ちょっ、まっ・・・・・痛ってーー
勢いよく叫びながら木刀を振る小学生の男の子・女の子。
それを、簡単に受け止める中学生の男子・女子。
別の場所では男子高校生と女子高生が木刀を交えている。
それを見て指摘する大学生・専門学生。
「・・・・・・ハンパな」
「でしょ?ほら、あそこにレグがいるよ」
屋内広場の雰囲気に飲まれているオレにカイウスが目の前を遮り指差した。
「ほんとだ・・・・・・・って、あいつ別格の強さじゃん!!」
「だから、エース級だっていったじゃん。ブレイブ王国のレーベルと良い勝負したって話しだし」
「レーベルと・・・・・・!」
レーベルの強さは身にしみている。アレと互角か。だがあいつは世界最強とか自分で言ってたな。
「カイウスもナイト部なのか?」
「うーん・・・・・・違うけどたまに遊びに来てるから、幽霊部員?みたいなもの」
「へー。それはそうと、コレってスポーツなんだろ?ルールとかは?」
周りの鍔競り合いを眺めながら聞いてみる。
「ルール?結構簡単だよ。その分、危険もあるけど知りたい?」
「知りたいから聞いてんだろ?」
カイウスを見て軽口に言う。ははっと笑うとカイウスは手近にある木刀を手に取った。
「ヤクモも構えて」
「おう・・・・・・」
手近にある木刀を手に取り構えるとカイウスがスッと近づいてきた。
「ルールは簡単。相手の木刀を・・・・・」
言いながらオレの手の甲を木刀で叩いた。バシッと結構良い音が屋内に響いた。当然、痛かったため声を上げてしまった。まぁ、部員は気づいて無いが・・・・・・
「手から離させる。もう一つは・・・・・・」
叩かれて手に力が入らなく、木刀を床に落してしまった。構わずカイウスは続けた。
「相手に『参った』って言わせるか、立てなくする・・・・・・こうやって!!」
後ろに回ったカイウスがテンポよく膝裏にニ太刀入れた。
「うぉ・・・・・・った!」
ガクッと膝から崩れ落ちる。
「本当はもう動けませんってとこまでやるんだけどね」
「ははっ・・・・・・・」
わ、わらえねぇ・・・・・・
「あっ、安心してね。手には指だしグローブが付けられるから」
守れるのは手の甲だけですか!
表では笑っているが、内心、苦笑しています。
「これ、事件になったりしないの?」
立ち上がり木刀を拾いながら聞いてみると、カイウスはすっごい笑顔だった。
「少しだけだよ」
「・・・・・・・・」
おーい!ありかそれ!?ありのなのか!?
など内面でテンパっているとレグがこちらに気付いたようだ。
『なんだ来てたんなら声掛けてくれれば良かったのに』
もちろんカイウスの通訳です。
『・・・・・・・』
『・・・・・・』
またも二人での会話。オレにはさっぱり。するとレグがこちらを見て笑っている。
なーんか嫌な予感が・・・・・・
「ヤクモ、これ」
「指だしグローブ?なんで?」
「レグと試合だよ」
「はぁぁ!?」
「いいから『・・・・・・』これで観客も出来たね」
「テメェ・・・・・・」
カイウスが余計な事をしたおかげで、屋内にいる全ての生徒がこちらに視線を向けている。
「ほら、早く。そうそう、アドバイスだけど、レグから目を離さないように。じゃ!」
「じゃ!じゃねぇよ!!」
真ん中を空けてまぁ、レグが待っていますよ。
「しゃーない」
グローブを付けながらテクテクと中央へと進んでいく。
「ヤクモー、言い忘れたけど制限時間は5分だから~」
「ながい・・・・・・・」
『・・・・・・・』
「いや、何言ってるかわからんよ」
「『手加減はしない』だって」
「ブラウン先生!なんでここに?」
「一応、顧問だからね」
どこから現れたのやら。
「それじゃ、始め」
『・・・・・・』
「うそっ、いきなり!?」
この試合の結果はとーぜんの事だがオレの1分負けだった。
今回の反省
八雲「あんなのスポーツにして良いのかよ!プロテクト無しだぞ」
暇ねん「オレやんねーもん」
八雲「テメェ・・・・・」
暇ねん「こらこら、拳を震わすな」
八雲「月夜ばかりと思うなよ」
暇ねん「こわーい」
八雲「・・・・・・・」
暇ねん「はい、八雲さんが怖いので今日はここまで」
八雲「たたっきってやるーーーーー!!」
暇ねん「いまさっき月夜とか言ってたのに!?」
次回『話を恋愛に戻そう』です。




