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異世界生活に奴隷ハーレムを添えて ~元世界一位の最強奴隷パーティ育成術~  作者: 杏仁みかん


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第5話 初めてのお買い物

 

『――ステータス――』



 喰代コウタ(18)人間Lv1 旅人Lv1

 HP:100/100

 SP:50/50

 MP:10/10


 武器:なし

 防具:薄茶色のチェニック

 :黒色のホーズ

 :皮のブーツ

 :小さなポーチ

 :猟師のフード



 18……。


 名前の横には確実にはそう書かれている。



 全然気付かなかった。


 オリジナル『捕食』に気を取られて……。



 今になって思い出せば不自然な点はあった。


 この世界に来てすぐベルクに驚いて逃げている時、どうも体が動かしにくくて何回も転んだり。


 宿屋のおばさんが27歳の俺を、なぜか子供扱いしてきたり。



 俺の体が若くなってたからだったのか……。



 でも何でだ。


 なんで若くなってるんだ?


 18歳……18歳……、



「あっ」


 俺がオラトリアムオンラインを始めたのは高校最後の夏。


 ちょうど18歳の夏だ。



 ”一から全てをやり直してみませんか”。



 もしかしたらあれは、俺がオラトリアムオンラインに捧げてきた人生そのものをやり直す、という事だったのかもしれない。


 つまり、



「……」



 どういうことだ。



 それっぽい理由を考えてみたけど全然分からない。


 まぁ”異世界に転移する”なんて意味の分からないことが起きてるんだから、若くなった理由なんてどうでもいいか。



 理由はどうであれ若くなったんだ。


 悪いことではないだろう。


 でも、


「せっかくならイケメンにしてほしかったな……」



 俺は布を手に取り、お湯につけ、それを力いっぱい絞った。


 お湯を絞り終えると俺は立ち上がり、顔を、そして次に体を拭き始めた。



 確かに、こう見ると体が少し太い気もする。


 いや、太いというか……普通か。


 27歳の俺は、不健康すぎてガリガリにやせ細ってたからな。



 俺は今の自分の体を確認するように隅々まで拭いた。



 正直、そこまで汚れてはいない。


 臭いも大丈夫だろう……多分。


 涼しくて湿気も少ないおかげで、あれだけ歩いたのに汗をほとんどかいていない。


 ただ、それでも同じ服を着続けてるわけにはいかないよな。



 俺は机に放りだされた服と下着へと目を向けた。



 これ、洗濯とかってどうするんだろう。


 洗濯機なんてもちろんないだろうし、洗剤とかってあるのか?


 まぁ、いずれにしろ新しい服を最低もう一着用意しないとな。


 フルーラさんとか売ってないかな。



 全身を拭き終えた俺は、服を着て桶を一階へと戻しに行った。


 服を着た後も、肌と服の隙間からスッキリと爽やかな香りがする。


 それだけで、昨日の疲労感が少し和らいだ気がした。



 一階へ下りると数人のお客さんが椅子に座り、それぞれ何かを飲みながら話に花を咲かせていた。



 おばさんは忙しそうに歩き回っていたが、俺がカウンターへ行くと速足で近づいてきてくれた。


「あっ、忙しいのにすみません」


「良いんだよ。それより、さっき上から大きな声がしたけど何かあった?」


「あ、えーと…何もないです」


「そう、ならよかった。今日は長旅で疲れただろうからゆっくり休みな」


「ありがとうございます」


 おばさんは桶を受け取るとカウンターの裏へ持っていき、また仕事に取り掛かった。



「あ、フルーラさん」


 俺はカウンターでラフタスさんとお酒を飲んでいるフルーラさんに話しかけた。



「フルーラさんって服とかも売ってたりします?」


「はい、売っていますよ。今欲しいですか?」


「あっ、いえ大丈夫です。明日買いに行きます」


「そうですか。では待っていますね」


「はい、お話し中にすみません」


「いえいえ、おやすみなさい」


「おう、ゆっくり休めよ」



「あ、はい…おやすみなさい……」


 おやすみなさい、なんて何年ぶりに言っただろうか。


 なんだか少し恥ずかしいな……。



 俺は二階に上がり部屋に戻ると、ベルトを外し、靴とズボンを脱ぎ、チェニックとパンツだけになりベッドに横になった。


 ベットはお世辞にもふかふかとは言えない。


 ただ、それでも疲れていたからか気付けば気絶したように寝てしまっていた。




 ―――――――――




「はッ―――!」


 俺はベットから飛び起きると、急いで辺りを見渡した。


 そこは寝る前と同じ宿屋の自室だった。


 薄暗い部屋の中には、木製窓の隙間から優しい日が差し込んでいた。



「はぁ…はぁ…はぁ…」



 あの最悪な日常の夢を見た。


 もう二度と戻りたくない、あの日々の夢。


 目が覚めても、夢だとは思えないほど鮮明だった。



 まあ、それも当然だろう。


 ―――つい昨日まで自分がその日常の中にいたんだから。




 俺はベットから起き上がると窓を開けた。


 既に日は昇りきっていて外は明るい。




「ん~~~~」


 俺は思いっきり背伸びをすると、服を着て部屋を出た。



 体は問題なく動かせている。


 昨日あれだけ歩いたから体のどこかは筋肉痛になるかと思ったけど。



 軽く肩を回しながら階段を降りると、おばさんが机の上を拭いていた。


「あら、おはよう!」


「あ、おはようございます」


「ぐっすり寝れた?」


「あ、はい、おかげさまで……」


 とても良いとは言えない寝起きだったけど。



「そう、それはよかった。朝ごはんはどうする?」


「あ…大丈夫です。まだお腹は空いていないので」


 昨日食べたのがまだお腹の中に残っている。


 これ以上食べると、これからの予定に支障がでそうだ。


 それにお腹が空いてもいない時に、あの飯を食べたいとは思えない。



「そう、お腹が空いたらいつでも言ってちょうだいね」


「はい、ありがとうございます」


 俺はおばさんと軽い会話を交わすと、新しい服を買いにフルーラさんのお店へと向かった。



 ―――――――――



 昨日行った馬小屋へと向かうと、おばさんの言っていた通り、隣に店らしき建物があるのが見えた。


 扉は開ききっていて、そこから一人の少年が出てきた。


 昨日、バークに来た時に目が合った少年だ。


 年齢は高校生くらいで、この村で見た人の中ではかなり若い。


 髪は茶色で、服は俺と同じような恰好だが、背中には弓を背負い、革の胸当てや手袋を装備している。


 昨日は牛の世話をしていたが、どうやら今日は違うらしい。



 少年は少し俺と目が会ったが、特に会話をすることもなく横を通り過ぎていった。



 弓か……。


 今の俺にはもってこいの武器かもしれない。


 近接武器は扱える気がしないからな……。




「あっ、おはようございます、フルーラさん」


 店の中に入ると、すぐにフルーラさんが立っているのが見えた。


 フルーラさんの前にあるテーブルには、食べ物や酒など様々なものが置かれていて、奥にある棚にも液体の入った小瓶や布が詰まっている。



「おはようってお前、もう昼過ぎだぞ」


 入って直ぐ右のベンチにはラフタスさんが寝転んでいた。



「あ、すみません」


 時計がないと今が朝なの昼なのかも分からないな。



「いいんですよ、コウタさん。それで今日は服を買いにきたんですかね?」


「あ、はい。服と下着をもうワンセット欲しいんですけど」


「服と下着ですね。どんなものが良いですか?」


「えっと……今着てるようなのが良いんです。それと出来るだけ安いと助かります」


「分かりました。ちょっと待ってくださいね」


 フルーラさんは後ろの棚を漁り始めるた。


「これなんてどうでしょうか。今コウタさんが来ているような服とほとんど変わらないと思いますよ」


 フルーラさんは、目の前の机にチェニックとパンツ、そしてズボンを並べた。


 チェニックとパンツの色は純粋な白ではなく、少し暖色よりの白色で、ズボンは今履いているものと同じ黒色。


 サイズや素材も今着ているものとほとんど一緒だろう。



「値段は全て込みで27,400ペルです」


 27,400ペルか……。


 オシャレに無頓着な俺がいつも着てた服に比べるとだいぶ高いな。


 ただゲーム内でも、このくらいの値段で売っていたから、きっとこれがこの世界での適正価格なんだろうな。



 今持ってるお金が大体47,500ペル。


 二週間滞在することも考えると………残るのは10,000ペルちょっと……。



 全然足りない。



 数日以内にお金を稼げるようになる確証もない。


 ただ、服は買っておかないといけないし……。



 俺は悩みに悩んだ末に、ポーチから一つのアイテムを取り出した。


「それは……」


 俺が取り出したのは透明なビー玉のようなもので、中には星のような白色の模様が立体的に描かれていた。


「これって、売れますかね?」


「ほぉ…”閃光球”ですか。少し見せてもらっても良いですか?」


「はい、どうぞ」


 俺が手に持っていたアイテムを渡すと、フルーラさんはポケットから小さなルーペを取り出し、品定めするようにジロジロと観察しだした。



 あのアイテムは『旅人』の補助アイテムとして支給される”閃光球”。


 MPを消費することで瞬間的に強い光を発する消費アイテムだ。


 この世界の物価がゲームの世界と同じだとすれば、それなりの値が付くだろう。


 いや、ついてくれ。


 じゃないと異世界にきて早々に詰む。



「これは……レベル1ですかね?」


「はい、そうです」


 アイテムにはそれぞれ”品質レベル”があり、それは生産者のレベルやスキル、素材の品質によって左右される。


 一番上はレベル5で一番下はレベル0。


 ただレベル0は生産に失敗したアイテムを表すから、実質アイテムとして機能しているものでの最低レベルは1になる。




「これなら…28,000ペル。服を買ってくれるなら、色を付けて30,000ペルで買い取らせてもらいますよ」


「本当ですか!?」


 思ってたより全然良い。


 ゲームだと20,000前後で取引されるから、それより10,000ペルも高いぞ。



「ですが、よろしいんですか。冒険者にとっては大事なアイテムでは?これから必要になる場面に遭遇することもあると思いますよ」


「あぁ……大丈夫です」


 本当は閃光球を序盤のボスに使って攻略する予定だったけど、もう関係ないしな。


 今はそんなことより生きることで精一杯だ。



「そうですか。では服の代金を閃光球の買取額から差し引いて……」


「あっ、あと、この紐も買わせてください」


「どのくらい欲しいですか?」


「えっと…3本ほどください」


「分かりました。三本で600ペルですね」


 俺は机の上に置かれた、植物の繊維を紡いだような紐も2メートルほど買った。


 これで今日やりたかったことは出来そうだ。



「それと、弓ってあったりしますか?」


「弓は無いですね。矢ならあるんですが……」


「そうですか」


「申し訳ありません」


「あ、いえ、全然大丈夫です」



 さっきすれ違った少年を見たとき、近接武器じゃなくて弓だったら俺でもまともに戦えるようになるかと思ったけど残念だ。



「では閃光球は買い取らせていただいて、そこから服と紐の支払額を差し引かせてもらいますね」


「はい、お願いします」


「では……こちら2,600ペルですね」


 フルーラさんは俺に銀色の硬貨と銅色の硬貨を渡してきた。


 この銀貨は一枚で1,000ペル、そして、こっちの大銅貨は一枚で100ペルの価値がある。


 他にも大銅貨より小さく10ペルの価値がある銅貨、10,000ペルの価値がある金貨などがある。



「ありがとうございます。助かりました」


「いえいえ、またいらしてください」


 俺はフルーラさんもらったお金をポーチに入れ、買った服と紐を抱えると、店を後にし、一度宿へと戻り身支度をすると、次の目的地へ向かった。


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