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オレが姫の婿候補!?  作者: 暇な青年
八雲セイクリッド編
38/73

久しぶりだな(後編)

「ん?」


テンポの良い足音が近づいてくるのが分かり、オレたちは音のする方に視線を向けてみた。


「久しぶりだな・・・・・・」


「────ッ!?」


声にならない驚きがつい、表情に出てしまった。


「そーですね。レーベルさん」


ムスッとした表情でレグはレーベルに返した。


「で、どーしてここに?」


「なに、大学・専門部の大会があるってことで、ゲストとして呼ばれたんだよ」


「あっそ」


レーベルの言い方はレグの機嫌をそこねる一方で、オレは未だに驚きつつも、どう行動するべきかを考えている。


「どうかしたのヤクモ?」


「あ、いや、なんでもないさ・・・・・・」


言葉では簡単に言えるが、カイウスは表情を読み取り心配そうにオレに瞳を向ける。


「ヤクモ・・・・・・と言ったか?君の噂は聞いたよ。初めて一ヶ月の君がチームの優勝を決めたってね」


「ッ! どうも・・・・・・」


そっけなく返すとクスッと笑うレーベル。それを聞いてつい視線を向けてしまった。


「その力を見てみたいな。どうだい?一戦、やってみないか?」


「・・・・・・・・」


このやろう・・・・・オレに合わせて知らない振りかましてやがる。まー好都合だがな


「逃げるのかい?あのときのように負けるのが怖くて?」


「あの時?負ける?」


レグの困惑した声が聞こえてくる。


人を見下したような視線。それを実行する瞳。その言葉。


「上等だ!レグ、木刀とって」


「マジでやるのか!?」


「・・・・・・」


返事はしない。レグは驚きつつも、ため息を付き木刀を投げ渡してくれた。


「勝負の方法は?」


「あの時と同じ。貴様が私に一太刀でも当てられれば貴様の勝ちだ」


「上等!」


先手必勝!!


レーベルが木刀を構えるとすぐさま木刀を振りに行った。


「見え透いた手だな」


「なら・・・・・・」


360度回転して遠心力を使い、逆側から木刀を放つ。横から迫り来る木刀を横目で見ると、縦に木刀を構え受け止める。


「貴様はあの時と何一つ変わらないな」


「アンタもだろ?」


「ふんっ!」


「うっ!?」


強引に腕を弾かれ頭の上に右腕が移動した。


「な・・・ろっ!」


上に持ってかれた右腕を行ける所まで頭の後ろに回した。その時さりげなく左腕も背中の後ろに。その為、レーベルからは木刀の半分が背中で隠れて見えなくなった。


「また力押しか!」


「五月雨」


頭の後ろから思いっきり振り下ろす。その行動に反応してレーベルも木刀を前に出すが、それはオレが振り下ろした右腕が作った風を斬るだけだった。


「木刀が・・・・・無い!?」


「・・・・・・」


つい、攻撃が決まったと思って口元を弧月にしてしまった。


後ろにいるカイウスたちも目を疑った。


背中の後ろから振り抜く左手には木刀を握っている。


「────ッ!」


「オレの勝ちだな?」


レーベルの右横腹から木刀を引く。


「ふっ、そうだな。今回は貴様の勝ちだ」


「やけにあっさりと受け入れるんだな」


「私は騎士ナイトだ。潔く受け入れるさ。次は・・・・・・本番で会おう」


武士が鞘に刀を入れるように布袋に木刀を仕舞う。


「楽しみにしているぞ」


一言言い残しレーベルは来た道を戻っていく。聞こえる足音は来た時とは違って足早だった。


「やっ・・・・・・たな!」


「うわっ!?」


レーベルがいなくなった瞬間に後ろから腕を回された。レグの表情は今まで見たことの無い、とびっきりの笑顔だった。


そーとー嫌いだったんだな。と、内心思いながら苦笑する。


「それにしても最後のどうやったの?」


横に来てたカイウスが顔を覗き込むように聞いていた。


「ん?後ろにいたんだから見てただろ?こーやって背中の後ろで左手に渡すんだよ」


オレが再現していると、二人は呆れた表情をした。


「それを本番にやるとは・・・・・・」


「なんだよ?」


「別に~~~」


「オイ!何だ今の言葉は!!──────あっ、まて!!」


二人は逃げるように前を走っていくので、慌ててその後を追っかける羽目になった。


今回の反省

八雲「かったーーーー」

暇ねん「よかったよかった」

八雲「なにその投げやり感」

暇ねん「どうせなら試合で勝てよ」

八雲「つぎはそうなるさ」

暇ねん「その自信はどこから・・・・・」

八雲「オレから」

暇ねん「ウザっ!」


次回『文化祭まであと一週間です』です。

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