久しぶりに話すと話す事が無い
電話の受話器を耳にあて一言。
「なに?」
「おお!?冷たいな、実の父に向かって」
「いや、実の子供を勝手に姫の婿候補にするのはいかがな物で?」
「しょうがないだろ、王様に『セレナ姫の婿となるやつを探してる』って言われたら息子を薦めるが親ってもんだ!」
「あっそ。まぁ、今更文句は言わないけど、何で五年ぶりに電話を?」
そう、親父とは五年間会っても無いし、手紙も無い。まぁ、セレナについての手紙が五年ぶりだった。当然、電話も無かった。
「いやぁ、息子が姫さんに無礼をしてないか心配でな」
「んー、無礼は無いと思うよ。なっ、セレナ?」
「そうね」
オレは、隣にいるセレナに聞き、微笑んでセレナは答えた。
あっ、隣ってのは受話器の反対側にセレナが耳を当てて聞いているんだ。多分、聞こえている。はず。
「おー息子よ、そんなに姫さんと仲良いのか。結構結構!」
電話の向こうにいる親父は上機嫌なのだがオレは・・・・・・
「あのさ~」
「ん?なんだい、我が息子よ!」
「オレの名前言ってみてよ」
「えっ!?」
「オレの名前」
「あ~いいぞ。ちょっと待て!」
名前を呼ぶだけでちょっと待てって何だよ!まぁ予想できてたけど。
「名前を呼んでって何で?や──」
「ダメだよセレナ。オレの名を呼んじゃ」
「?」
セレナの言葉を遮りオレは口止めする。当然セレナは、不思議がっている。
「まだぁ?親父?」
「ちょっとまて!や・・・や・・・ヤーさん!」
「おいっ!自分の息子をヤクザにしたいのか!!」
「冗談だ、じょうだん。えーっと・・・・・・」
「ヤーさんって?」
セレナがオレに聞いてくる。
「親父はよくオレの名前を忘れるんだよ。さっきの『ヤーさん』ってのも思い付きだろ」
「思い出したぞ。お前の名は大和●だろ?」
「オレはノートルダム大附属中でアイ●ールドになってねぇし、なりたくもねぇよ!!」
確かにアレはアイ●ールド21でも可笑しくも無い強さだった。うん。
「わるかった。・・・・・・八雲、だろ?」
「ったく」
親父がオレの名を覚えていた事が以外で驚いたオレ。
いつもなら、オレから名前言わないと思い出さないのに。
「それでさ────」
その後、親父が五年間分、とは言わないけど長い間、セイクリッドの話をしてきた。
オレは『ああ』とか『へー』としか言わなかったが、親父は満足したみたいだった。
「最後に姫さんと話させてくれるか?」
「ん?あぁ」
反対側から聞いていたセレナに説明する事は無かったので、受話器を渡し、オレは麦茶を取りに冷蔵庫に向かった。
「どうだい?そっちの生活は?」
「はい!とても楽しいです。修二さんが話してくれた通りでしたし、それ以上の物も見れました!」
「それはよかった。で、どうだい?八雲に惚れちゃったかい?」
「えっ!?それは・・・・・えっと・・・・・・・」
「まぁいいさ。そーいう事は聞くなって王様に言われたしね」
「それじゃ、冴子に代わってくれるかな?」
「はい!」
オレが麦茶を飲んでいると、セレナが母さんを呼ぶ声が聞こえ、受話器を渡すとセレナがオレのとこに来た。
「ほい」
新しくコップを取り出し、麦茶を入れ、セレナに渡した。
「何話したの?」
「んー・・・秘密!」
「そっか」
久しぶりに親父と話したのが嬉しかったのか、オレはこの後、気分が良かった。
今回の反省
暇ねん「お前、ファザコン?」
八雲「ぶっ!?」
暇ねん「きたね!麦茶吐くなよ!!」
八雲「お前が変なこと言うから!」
セレナ「ねーねーファザコンって何?」
暇ねん&八雲「またかよ!!」
暇ねん「おほん!ファザコンと言うのはお父さんが大す『ガントレットハーデス!!』」
暇ねん「ハイそこ!ブレ●ブルーの技使わない!」
八雲「違うからな!断じて違うから!!」
セレナ「ファザコンってなに~?」
次回『はっ?ちょっと?母さん?』です。