八雲、お願いがあるんだけど・・・・・・
数日後の夜九時。
オレは珍しく自分の部屋にいた。いつもならセレナと一緒にテレビを見ている時間だが、今日はセレナが『ねむい』と言って先に寝てしまったのだ。
「・・・・・・・・」
耳にはイヤホンを付けウォークマンで音楽を聴きながら夏の夜空を眺める。
「まだ九時か・・・・・・暇だな。そうだ、読みかけの小説があったんだ」
思い出しオレはベッドの下にある収納スペースの引き出しを開けた。中には漫画や小説でいっぱいである。
「えーっと・・・・・・・おっ、あった、あった」
一冊の本を取り出し、引き出しを仕舞う。
先に言っておくがライトノベルではないぞ。
「・・・・・・・・」
オレは本に集中しすぎて気付くと、今日が昨日になっていた。
「うわ、一時になってるし!早く寝よ」
イヤホンを取り、本を引き出しに仕舞い、部屋の電気を消そうとベッドから立ち上がった。
「うん?」
オレは耳に聞こえてきた音に反応した。聞こえてきた音はドアを控えめにノックする音だ。
「八雲、ちょっと・・・・・・いい?」
「セレナ?どうした・・・・・・って、どうした!」
ドアを開けるとなみだ目でセレナがドアの前に立っていた。
「うん。ちょっと・・・・ね」
「とにかく、入って落ち着け」
「うん」
さっきからセレナ、元気がないな。
「どうかしたのか?泣いてるし」
「あのね・・・・・・・」
「うん?」
「笑わない?」
「笑わないさ。内容によるけど」
「・・・・・・・」
じーっと涙目で睨んでくる。
「笑わない!」
「・・・・・・・・・あのね、夢を見たの」
「ゆめ?」
「ええ。私と八雲が一緒に暮らしていたの」
「オレと・・・・・・セレナが?」
オレの言葉に頷き、セレナは話を進める。
「そこに、上位貴族の人がやってきて私達を離れ離れにするの。そして私は、その人と結婚する夢、だったの」
「う~ん、なんともリアルな夢だな。でも、それで何で泣いてるの?」
苦笑するオレ。すぐに、表情を引き締め聞く。
「だって!」
「だって?」
「その・・・・・・・」
「その?」
セレナにしては珍しくハッキリと言わないな。
「これも・・・笑わない?」
「笑わない!」
「その・・・・・・夢の中でだけど、八雲と一緒にいる未来が見れたのに、離れ離れになってしまったから悲しくて・・・・・・・」
「へ?」
まさかの発言にオレは、力の抜けた声を出してしまった。
「ぶっ!・・・・あはははっ!!」
「八雲!」
そしてオレは大声、とは言わないが笑ってしまった。
「大丈夫だって!」
「えっ?」
「たとえ、それが本当に起きる事があってもオレが引き止める!それが無理なら会いに行く。セレナと釣り合える男になってね」
「・・・・・・・」
セレナの視線がオレの視線と交わる。
「あー、カッコつけすぎた?」
「ううん。嬉しかったのよ!それは信じて良いの?」
「信じてくれるなら」
「信じるわ」
「よし、それじゃ今日はもう寝な」
「ええ・・・・・・八雲」
「なに?」
オレはドアを開けセレナに向いた。
「ここで寝て良い?」
「ここってオレの部屋なんですが・・・・・・」
「だから、一緒に寝よ」
電気を消し、オレはベッドに入る。横にはセレナがいる。
「あついね」
「しょうがないだろ!こんな夏に一緒のベッドで寝るのが悪いの」
「そうね」
「たくっ」
夏なので今はタオルケットを腹の部分に当ててるだけで寝ている。
「八雲」
「ん?」
「約束よ」
「分かってるよ。おやすみ。セレナ」
「おやすみ。八雲」
オレは隣にいるセレナを感じながら目を閉じた。
今回の反省
八雲「・・・・・・・」
暇ねん「ラブラブですね」
八雲「オレ、候補なのにこんな事約束して良いわけ?」
暇ねん「さぁ?」
八雲「オイ作者!」
暇ねん「しょうがないでしょ!何か言ってしまうとネタバレするし」
八雲「それもそうか」
暇ねん「そうそう」
次回『あっ、おかえり~』です。