久しぶりだな(前編)
ぞろぞろと足音が聞こえる中、オレは椅子に座って目をつぶっている。
場所はセイクリッド市民体育館の二階。一階は広場になっており、二階は観客席みたいなものだ。
「ヤークーモ!」
「ん?あぁ、なに?」
片目を開けてカイウスを写す。
「緊張してるの?」
「まー」
「レグを見習った方が良いよ」
下の階で最終調整をしているレグを指差す。
「あいつは慣れてるからだろ。オレは初参戦だぜ」
そもそも・・・・・・セレナとの約束を果たすためだったんだが、どこで道を間違えたんだろ?
「まっ、後悔はして無いけどね」
「なに独り言言ってんの!下に行ってウォームアップするよ」
「おう・・・・・・」
開会式が終り、オレたちは学校ごとに別れている部屋にいる。
「参加校は俺たちを入れて5つ。チームは18チーム。その中に・・・・・・」
「ライン高校もいるんだろ?」
「その通り。皆気を引き締めろよ!」
「「「おうっ!!」」」
ライン高校?
『セイクリッド学園Cチームは試合です。ホールに来てください』と、会場内にアナウンスが入る。
セイクリッド学園は全部で一軍・二軍・三軍で、1軍からA・B・Cと呼ばれる。
「んじゃ、いってきます」
「頑張れよ」
Cチームのメンバーが部屋を出て行く。
オレも試合の雰囲気を感じておこ。
「どこ行くの?」
「雰囲気を感じてくる」
椅子から立ち上がりドアに手を掛けるとカイウスの声がオレをとめた。
「ならボクも。レグは────行かないか」
「それじゃ、行って来ます」
ドアを開けながらジンに声を掛けた。
「真剣だな」
ホールに入ると、オレは当然のことを口に出して驚いてしまう。
「当たり前でしょ。見た目は小さい大会だけど、将来のことを考えてる人は皆、死に物狂いだよ」
「将来、か」
確かに親父達みたいな仕事に就きたい奴はこーゆう大会で点数を稼がないとな
「そーいや。小学部と大学・専門部は?」
「小学部はセイクリッド学園の屋内広場で。大学・専門部は隣のホールで」
「ふーん」
他校やCチーム試合を観察しながら会話する。すると・・・・・・
「カイウス!ヤクモ!」
「おぉ!来てたのか」
二階の観客席からクラスの男子女子が手を振っている。
『セイクリッド学園Aチームは試合です。ホールに来てください』
「時間だね」
「一回戻るか?」
「いや、持ってきてくれたみたいだよ」
カイウスの言葉と共にジン・ウェル・レグが戦闘態勢といった雰囲気で入ってきた。
「ほれ」
「サンキュ」
レグが持ってきた木刀をオレとカイウスに渡すと、ジンを先頭に試合場所まで歩いていく。
「・・・・・・なんか周りの視線があるんですけど?」
「ボクたちの学校は優勝候補だからね」
「なるほど」
ホールの端まで行くと正方形に赤いテープが張られている。アレが競技場である。
意外とアバウトだよな
向かい側には対戦校がスタンバイしている。
そうそう、今更だけどトーナメント形式だからな
「先に3勝した方が勝ちです。では、礼」
「「おねがいしますっ!!」」
審判が仕切りながら挨拶を交わす。
「一戦目は誰が?」
「カイウス。次にレグ・ヤクモ・ウェル、最後に俺だ」
丸くなりジンが先発を発表する。終わるとカイウスが立ち上がった。
「それじゃ、行って来ます」
「「カイウス」」
「ん?」
オレとレグの重なった声に呼び止められ、振り向く。
大丈夫そうだな。オレと違って
「「頑張れよ」」
「とーぜん」
笑って答えるとカイウスは競技場に踏み込んだ。
相手は二年生だろう。
「では・・・・・始め!!」
「オラァァァァ!!」
「・・・・・・」
合図と同時に迫り来る相手にカイウスは何の行動も起こさない。
「ふっ!」
「ん・・・・なっ・・・・・・・!?」
「そこまで!!」
審判がカイウスの対戦相手をとめた。
「セイクリッド学園、カイウスの勝利」
「は・・・はは・・・・・・」
笑うしかなかった。当の本人は当然だ、とでも言いたそうな顔だ。
相手が迫ってくる力を利用して僅かな力で相手の体をくの字にして勝った。
続く第二試合。レグだが、誰も心配する事はなかった。
対戦相手で出さえ、無理だ、と嘆いている。
結果は始まった瞬間に木刀を弾き飛ばしレグの快勝。
「これで2勝・・・・・オレか」
「負けても安心しろ!後ろには最強の二人がいるからな」
「分かってる」
ジンとウェルは何も言ってこないが、表情を見れば大丈夫だ、と言っている。
「第三試合・・・・・・始め!!」
「ダァァァ!!」
「うわっ」
どの試合もそうだが、先手必勝ってやつだな。守りから攻めに転じるのは結構辛いんだよな
「大丈夫かな?相手も後が無いから必死だし」
「大丈夫だろ。ちゃんと避けてるし」
カイウスとレグは冷静になって見ている。
「・・・・・・・」
立て続けに攻めてるんだから、そろそろ疲れるだ・・・ろ!
「っ!」
相手の木刀を弾く。
「もらった!」
一太刀目は腹に、体が前かがみになった所を狙ってニ太刀目。
音を立てて崩れ落ちる対戦相手。
「セイクリッド学園、ヤクモの勝利。よって、3─0でセイクリッド学園の勝利。礼!」
試合が終わるとメンバーは中央に集まり頭を下げた。
「「ありがとうございました」」
「公式試合の初勝利、おめでとう」
「ダサい試合だったな」
「うっさい!」
学校別の部屋に戻ると二人から、賞賛と批判の声がかかる。
「よし、この調子で勝つぞ」
オレたちの会話が終わるとジンがメンバーに声を掛ける。
「おう!!」
オレたちはその言葉に大きな声で返事をした。
今回の反省
暇ねん「ヤバイ!このままだと話しが変わってしまう」
八雲「だろうな。なんかスポ根だぞ」
暇ねん「だがここを乗り越えれば・・・・・・」
八雲「乗り越えたら・・・なんだよ?」
暇ねん「色々とできる」
八雲「はぁ?」
暇ねん「ってことで、つまらないかも知れませんが、応援お願いします!!」
次回『久しぶりだな(中編)』です。