4章
恋コメ4章です。
第4章 文化祭、そして……
文化祭当日。
生徒会の展示として、俺たちは「お化け屋敷」を企画していた。
「桜井くん、この衣装着て!」
雪乃が黒いローブを渡してくる。お化け役らしい。
「あら、桜井、それ似合うじゃない」
麗華先輩がドラキュラの衣装で現れた。いつもと違う妖艶な雰囲気に、思わずドキッとする。
「会長、カッコいい〜! じゃあ私は魔女だね♪」
さくら先輩も魔女の帽子を被って現れる。
準備中、暗い部屋の中で一人作業していると――
ガタン。
「誰!?」
「あ、あの……しおりです……お手伝いに……」
月城しおりが懐中電灯を持って現れた。
「ありがとう。でも暗いし危ないよ?」
「だ、大丈夫です……桜井さんと一緒なら……」
小さく呟く彼女。その時、電気が消えた。
「きゃっ!」
しおりが俺に抱きつく形に。柔らかい感触と、本の匂い。
「ご、ごめんなさい! つい……」
「大丈夫、俺も驚いた」
暗闇の中、少し沈黙が流れた後――
「あの、桜井さん……私……」
しおりが何か言いかけた時、電気が点いた。
「桜井〜! 準備できた?」とひかりの声。
そして開いたドアから雪乃たちが入ってきて――
「桜井くん!? しおりさん!?」
抱き合ってる(ように見える)俺たちを見て、雪乃が固まった。
【選択肢】A: 「誤解だ!」と弁明するB: 「電気が消えて……」と説明するC: 「ごめん」と謝る
お化け屋敷は大盛況。しかし、俺の心は落ち着かなかった。
夕方、片付けが終わって一人になった時、屋上に向かった。
「やっぱり、ここにいたのね」
振り向くと、麗華先輩がいた。夕日に照らされた横顔が、いつもより柔らかく見える。
「先輩……」
「桜井、あなた最近疲れてるでしょう。無理してない?」
「……実は」
思い切って、選択肢のことを話した。朝から晩まで現れる選択肢。間違えたら、みんなを傷つけてしまうんじゃないかという不安。
「ふふ、そう。大変ね」
麗華先輩は優しく笑った。
「でもね、桜井。選択肢があるということは、あなたには可能性があるということよ。どの道を選んでも、あなたが真剣に選んだ道なら、それが正解になる」
「先輩……」
「それに――」
麗華先輩が一歩近づく。
「あなたの選択に、私たちも救われているのよ」
「え?」
「私ね、ずっと完璧でいなきゃいけないって思ってた。でもあなたは、私の弱いところも受け入れてくれた。それが、嬉しかった」
初めて見る、麗華先輩の涙。
「先輩、泣かないでください」
俺は無意識に彼女の涙を拭っていた。
「……ありがとう、桜井」
その時、選択肢が現れなかった。
初めて、自分の意思だけで動けた気がした。
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