久しぶりの親父からの手紙
本編です。よろしくお願いします。
「ただいまー」
「あっ、丁度帰ってきたみたいですよ」
「ん?」
俺が家に帰ると母さんがリビングで誰かと話していた。玄関にいるオレは靴を見るが、見知った靴・・・家族の靴しかない。と思っているとリビングから母さんが出迎えてくれた。
「おかえり」
「ただいま。今、誰かと話してた?」
「え、えー電話よ。で・ん・わ」
オレの言葉に母さんは『今、思いついたわ』見たいな顔して言ってきた。
「まぁいいけど」
そう言ってオレは二階の自分の部屋に行こうとしたら母さんがオレを呼び止めた。
「着替えなくていいからリビングに来なさい!」
「えっ?」
「あんたの将来にかかわる事なのよ」
そういい母さんはリビングに急いで戻っていった。
オレは頭を掻きながらリビングへと足を進めると、椅子に座り手を組んでテーブルにおいていた。
「あんたに聞きたいことがあるんだけど・・・・・・」
母さんの声が真剣なのでオレは最も最悪な事を考え口に出した。
「まさか・・・・・・」
「えっ!?」
母さんは何も言って無いのにオレが何かに気付いたと思ったのか、肩がピクッと震えた。
「まさか・・・学校から赤点通知が来たのか!?」
「なんでや!?」
そう、オレが最も恐れていた事は明日から夏休み。つまり通知表が帰って来るんだが、我が高校は少し変で通知表は本人ではなく家に送られるのだ。その通知表に赤点が一つでもあると夏休みに補習があるのだ。
最悪な考えを口に出し、言い終えるとオレの視界は一気に暗くなり、頭が後ろに傾いた。
「グハッ!!」
ついでに後から痛みも少し来た。
「いてて・・・んじゃ、なに?」
後ろに傾いた頭を戻し、顔に当たった物を取る。見るとクマのぬいぐるみだった。
・・・・・・ぬいぐるみって部屋の隅にあるはずなんだけどな・・・・・・・
母さんがいる場所はリビングの真ん中である。
「正直に答えてね」
「オレは隠し事なんかしてねぇぞ」
『隠し事は無い』というが、オレもお年頃。あっち系は少し・・・・・・
と考えながらクマのぬいぐるみをテーブルに置き、椅子を引き、腰を置いた。
「あんた今、彼女いる?」
「・・・・・・は?」
さっきまで真剣に聞いていたオレだったが、いきなり『彼女いる』と聞かれ間抜けな声を出してしまった。
「だから、彼女よ、か・の・じょ。英語で言うとGirlfriend」
「それぐらいわーっとるわ!!じゃなくて、何が悲しくて親に彼女いませんって言わなあかんの!?」
「あら、いないのね?それは良かった」
母さんは組んでいた手を解き胸の前でポンと手を合わせた。
「何が良かった。だよ!オレの将来関係ないじゃん!!」
「いやねーお父さんから手紙が来てるのよ」
どこに仕舞っていたのか分からないが母さんが封の空いていない手紙を取り出しオレに渡してきた。ついでに言うとオレの親父は海外で働いているため、もう五年は会っていない。
「私は、こっちで内容を読んだから」
そう言っても一通の手紙を見せてきた。差出人は親父だった。
「内容はあんたの方が詳しく書いてあるって」
「あっそ」
オレは封の開いて無い手紙を開け、手紙を読み始めようとした。が・・・・・・・
八雲へ
元気か?お前、一国の王になる気は無いか?あるんなら姫と仲良くしてみろ。うまくいけば国王になれるぞ。それじゃ
親父より
「・・・・・・」
オレは次第に手紙を持っていた手に力が入っていく。端がしわくちゃとなった手紙を机にたたきつけ一言・・・・・・
「いみわかんねーーーーーー!!!!!」
「う・る・さ・い!!」
またも、視界が暗くなった。
次回『姫様、登場』です