすぐに否定した。
「じゃぁどうして?」
「あー・・・・・もしも、もしもですよ?オレがセレナ姫と結婚してオレが国王になったら多分・・・いや絶対、国が崩壊する!大体、オレなんかが出て行く舞台じゃ無いんですよ」
「そんなこと・・・・・・」
「それに、セレナ姫・・・・・・」
「はい・・・・・?」
俺の声が急に低くなった事でセレナ姫は不思議そうに言ってきた。
「あなたは、美しい。オレが出会ったどの女性よりも。だからそんな人がオレなんかと肩を並べちゃいけないんですよ・・・・・・Ⅰ am good luck that in your future
会えて嬉しかったですよ」
オレはセレナ姫の顔を見て微笑みながら言うと、二階の自分の部屋へと足を勧めた。
「ちょ、ちょっと、八雲!?」
「君の未来に幸あれ」
「えっ?」
セレナ姫の言葉に母さんは反応し、セレナ姫に視線を向けた。
「八雲さん、言い発音ですね。決めました」
「な、なにを?」
「冴子さん。私をここに泊めさせてくれませんか?」
「えっ?それって・・・・・」
「八雲さんがどう言う気持ちで言ったか分かりませんが、私は八雲さんが気になります」
それを聞いて母さんの表情は一気に明るくなり、セレナ姫の両手を握った。
「本当ね!?」
「はい!」
ニッコリと笑い答えるセレナ姫を思わず抱きしめる母さんだった。
今回の反省?
八雲「八雲ッす」
暇ねん「暇な青年です」
暇ねん「なに、いきなり英語で格好つけて?」
八雲「格好つけるつけないの前に書いたのお前だろ!」
暇ねん「知らん!!」
八雲「知らん!!・・・じゃ、ねぇ!!たく、今回はネタ使わなかったのに」
暇ねん「ぐちぐち言うなよ。小さいな、八雲」
八雲「テメェ・・・・・・・」
暇ねん「こら、お前はそんなこと言わない。大体、セレナ姫にべた惚れだろうが!」
八雲「うっ!」
暇ねん「何が『きれい』・・・だ!!これからのお前はセレナ姫と『わー、わー、わー』・・・・・・・八雲、うっさいわ!!」
八雲「ネタバレすんな」
暇ねん「そうだったな。んじゃ、今回はここまで」
次回『始まるホームステイ』です